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書庫◆映画と本◆

日系人路上画家ジミー・ミリキタニを追ったドキュメンタリー、「ミリキタニの猫」を観ました。

イメージ 1

ニューヨークの路上。
寒い街路で、いつも猫の絵を描き続けるホームレスの姿がありました。
髭もじゃで赤いベレー帽。東洋系のどこか仙人を思わせるその風貌。

彼はジミー・ミリキタニ。
80歳の日系人路上画家です。

「ミリキタニの猫」は、撮影者である「リンダ」が「ジミー」との交流を通じて、戦時中、日系人として収容所に送られた彼の人生の苦悩やアメリカという国への怒りを知り、「60年」という失われた彼の時間を一緒に取り戻していくというドキュメンタリーです。



ジミー・ミリキタニは、1920年カリフォルニア州サクラメント生まれ。
18歳の時まで、母の故郷である広島で生活したあと、軍国主義の強まる日本を離れ、アメリカへと帰国しました。

しかし、当時のアメリカ政府は敵国である日本人だけでなく、アメリカ国籍を持った日系アメリカ人も強制収容所に収容したのです。

ジミーが送られたのはカリフォルニア州北部の「ツールレイク収容所」でした(その際、姉のカズコはアイダホ州の収容所に収容されています)。


収容所では多くの人々が亡くなったといいます。
戦争終結後も、ドイツやイタリア移民は収容所から解放されましたが、日本人・日系人は1947年まで拘束されたそうです。
また、ジミーたちはアメリカへの抵抗の証として米国市民権を放棄していましたが、それが回復されたのは、解放からさらに10年も後のことでした。


ジミーは、芸術家でした。
彼はニューヨークに行き、様々な仕事をしながら絵を描き続けます。
ジミーの市民権は1957年には回復されていましたが、その通知は転居をし続けていたジミーには届いておりませんでした。
その後、ジミーは、仕事と家を失い、ホームレスとなります。


ジミーは、アメリカ政府への怒りと、失われた人々への悲しみを抱き続けていました。

そんな時、出会ったのが、この映画の監督であり撮影者でもあるリンダ・ハッテンドーフです。
リンダは撮影をしながら、彼の「失われた60年」を取り戻すためリサーチを重ねます。

理解しあっていく2人。彼を温かく受け入れるアメリカ社会。
アメリカに対して、徐々に頑なな心が解けていくジミー……。




2002年。
ジミーは撮影者であるリンダと共に、カリフォルニア州北部、ツールレイク収容所におりました。

収容所跡を歩き、彼がつぶやいた言葉。


「もう怒ってはいない。通り過ぎるだけだ。思い出はワシに優しかった」


戦争や差別という辛い経験があったけれども、アメリカという国によって人生が狂わされてしまったけれども、ジミーを援助し、心を癒してくれようとしているのも、またアメリカ……。

(ちなみに、アメリカ政府は1988年、「市民の自由法」によって、強制収容された日系アメリカ人に謝罪し、一人当たり2万ドルの損害賠償をしました。また、2006年には、アメリカ両院で日系人強制収容所を史跡として保存する法案が可決されています)



鑑賞後、深い感動に包まれました。
久々に、いい映画を観たという感じです。
本作品は各国の映画祭でも絶賛されているそうですよ。


現在、ジミー・ミリキタニ氏は、ビレッジ・ケア・オブ・ニューヨークが運営するケア付き老人ホームで猫と一緒に暮らしながら、芸術活動を続けているようです。

可愛らしい彼の絵と、特異でどこか微笑ましい彼のキャラクターも、この映画の魅力のひとつですね。
ぜひ、見ていただきたい、お勧めの映画です。

  • 内容を読んで、見たくなりました!
    絵もやさしくて、温かみのある雰囲気ですね(*^-^*)

    ☆エリーナ☆

    2007/9/17(月) 午後 0:49

  • 顔アイコン

    感動的な内容の映画ですね。こういう秀作が上映されない田舎は悲しい (;>_<;)

    kirari

    2007/9/17(月) 午後 3:05

  • 顔アイコン

    エリーナさん、ほんとお勧めの映画です。
    ぴあなどの投票でも評価がかなり高い作品ですよ。

    さるみみの見た世界

    2007/9/17(月) 午後 5:39

  • 顔アイコン

    きらりさん、田舎はこういうのがなかなか上映されないんですよね。
    私も地方に住んだことがあるのでよくわかります。

    さるみみの見た世界

    2007/9/17(月) 午後 5:39

  • 顔アイコン

    私も観ましたよ。
    とても感動しました、本当素晴らしい映画
    だと思います、人は何歳になってもやりなおせる、
    人との輪を広げられる、過去から自由になることが
    できると感じました。
    おっしゃる通りミリキタニさんは本当
    魅力的な人ですよね。

    カッツー

    2007/9/17(月) 午後 11:44

  • 顔アイコン

    ナイス害さん、素晴らしい映画ですよね。
    あの9・11の混乱の最中、何事もなかったかのように、絵を描き続けているのが印象的でした。

    さるみみの見た世界

    2007/9/18(火) 午前 6:57

  • 顔アイコン

    興味あるんで、是非観たいですけど... ドバイでは難しいでしょうね... ストックホルムでもダメだと思います。 残念...

    PINK

    2007/9/19(水) 午前 3:51

  • 顔アイコン

    PINKさん、結構いろんなところで賞を獲っているので、ヨーロッパのどこかでは上映されている気もするんですが。。。
    そのうち見てくださいね。素晴らしい作品です。

    さるみみの見た世界

    2007/9/19(水) 午後 11:06

  • 顔アイコン

    猿耳さんの記事を見ただけで素晴らし映画だということが伝わりました☆収容所に送られた日系人でこんなに苦労されている方がいたとは始めて知りました。ジミーミリキタニ氏は、ということはお父さんはアメリカ人なんですよね。厳しすぎる対応ですね。天皇を神として侵略し続けた日本の異常性ばかり表に出てますが、敵とはいえ半分アメリカの血が流れている人をここまで迫害するのは、アメリカも異常な時代だったことが想像されます。やはり戦争は良くないですね。

    masao

    2007/9/27(木) 午前 1:56

  • 顔アイコン

    まさおさん、ぜひ見てください。
    戦争は人を狂わせますからね。個人個人は善良でも、集団だと、そして、時代の風潮が一色に染まるととんでもない非人道的な行為を行ってしまう。戦争は100%NOです、

    さるみみの見た世界

    2007/9/27(木) 午前 6:41

  • 顔アイコン

    始めまして。よろしくお願いします。私も感動しました。

    hitomi

    2007/9/28(金) 午後 10:32

  • 顔アイコン

    shishi5235さん、はじめまして!
    ご訪問&コメント&TBありがとうございます。
    のちほどお伺いしますね。

    さるみみの見た世界

    2007/9/29(土) 午前 7:27

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