アラン諸島には、およそ5500年前から人が住んでいたとされていますが、このイニシュモア島には、ケルト以前の古代人が造った大きな遺跡が2つ遺されています。
ドン・エンガス(Dun Aonghasa)とドン・ドゥカハー(Dun Duchathair)です。
写真は、ドン・ドゥカハー。
この遺跡は、別名「ブラック・フォート」(黒い砦)とも呼ばれる遺跡で、城壁のような壁と居住地と思われる石垣が遺されています。
居住地部分は中世のものだそうですが、何に使われたのかはわかっていないそうです。
ドン・ドゥカハーは、かなり行きづらいところにあります。
この遺跡は島の南部にあるのですが、そこまではアップダウンの激しい未舗装の砂利道を進んでいかなければなりません。
自転車に乗り続けることは難しく、押して行かざるを得ません。
しかも、途中で道がなくなってしまうので、遺跡の場所の見当をつけて岩場を歩いていかなければならない。
けれども、そこまで苦労して行く価値のある素晴らしい遺跡、景観です。
ドン・エンガスの断崖に着きました。
ドン・エンガスは、島の南西にあります。
海面からの高さが100メートルにも達するという絶壁。
その向こうは永遠に続くかのような大海原、大西洋です。
ドン・エンガスの入口へは、ドン・ドゥカハーとは違って、自転車だけでなくバスでも行くことができます。
入口から遺跡までは歩いていく必要があるのですが、入口にはThe Heritage Saviceがあり、喫茶店もあります。
ドン・エンガスに入るには、1ユーロの入場料が必要です。
ドン・エンガスは、断崖を軸に4重の石垣が半円形に取り囲んだ遺跡で、約3500年前のものであると考えられています。
もともとは、円形またはD字型であり、崖の浸食によって現在の姿となったと推測されています。
この遺跡が何のために造られたのかは謎ですが、アイルランド本土からの侵略を防ぐため、神に礼拝する儀式をするためなど、様々な説が唱えられているそうです。
断崖には荒波が打ち寄せ激しい水しぶきをあげています。
吹き飛ばされそうなほどの強風がびゅうびゅうと吹いていました。
私は、崖を訪れた誰もがするように、腹ばいになって首を突き出して断崖の下を覗き込みました。
崩れかけた石垣を眺めながら私は古代に思いを馳せます。
古代人たちは、恐らく眺めていたのでしょう。
私と同じように、何処までも広がる大海原を、目を細めながら……。
そして古代人たちは、恐らく祈ったことでしょう。
この過酷な環境からの救いを求めて、海や空を司る神に……。
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