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書庫◆映画と本◆

クリストファー・マッカンドレスの「真実を探す」旅

イメージ 1全米に衝撃を与えたクリストファー・マッカンドレスの死から15年。
ジョン・クラカワ―原作「荒野へ」を映画化したショーン・ペン監督の意欲作。

 監督・脚本  ショーン・ペン
 撮影 	   エリック・ゴーティエ
 挿入歌   エディー・ヴェダー
 主演    エミール・ハーシュ


Into the Wild - Trailer
この映画は実話をもとにして作られています。

1990年、ジョージア州アトランタの大学を優秀な成績で卒業したクリストファー・マッカンドレスは、全ての貯金を慈善団体に寄付し、誰にも知らせずに突如として姿をくらましました。

2年後の1992年、彼はアラスカの荒野で遺体で発見されます。
その謎に満ちた行動と衝撃的な結末は当時の全米の関心事となったそうです。

そんな事件に触発されたジャーナリスト、ジョン・クラカワ―は綿密な取材を重ね、彼の旅を一冊の本にまとめ、出版しました。

「荒野へ」と題されたその作品は全米に反響を引き起こし、ベストセラーとなったのです。
そして、2007年、クラカワーの作品に衝撃を受けたショーン・ペンにより、マッカンドレスの旅は映画化されました。




「そして僕は歩いていく まだ見ぬ自分と出会うために」(オフィシャルサイトより)



裕福な家庭に育ち、成績優秀だったクリスが旅立った理由。
それは、物質的な社会から逃れ、身ひとつで自然と向き合い、何にも束縛されない自由を得ることによって、「真実」を見つけたいという思いからでした。

「真実を見つける」「未だ見ぬ自分と出会う」

いかにも青臭い思想です。

世の中に絶対的な「真実」なんてものはなく、それぞれの見方、心の在り方によって真実は異なる。
また、そのそれぞれの見方、心の在り方の総体が「現実」を作りだしている。

そんな風に私は思うんですが、現代の文明社会を生きていくためには、様々な社会の仕組みや常識、ルール、一般的と考えられている見方などに従って、また、それを「真実」として受け入れて生きていく方が都合がいいわけです。
もしくは、そうでないと生きていけません。

けれども、そういった社会の在り方や常識などは、絶対的なものではないはずです。
現代の物質文明、消費社会に疑問を感じ、身ひとつで生きることによって「真実」を見つけようと考えたクリスの思想は、青臭いけれども崇高なものであり、誰しもが失ってはならない視点であるような気がします。





クリスの家庭は複雑な家庭でした。
映画の中で物語が進むにつれて、徐々に家庭の状況や両親の姿が明かされていくのですが、彼は自分のことを理解しようとしない両親に対して強い憎しみと反発心を抱いていたようです。

しかし、クリスが失踪した後、両親は大きく変わりました。
クリスという存在の大きさを改めて感じ、彼という個人を理解しようとするようになった(と私は思う)のです。

身近にいながらも、お互いのかけがえのなさを感じることができず、心が離れてしまっている家族はたくさんあります。

そう言った意味でもクリスの行動は、必然であったのだと思うし、しなくてはならないものだったのでしょう。



クリスは旅の途上、様々な人と出会い、様々な価値観に触れます。
彼らから多くの影響を受け、また、自らも彼らに大きな影響を与えていくことになります。

そして、彼の心は少しづつ変わり始めていきます。
たぶん、両親に対しての思いも……。



1992年、アラスカの荒野。
彼は亡くなります。

映画における彼の最後の言葉は、次のようなものでした。


「幸福が現実となるのはそれを誰かと分かち合った時だ」


この言葉が彼が自らの短い人生の中で見つけた、彼の「真実」なのだと私は思います。




死の直前、夢の中でクリスが両親と再会し、抱き合っている映像が流れます。

彼が本当に求めていたもの。
それは、もしかしたら、両親との心のつながり、気持ちの分かち合いだったのかもしれません。



  • ほんとに観に行かれてたんですね(^^;ゞポリポリ

    では私は勇気を持って観に行かなければならないのだ。
    なんとか新宿まで行ってきます。。o・☆~
    (マカオから帰ってきたら♪)

    [ ☆chikori☆ ]

    2008/9/17(水) 午前 11:22

  • 顔アイコン

    ちこりさん、ほんとに観に行きました。
    勇気を持って行かなければならないほど重い映画ではないですよ。

    大自然の映像が素晴らしかったです。

    さるみみの見た世界

    2008/9/17(水) 午後 11:16

  • 先日、たまたま前を通りかかったお寺の前に
    ”過ぎ去ったあとにわかる。。。
    「幸せ」「奇跡」はいま手の中にある現実”
    というのがありました。他に探しにいくものではなく
    手の中にあるいまの現実を大切にすることが
    一番大事なんでしょうね。

    [ - ]

    2008/9/18(木) 午前 11:07

  • 顔アイコン

    ショーン・ペンはまたまた興味深い映画を作りましたね。エディ・べダーの音楽にも惹かれます、がこちらでは上映されないでしょう・・・
    おっしゃるように真実というのは主観的なものであって、普遍性をもたないただの概念に過ぎないと思います。自分が求める真実にたどり着いたときにそれとどう対峙するか、受け止めるのか、あるいは抗うのか?いずれにしろ死という事実が残ったというのは悲しいですね。

    k3voy

    2008/9/18(木) 午後 6:15

  • 顔アイコン

    ねえねさん、ほんとそうですね。
    虎舞竜の「ロード」の世界ですね。
    何でもないようなことが幸せなことなのかもしれません。

    さるみみの見た世界

    2008/9/20(土) 午前 9:40

  • 顔アイコン

    K3さん、生きて帰ってこれたら、この旅で得た彼の真実によって、彼の新たな人生のステージが始まったんでしょうけどね。
    けれども、彼の行動が両親を変えたことは事実です。
    結局、人間誰しもが自分なりの生きていく理屈や思想をそれぞれが構築していかなければならないのだと思います。それを誰かに委ねてはだめで、自分自身で考えていかなければならないと思います。
    強者の意見や世間の風潮に身を委ねていたら楽ですけどね。それが高じると「茶色の朝」を迎えることになってしまいます。

    さるみみの見た世界

    2008/9/20(土) 午前 9:51

  • 顔アイコン

    映画は観ていませんが随分前に原作を読みました。
    青臭いけど、自分の中にある譲れない衝動…自分らしく、生き抜いていくことの意味や難しさを考えさせられた一冊でした。

    [ 高橋美香 ]

    2008/9/20(土) 午後 11:20

  • 顔アイコン

    メストさん、「自分らしい生き方」というのは漠然としているけれども、そういうのがどこかにあるのではなくて、自分自身で考えて決断して生きていくうちに自分というものが形づくられていくんだと思うんです。何も考えず周りの空気に沿って風見鶏のように生きていくのもある意味、その人の自分らしさと言えるのかもしれないですけどね。

    さるみみの見た世界

    2008/9/21(日) 午後 0:37

  • 今日観て来ました!
    幸福は誰かとシェアすることによって現実になる。
    その通り。
    深く胸に刻まれる作品でした。
    TBさせてください。

    [ ☆chikori☆ ]

    2008/9/24(水) 午後 11:37

  • 顔アイコン

    ちこりさん、観てきましたか。
    ほんと、深い作品ですよね。
    TBありがとうございます!

    さるみみの見た世界

    2008/9/27(土) 午前 11:10

  • 先日予告を観ました。
    さるみみさんのお勧めですか!ぜひ観たいです!
    家の近くでは田舎故?11月に2週間だけ上映されます。
    機会を逃さず観にいきますね^^

    aninan

    2008/10/6(月) 午後 3:45

  • 顔アイコン

    ANINANさん、人によって感じ方は違うでしょうが、観て損はない映画だと思いますよ。映像も美しいです。

    さるみみの見た世界

    2008/10/6(月) 午後 10:14

  • 顔アイコン

    はじめまして。私もみました。
    彼が本当に求めていたもの。
    それは、もしかしたら、両親との心のつながり、気持ちの分かち合いだったのかもしれません。とおっしゃっていますがその通りかもしれませんね。
    ひとりでは幸せになれないって教えられた作品ですね。

    [ - ]

    2008/10/7(火) 午後 8:15

  • 顔アイコン

    キスタスさん、はじめまして!
    ご訪問ありがとうございます。
    ひとりでは幸せになれない。ほんとそうですね。

    さるみみの見た世界

    2008/10/8(水) 午後 10:18

  • 顔アイコン

    遅くなってしまいましたが、僕はさるみみさんのおかげで良質な映画を知り、鑑賞することができました、ありがとうございます。
    いわゆるドロップアウト、今の社会ではそれは容認されないことかもしれませんが、レールの上だけで学び得られる以上のものを得られるのかもしれませんね。教育に必要なのはゆとりではなく、寛容だと感じましたよ。

    k3voy

    2008/11/22(土) 午前 8:48

  • 顔アイコン

    K3さん、いい映画はみんなに見てもらいたいですよね。
    「教育に必要なのはゆとりではなく、寛容」まさにその通りだと思うんですね。今の時代に一番必要とされているのが寛容の精神だと思うんです。人に対しても、自分に対しても、世間、社会、国、どんな場面でも寛容の精神が足りないばかりに、殺伐とした事件や対立が起こっていますよね。

    さるみみの見た世界

    2008/11/22(土) 午前 9:51

  • さるみみさんTB有り難うございました!
    僕このDVDを買いました。
    彼は僕とほぼ同い年なのですが、当時社会人になったばかりで毎日満員電車に揺られ、社会の小さな歯車となってあくせくしていた時に、彼はアラスカの荒野にいたと思うと感慨深いものがありました。
    原作も読んでみたいです。

    [ - ]

    2009/4/30(木) 午前 8:04

  • 顔アイコン

    観てみますね!
    ご紹介どうもありがとう! ^^

    PINK

    2009/4/30(木) 午後 5:06

  • 顔アイコン

    ノアローさん、この原作、映画観たとき買おうと思ったのだけれども、どこの本やでも品切れでした。
    今なら買えるかな?

    さるみみの見た世界

    2009/4/30(木) 午後 10:31

  • 顔アイコン

    PINKさん、ぜひ観てみてください。
    観る価値のある映画ですよ。

    さるみみの見た世界

    2009/4/30(木) 午後 10:32

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