貧しい者は戦地へ……。日本も他人事ではない、極端な民営化が引き起こした極端な格差社会。
この本に書かれたアメリカの現状……。
改めてゾッとさせられました。
アメリカは「新自由主義政策」を採用しています。
【新自由主義 Wikipedia】
「新自由主義(しんじゆうしゅぎ、英:neoliberalism、ネオリベラリズム)とは、市場原理主義の経済思想に基づく、均衡財政・福祉および公共サービス縮小・公営企業民営化・経済の対外開放・規制緩和による競争促進・情報公開・労働者保護廃止などをパッケージとした経済政策の体系、競争志向の合理的経済人の人間像、これらを正統化するための市場原理主義からなる、資本主義経済のレジームをいう」
「小さな政府」「民営化」「規制緩和」「構造改革」ですね。
あらゆるものを民営化して競争させる。
企業を優遇し、国際競争力の高まりを期待する。
その一方で、福祉などの公共サービスを縮小、労働者への負担を増やす。
国際的に強い上層部の階層によって、社会を牽引していってもらおうという考え方ですね。
日本も、小泉政権がこれを採用し、安倍政権に引き継がれていきました。
けれども、この政策が推し進められた結果、アメリカはどうなっているのかというと……。
ひどいことになっています。。。
●公的医療が縮小され、医療費の自己負担率が増大
公的医療が膨らむと大企業の負担する保険料が増えます。
そのため、政府は医療費の自己負担率を高めることにしました。
アメリカには公的医療皆保険制度がないため、負担が増えた人々は民間の医療保険に加入します。
しかし、民間の保険はバカ高いため、未加入者は約5000万人にも達しているそうですね。
盲腸手術で1日入院しただけで100万円以上の請求……。
貧困層でない中流層も、一度大きな病気に罹り、入院・手術などとなると、一気に借金漬けになり貧困層に転がり落ちることが多いそうです。
病院側も市場の競争で戦っていかねばならず、患者のいのちやケア・サービスの質は二の次で、高い利益率を達成することこそが評価の基準となってしまっています。
●貧困児童ほど肥満が多い
フツウ、貧しい人は痩せて、金持ちは太っているというイメージがありますが、アメリカでは違います。貧しい児童は、政府の「無料・割引給食制度」を受けられるのですが、そこで出される給食はコスト削減のためジャンクフードばかり。
貧困家庭には「フードスタンプ」の受給が認められますが、この額はとても低く抑えられており、一回の食事につき一人1ドル40セント。
当然、安いジャンクフードばかり食べることとなり、病気になります。
そして、保険に入っていないため莫大な医療費がかかり、大きな負債を抱えることとなります。
●災害対策までもが民営化、ハリケーン・カトリーナ
災害対策の機関「FEMA」は、ブッシュ政権になってほぼ民営化されてしまいました。
災害対策を自由競争させるという意図です。
当然、企業は効率よく利益を上げることを目的とするため、災害の被害を縮小し人命を救助することよりも、ライバル会社よりも災害対策業務をいかに安く行うかということが重視されるようになりました。
そのため、貧しい人が多く住むニューオーリンズなどには、カトリーナ前も以後も大した対策も補償・支援もなされず、彼らは棄民となってしまっています。
●学校における自由競争
国によって全国一斉学力テストの義務化が導入され、よい成績をあげた学校にはボーナスが出て、悪いところには助成金の削減、そして、廃校となります。
また、教育予算の削減で授業料が高騰、学生たちの学資ローンの申請者が急増しています。
また、学資ローンの貸出機関の民営化も進み、学生たちは多大な負債を抱えることとなります。
●貧しい者は戦場へ行かざるを得ないという現実
アメリカ軍は、貧しい学生が通う高校に頻繁にリクルーターを派遣しているそうです。
リクルーターは、軍に入ると大学の学費を国防総省が負担する、入隊すると兵士用の医療保険に入れるなどと言って勧誘しています。
アメリカでは大学を出ていないと低賃金の仕事にしか就けないため、かなりの学生が入隊するそうです。しかし、そういう学生は入隊後、真っ先にイラクに送られ、帰国後はPTSDや白血病などに蝕まれ、入隊前よりもさらに厳しい状況に追い込まれることが多いといいます。
●民営化された戦争ビジネス
アメリカは、軍の様々な業務を民間の企業に請け負わせています。
民間の派遣会社は、貧しい人をセミナーなどで集め、イラクへと送ります。
彼らは丸腰のままトラックの運転や作業をさせられるのですが、たとえ危険だったとしても、生活のためにその仕事をせざるを得ないのだそうです。
そして、帰国後はPTSDや白血病などにより、出国前よりもさらに厳しい経済状態に……。
この派遣会社の勧誘はアメリカ本国だけでなく、世界中の貧しい国で行われ、ネパールやフィリピンなどの人々が、悪条件の中、イラクで仕事をしています。
この本で語られていること、その全てを鵜呑みにするわけにはいきませんが、
アメリカという「国家」や上層部はますます強くなった一方、その他大勢の貧困層、そして、中流階級はとても貧しくなっているというのは事実。
そして、アメリカに追従し新自由政策を推し進めてきた日本も、この本に書かれたアメリカの現実とは無関係とは言えないと思います。
国の競争力を強めようという新自由主義政策ですが、牽引する大企業ばかりが潤い、中流階層の生活が悪化、格差が開いていきます。
豊かな上層部に牽引してもらおうと言っても、上層部は上層部同士で熾烈な競争をしているわけだし、国もいかにしてコストを抑えようかと腐心しているので、貧しい人はさらに貧しくなってしまいますね。
自由競争も市場原理も民営化もある程度はいいと思うんですが、企業は利益を追求するものなので、利益が伴わないサービスはできません。
教育、医療、福祉、災害対策など、国民が最低限必要とするものに対しては競争原理、市場の論理が入り込むのはかなり危険な気がしますね。
国は、その国の威信を高めたり、世界での競争力を高めることが第一の目的ではなく(それもある程度大事ですが)、国民が安心して生きていける社会にすることこそ、国家の存在意義だと思うんです。
日本とアメリカでは、国の事情は大きく異なりますが、日本がアメリカ型の社会に近づいていっていることは事実です。
日本が追従するアメリカの行きつく先。
それを知った上で、日本が今後どうなった方がいいのか考えていくべきだと思いますね。
私はアメリカのような社会はまっぴらごめんです。
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こんにちは。はじめまして。
この本はまだ読んでいませんが、新自由主義政策によって、日本がアメリカ化しつつあるのは現実としてあるようにおもいます。
民営化、規制緩和、福祉の削減など、一見すると庶民にとって、
有利なようにおもわれる政策が実は全くそうではなくて、
低所得者ほど厳しく、それも格差が拡大する社会を構築するための新自由主義政策であるということは、国民に知らされぬままに来てしまったようにおもいます。
国会でも問題になっていますが、
政府の経済財政諮問会議の内容は、まさに新自由主義政策なのです。
金持ちだけに有利な政策をとっていたら日本がおかしくなって当然かとおもわれます。
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2008/3/18(火) 午後 7:25
ピノコさん、今のままだと格差は開く一方なのでしょうね。
でも、どこかで修正していこうという気運が盛り上がってくるだろうと思っています。
2008/3/18(火) 午後 9:50
K3さん、自己責任という言葉がありますが、アメリカは自由で努力すれば誰にでもチャンスがある国だと言われましたが、今は最初からあまりにも格差が有り過ぎて下層の者は這い上がることなどできない状況になっていますよね。日本もそうなる恐れがあります。
この世は弱肉強食のサバイバルで、弱い者は滅ぶのは仕方がないと思ってしまうと、弱いチベットが中国に抑圧されるのも、イラクがアメリカにいいように踏みにじられるのも仕方がないという風になってしまいそうです。現実の汚さを十分踏まえた上で、きれいごとでも何でもいいから、弱者を守ろうとする視点だけは失いたくないのです。
2008/3/18(火) 午後 10:02
モンキーさん、私は今の自分が(自分たちが)生き残るためなら何をやってもいい、勝つためには手段を選ばない、といった空気は、小泉政権以降強くなった気がするんですね。
完全なる弱肉強食の社会では、他人のことを顧みる余裕はないですから。でも、新自由主義のアメリカが支配する世界では、日本がその流れに入っていかないと国の競争力が低下していってしまうだろうということは多分あるのだと思います。だけど、国の力が強くて、企業が国際競争力を増したとしても、働いている庶民が貧しくなってしまったら、何のために国を強くしているのだろうと思ってしまうんです。
2008/3/18(火) 午後 10:11
reformwithloveさん、はじめまして!ご訪問&コメントありがとうございます。
私もおっしゃっていることに同意です。
それに、金持ちと庶民というだけでなく、都市と地方にもそれが当てはまっていますよね。
旧大店法が廃止されたことにより(これも規制緩和を主張するアメリカの圧力)、大規模スーパーが地方にできて、地域の商店街はどんどんシャッター街化しましたよね。大規模スーパーの本店は都会にあるから、そこでの収益は地域には還元されずに都会に吸い取られてしまう。そして、地方の経済は困窮し、仕事がなくなり人々も都会へと流れ、地方は寂れていく。
富の集中と格差がどんどん広がっています。
2008/3/18(火) 午後 10:22
アメリカはかなり特殊な国だと思います。
2008/3/19(水) 午前 0:45
べっささん、かなり特殊な国なのに、それを世界中に広めようとしている漢字がありますね。
2008/3/19(水) 午前 6:29
難しい問題ですが、アメリカも日本も贅沢過ぎる生活を送っている事実を実感しなければならなくなりつつあるだけなのかもしれない。そう思ったりもします。
<教育、医療、福祉、災害対策など、国民が最低限必要とするもの>の基準が著しく高い。直近の話として、経済的に破綻しつつある日本で、「高い基準の最低限」を実質毎年12%増の消費税分の赤字国債で将来の人達に集り続けています。今の国民、特に今の高齢者ばかりを見て、長い将来については何の展望も責任も果たそうとしていない日本は優しい国なのでしょうか?誰に対して優しい?
私もアメリカは嫌ですが、日本にいる日本人の反応も奇妙だと、個人的には感じています。日本も将来の人達を踏み躙っている意味で、かなり特殊な国です。私は日本が世界に広まらないのは、この意味では大変に当然で良い事だと思います。
誰に対して優しくするのか?何とも悩ましい問題です。
[ hajmo_rakija ]
2008/3/21(金) 午前 5:26
そうだったのか〜やっと分かりました。沖縄の兵士問題であるコメンテーターが言ってました。「軍隊に入る若者は貧しいし、教育が低い」と。六本木に繰出す横須賀アメリカ軍人。道理でタチが悪いはずなんだ〜とガッテンしました。
[ mid**ino345 ]
2008/3/21(金) 午後 0:56
ラキアさん、「アメリカも日本も贅沢過ぎる生活を送っている事実を実感しなければならない」という考えかたは重要だと思います。
だけど、新自由主義が将来の人間にとってよりも、現在の大企業や富める者だけに優しい気がしてしまうんです。富める者だけが富み、貧しい者がさらに貧しくなって固定化されてしまうアメリカのような社会だと、将来に優しいような気がしないのですが。
2008/3/22(土) 午前 10:04
みどりのさん、日本も格差が広がってしまったら、経済的な理由で自衛隊に入ったり、アメリカのリクルーターに勧誘されて戦場で働く人も出てくるかもしれないですね。
2008/3/22(土) 午前 10:06
アメリカや日本を観察していると、確かに貧富の差が固定されている印象がありますが、全世界単位で見てみると、富の再配分が成されつつあります。グローバリズムの恩恵で、多くの中間層が新興国で増えている。これは貧富の差の是正だと、ある意味で言えると思います。勿論、新興国での貧富の差が固定化しつつある。それも事実です。
例えば、ロシアでは教育の質が以前に比べて、全体的に下がっています。手っ取り早く儲ける事を嗜好する人達が増える一方、教育者の待遇は悪く薄給。教育の質が下がると貧富の差は拡大します。今は天然資源を売り捲くって、好景気に沸いていますが、豊かになった中間層の経済活動が落ち着き出す頃には、教育の至らない若い世代が虐げられる日本の実情がロシアでも待っている。あちらに行く度に、それは凄く感じます。
勿論、持てる者がより豊かになる。それは何時でも一緒です。でも、それを言い出すと、「神の手の再配分」の理屈。何だかんだで、ファシズムとか何だとか間違った方向に走ります。それは歴史が証明しています。
[ hajmo_rakija ]
2008/3/22(土) 午後 2:44
貧富の差が固定化しないように努力するには、国を挙げて教育に力を入れる。これしかない。そう思います。
少し過激な意見ですが、現在の教職員を一度日本国内で全員解雇して、最低年収600万円で10年毎に教師に試験を行い、再雇用(再契約)する制度とかにして、無理矢理でも教育の質を全国で底上げする。学校の先生の最終学歴が最低でも修士号取得を義務化するとか、それ位でないと、長い目で見て、日本国内での貧富の差の入れ替えは難しい気がします。
「わんぱくでもいい。逞しく育ってくれれば。」 貧富の差の固定化を考えた場合、このフレーズではNGです。
特に、日本は将来の子供達にシコタマお金をせびっているのだから、それ位のプレゼントを未来の人達に用意したって罰は当たらないと私個人は思います。
[ hajmo_rakija ]
2008/3/22(土) 午後 2:44
さるみみさん、コメントありがとうございます。
金持ちと庶民の格差と都市と地方の格差も拡大しています。
これは社会構造の変化によるものですので、
各個人の努力、「自己責任」ではどうにもならないものです。
この原因は、規制緩和、民営化などの新自由主義(ネオリベ)政策
の小さな政府論にあるとおもいます。
子供に借金を残さないとか、増税させないといっている政治家は、
新自由主義者であることが多いので要注意です。
ワーキングプアの問題をみてもわかるとおり、
新自由主義政策をとっていたら、個人がどんなに努力しても、
日本はいつまでたっても格差社会が続いてしまいます。
日本の将来を明るくするには、新自由主義(ネオリベ)との決別をしなければ、ならないとおもいます。
[ - ]
2008/3/22(土) 午後 8:26
ラキアさん、詳細なコメントありがとうございます。
教育、大事ですよね。今の教師の置かれている状況はかなり厳しいと、いろんなところで紹介されてますね。アメリカみたいに教師がサラリーマン化されたら、生徒全体の底上げよりも、一部のエリートを伸ばすことに腐心しないかと心配になってしまいます。
南アとかもそうですが、全く教育を受けていないと、差別が解消されても仕事もないし、社会の治安がどんどん悪化してしまいますね。ああいう社会、恐ろしいです。
2008/3/23(日) 午前 7:44
reformwithloveさん、自己責任でどうにもならないのがアメリカの現状ですよね。私も、新自由主義(ネオリベ)はアメリカのそれもトップの利益や都合が日本にも押しつけられているんじゃないかという気がしてしまっているんです。
2008/3/23(日) 午前 7:47
日本もアメリカみたいになりますね。それでいて、有能な人材を海外から受け入れる事は一切しない。それではアメリカ以下ですね。金持ちは教育を金で買います。東大の学生の親の平均年収は他のどの大学よりも高いのも、そういう実態を暗に示している気もします。色々と難しい問題はありますが、私は公立小中高の教職員には冷たい視線を持っています。彼等のダメさの映しが今の子供達である。バカ親は今も昔もいた。でも、バカ教師は昔は少なかった。教師が魅力の無い職業になるのに反比例して、彼等のダメさも際立ちつつある。当然そうなると思いますが、そこに一気にメスを入れないと、アメリカ以下になるのは避けられない。とても心配です。
[ hajmo_rakija ]
2008/3/24(月) 午前 4:15
ラキアさん、最近は保護者もモンスターペアレント化がひどいみたいですけどね。親がモンスターペアレントだと子供も教師に敬意を払わない気がしますね。
2008/3/27(木) 午前 6:23
モンスターペアレントという現象はイマイチ分からないです。勿論、他人事だと言われれば、それまでですが、モンスターは何時でも何所でもモンスターなのでしょうか?やはり、学校の無能力化と関係している気がします。モンスターが何時でも何所でもモンスターなのならば、その人の資質に欠陥があると結論付けてもOKな気がしますが、多くの場合、どうもそうではなく、相手の顔色を伺い、「よし、ワガママが言えるぞ♪」とスイッチが入るとモンスターが突如出現するのだと思います。
モンスター公務員。モンスター政治家。モンスター新聞。周囲を見渡すと幾らでもリアルモンスターがいますが、これらの魑魅魍魎とは違い、モンスターペアレントは公立小中高の教職員がキチンと対応出来るようであれば、自然消滅する。そんな気がします。
[ hajmo_rakija ]
2008/3/28(金) 午前 4:41
「相手の顔色を伺い、「よし、ワガママが言えるぞ♪」とスイッチが入るとモンスターが突如出現する。」
確かにそれはあると思いますね〜。
2008/3/28(金) 午前 6:32