「香港の喧騒と熱狂を離れ、息抜きにマカオに立ち寄った私は、”大小”というサイコロ博奕に魅せられていった――。
やろう、とことん、飽きるか、金がなくなるまで……」
「深夜特急1 ―香港・マカオ―」沢木耕太郎 新潮文庫
私に旅をするきっかけをつくった書物。
それが、沢木耕太郎氏の「深夜特急」です。
氏の一年以上にも及ぶユーラシア放浪記の中で、香港と並び最もいきいきと描かれていたのが、このマカオでのカジノ体験でした。
「カジノリスボアで”大小”をやる!」
これが、私のマカオ訪問の目的のひとつでもあったのです。
カジノで一勝負する前、私は景気付けにマカオ一の高台である「ギアの灯台」に登りました。
ごちゃついたマカオの街並み。
遠くに広がる海とその上にちらほらと浮かんでいる貨物船。
私は、そんな風景を眺めながら夢を見ました。
カジノで大儲けし、ヨーロッパまで大名旅行をするという夢を……。
カジノリスボアは、大勢の人の熱気でむせ返るようでした。
スロットマシンやルーレット、バカラやブラックジャックなど、様々なゲーム台に人が群がり、嬌声を上げています。
その周りにはドキリとするような妖艶な衣装を身に纏ったコンパニオンたちがおり、台の中央では無表情にコインを集めるディーラーの姿がありました。
金のない私は200香港ドルだけ(3200円)をコインに換えると、さっそく「大小」の台に向かいました。
「大小」とは3つのサイコロの目の数を当てるゲームです。
3つの出目の合計3〜18のうち、4〜11が「小」。5〜17が「大」となります。
3つのサイコロが同じ目となる「ゾロ目」の場合は、親の総取りとなってしまいますが、ゾロ目そのものに賭けることもできます。
また、他にも出目の合計を当てることもできます。
台の上にある電光掲示板には、これまでの出目の経過が、
「大大小小大小大小」
というように示されています。
それを見て、次に何が来るかを判断するのです。
私は沢木氏と同じように「大」か「小」の一点賭けをすることにしました。
まず、しばらくゲームの様子を窺ってみます。
けれども、電光掲示板に表示された「大」と「小」が出る順番にはなんの規則性もありませんでした。
「大大小小大大小小」とか「大小大小大小大小」というような規則性があるのなら、判断材料となるのですが、今回はそれが使えません(沢木氏はこれを判断材料としていました)。
ギャンブルに疎い私は、それ以外にどうやって判断すればよいのかわかりませんでした。
しかし、このままでは埒があかない……。
私の手には100ドルコインが二枚。
とりあえず私は、一枚ずつ、周りの人がどちらに賭けているかを観察しながら、コインを張ってみることにしました。
ある勝負。
ディーラーが目隠しした壺を振ります。
人々がそれを見てコインを張っていきます。
制限時間が近づいた時、あるお客が「小」にたくさんのコインを張りました。
「ここだ!」
私は思いました。
私はそのお客の逆である「大」に100ドルコインを張ったのです!
ディーラーはある程度、出目を操作することができる筈。
ディーラーは一人の客にそんなに儲けさせるようなことはしない筈で、彼を儲けさせる「小」になることは有り得ない。
私はそう考えたのです。
「小」に置かれたコインよりも「大」に置かれたコインの方が数が少なかったというのも、私の判断理由のひとつでした。
しかし、結果は……。
「小!」
ガックシ。。。
私の100ドルがディーラーの手に吸い込まれていきます。
ならばと。
今度はコインが多く置かれた「小」に張ってみます。
今度の分析は、カジノに通いなれた人々が「小」に張るのならそれなりの根拠があるのだろう。
というものでした。
電光掲示板の表示が出ます。
緊張の一瞬!
結果は……。
大。。。
呆然と肩を落とす私。。。
二日分の宿代3200円と共に、大名旅行は儚い夢と消えました。
私には博才がない。
それがわかりました。
でも、これでよかったのかもしれません。
中途半端に勝ってしまったら、沢木氏のように、
「やろう、とことん、飽きるか、金がなくなるまで……」
と思ってしまったのかもしれませんから……。
カジノを出た私は、煌びやかなカジノリスボアのネオンを振り返ると、心の中で呟きました。
「やろう、とことん、これまで通りの慎ましやかな旅を……」と。
ちょっぴりと惨めな気分になりながら……。
宿に帰った私は、さっそく日記帳に、
「支出、カジノ200HK$(3200円)と記録しました」
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エリーナさん、深夜特急は全部面白いですが、この香港・マカオ編が最高ですよ。
ぜひ読んでみてください。
2007/5/25(金) 午後 10:37
桔梗さん、私貧乏旅行者ですから。。。
香港・マカオを一日3000円くらいの予算と考えていた私にとって、たった3200円でもかなりの痛手なんですよ。
2007/5/25(金) 午後 10:40
ああ〜沢木さんは嵌まっちゃったんですか><ギャンブルは怖いですねーほんと猿耳さん賢明だったですよ。猿耳さん、ずっと日記つけてらしたんですか?
[ hig*ma7*p ]
2007/5/26(土) 午前 0:20
深夜特急…私も読んでみよっかな↑*´艸`↑
まぁ、旅はツライ経験の方が後になって新鮮になりますよねぇ○´艸`)
2007/5/26(土) 午前 1:03
ひぐまさん、今考えるともうちょっと使ってもよかったかなぁという気もします。
ただ、最初から200ドルしか使わないと決めてましたからね〜。
その辺が歯止めになったのだと思います。
日記は毎日つけてました。日記と写真によって旅のことを記事にすることができるんです。
2007/5/26(土) 午前 9:21
OYAKさん、読んでみてください。
すぐに嵌まると思いますよ。
トルコ編もあります。
2007/5/26(土) 午前 9:22
私はもうずいぶんバカラでやられてしまい、ここのところスロットしてるんですが、やっぱり駄目です。
軍資金をけちってしまうと勝てないように思います。
あ、ギャンブルはよくないですよね・・・☆
[ ☆chikori☆ ]
2007/5/26(土) 午後 3:26
私はギャンブルは基本的に好きになれないのですが でもゲーム感覚で楽しむ分はいいかなぁ なんて思っちゃいます のめり込まない程度に遊ぶのって楽しいですよね♪
それにしても やっぱり夜景と昼間の景色のギャップが・・・(;´▽`A``
[ MIY ]
2007/5/27(日) 午前 0:45
予算を決めて行うのであれば,旅の楽しみの一つになりそうですね。私は,残念ながらまだ挑戦したことがありません。いつか一度は経験としてやってみたいです。
2007/5/27(日) 午前 1:01
ギャンブル・・・チョット興味ありますが、小心者の私には無理かもですww
[ モチコ ]
2007/5/27(日) 午後 5:57
ちこりさん、ギャンブラーなんですか。
確かに軍資金をけちると勝てない気がします。
一度、とことんやってみたいです。
2007/5/27(日) 午後 7:00
せぴさん、夜と昼、すごいギャップでしょう。
ギャンブルは嵌まると危険ですよね。
2007/5/27(日) 午後 7:01
しんさん、ギャンブルそのものよりも、場の雰囲気とか、人々の様子とかを眺めるのも面白いですよ。
2007/5/27(日) 午後 7:02
ピノコさん、マカオにはドッグレースという犬の競馬もあるんですよ。
2007/5/27(日) 午後 7:02
私も深夜特急を読んでカジノに興味が湧きましたよ。でも実際にいってみたら旦那の方が楽しんじゃってました。女ってのは夢を見られない現実的な生き物なのでしょうか?
[ ちび太 ]
2007/5/30(水) 午前 1:03
ちび太さん、男の方が夢見がちだって言いますよね。
ギャンブルでは夢を見ないほうがいい気もしますけどね。
2007/5/30(水) 午後 9:41
最初に負けてよかったのでは?変に勝っちゃうと有り金はたきたくなるから、損1日分で終わって良かったと思いますよ☆
2007/6/1(金) 午後 7:35
まさおさん、私もそう思います。
変に勝ってしまったら随分金を使ってしまったかもしれません。
2007/6/1(金) 午後 11:51
深夜特急でさるみみさんは『大小』の方へ行ったんですねー。
ワタシは小籠包へ走ってしまいました(食い意地…)
ドラマ版深夜特急の小籠包の店をTBしちゃいました。
2008/3/25(火) 午後 4:31
OSOさん、TBありがとうございます!
大小行きました〜。
小龍宝ですかぁ〜、そっちの方がいいですね!
2008/3/27(木) 午後 11:04