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 毎年、年の瀬になると思いだす言葉がある。

「絶望と希望は、実は同じものなんだ。」

浦山桐郎監督作品『青春の門 自立篇』(原作・五木寛之、脚色・早坂曉 1977年 東宝)のラスト、姿を消した恋人の織江が北海道に居るかも知れないと云う情報を得て、早稲田の演劇部の巡業に北海道に赴く主人公・伊吹信介(田中健)と演劇部の同僚・緒方(伊東辰夫)との遣り取りで緒方が信介に云う台詞だ。


未だに正確には解釈できていないと思うが、何と含みのある言葉だろう、と思う。

今年一年も御多聞に漏れず、公私ともに希望と絶望を繰り返した年だった。

生きるということは、そう云うことだとも思う。

しかし、どうせ絶望と希望が同じものなら、来年こそは希望を抱きながら過ごせる時間を少しでも長くしたいものだと思う。


 小さな反省、大きな悔いも残る。

読めなかった本、観ることが出来なかった映画と演劇、纏めることが出来なかった企画、それと書き出せなかった戯曲。

何より会うことが出来なかった友人、知人、親戚、恩人、旧友の方々たち…。

新作『私の叔父さん』(原作・連城三紀彦、主演・高橋克典、寺島咲)の製作、公開に関わって頂いた多くの人たちと、観て下さった方々へ伝えたかった感謝の気持ちも大部分、先送りになってしまった。

全ては自分の怠慢から生じているだけに言い訳の仕様もないのだが。

先送り出来る時間も限られて来たと云うのに、色々なことを先送りしながら暮れて行く凡夫の年の瀬です。

来年こそは先送りなしの一年にしたい、と毎年、思うのですが(苦笑)。

こんな私ではありますが、宜しかったら来年も宜しく御願い致します。





 日本映画大学の名物授業『映画ヒーロー論』第3回目。

小谷承靖監督をゲスト講師に招いて『若大将』に付いて展開していき、少年時代のヒーローだった若大将映画について色々なことを考えることが出来た。

幹事は田辺秋守先生。

『若大将』シリーズは、スポーツ万能で歌も唄える大学生・田沼雄一がスポーツ大会での優勝を目指す中、星由里子演じるキャリア・ウーマンの澄子さんと出遇い恋に落ち、田中邦衛演じる同級生の青大将が横恋慕して行く、と云う筋書きの青春歌謡映画。

若大将の父に名優・有島一郎、祖母に飯田蝶子など個性的な芸達者を揃え、彼らとの掛け合いも人気となった。

小谷監督は、シリーズ最高のヒット作『アルプスの若大将』(古沢憲吾監督1966)から助監督に就き、後期(ラスト2)の『俺の空だぜ! 若大将』(1970)でデビューされ、番外編『帰ってきた若大将』(1981)、草刈政雄主演の新若大将シリーズ(1975〜76)を撮られている。

加山雄三は、1960年、東宝が三船敏郎に続く看板スターにすべく鳴り物入りで売り出したホープ。
『若大将』は、加山の慶応大学での学生生活がモデルになっているとも云われている。

『若大将シリーズ』は、翌1961年の『大学の若大将』(杉江敏男監督)から始まり、当初はそれほど評判にこそならなかったが二本立ての添え物として続き、ビートルズ&エレキギターブームの中、6作目の『エレキの若大将』(岩内克己監督1965)がブレイクし、主題歌『君といつまでも』『夜空の星』が大ヒット、加山も一躍国民的なトップスターとなった。

しかし『エレキの若大将』から6年後に16本目の『若大将対青大将』(岩内克己監督1971)でシリーズ終了。
小谷監督の『俺の空だぜ! 若大将』はその一本前の作品となる。

その間、若大将は大学を卒業してサラリーマンとなり(『フレッシュマン若大将』[監督・福田純1969])、加山自身もイメチェンを図り『狙撃』(堀川弘通監督1968)、『弾痕』(森谷司郎監督1969)等のアクション映画で新境地を図ろうとしたが成功したとは言えなかった。

『アルプスの若大将』では400万人近くあった観客動員も最終作『若大将対青大将』では50万人近くまで落ち込んでいた。

これには、映画界の斜陽+30歳を過ぎた加山の年齢もあったが、高度成長期にも陰りが見え、70年安保を前に世の中が激動の時代を迎えていたことが大きかった。
『若大将』シリーズだけでなくクレイジー・キャッツ物や『社長』シリーズ、座頭市シリーズ等ブームを起こした他のシリーズも昔日の動員力は無くなっていた。

同時期東映では高倉健がヤクザ映画で絶頂を迎え73年頃まで続いたが、『仁義なき戦い』(監督・深作欣二、脚本・笠原和夫1973)などの実録物の台頭もあり『新幹線大爆破』(佐藤純弥監督、脚本・小田竜之介1975)を置き土産に76年には健さんも東映を去る。

大映が倒産し、日活がロマンポルノに移行したのもこの時期だ。

詰り、邦画全盛期の雛型(撮影所システム、配給システム)が通用しなくなった時代に確実になって来ていた。

シリーズ物で気を吐いていたのは松竹の『男はつらいよ』(山田洋次監督1969〜1996)シリーズだけ。
あの一世を風靡した植木等の『日本一の〜男』シリーズさえも凋落し、何より東宝が72年に製作部門を切り離した激動の時代だった。

由って『俺の空だぜ! 若大将』の加山が精彩を欠いていたのは当然だが、小谷監督にはデビュー作に当たると云う相反する稀有な製作背景を持つ作品となってしまった。

従って、小谷承靖監督第一作目の初々しさは有りながら、しかし加山の素の魅力で成立していた『若大将』シリーズだけにその加山が精彩を欠いていたことは如何ともし難く、小谷監督の若大将としては、75年からの草刈正雄の新『若大将』と加山の芸能生活20周年記念作品『帰ってきた若大将』の方が完成度が高いと思う。

 とまれ、若大将と青大将、そしてその家族や恋人、友人たちの牧歌的な関係性の魅力で魅せてきた『若大将』シリーズが71年に終焉したことは、時代が戦後の幼稚性から脱却し公害、学生運動、ベトナム戦争など深刻な問題が起きて来た帰結であり、この様な罪のない牧歌的且つインロウ的なヒーロー像は以後、映画では生まれておらず、東日本大震災以降の日本では尚更、生まれ得ないのではないかと思う。

ま、それだけに映画全盛期が持つ総合力の変遷を視るのに欠かせないシリーズの一つであることは間違いない。

正月などに観るのにはピッタリのシリーズ、お薦めですよ(笑)。



映画の表現方法の一つに、観る者を惹きつけるサスペンスと云う手法がある。

その手法の筆頭は、登場人物(主に主人公)が知らないことを予め観客に知らせておいてハラハラさせる手法だ。

よく例えに出される例としては、主人公たちが夕飯を食べているテーブルの下に時限爆弾が仕掛けてあるという様なやつだ。

勿論、主人公たち登場人物は知らないが、観客には前のシーンなりで知らせてあるやり方だ。

観客は、何も知らない主人公たちに代わって、何時、爆発するのかとハラハラすると云う手法、ヒッチコックが、このサスペンスを多用した。

勿論、このやり方だけがサスペンスではない。

登場人物の疑問や不安を観客に共有させ擬似体験させるのも亦、サスペンスである。
詰り、登場人物の情報量=観客の情報量でも疑問や不安を持たせればサスペンスとなる。

何れにしろ映画の手法としてのサスペンスとは、どっち付かずで不安定な緊張感のことである。

とすると現在の日本を取り囲む状況は、サスペンスに溢れていると云うことになるか(笑)。

しかし、主人公=国民としての我々は、ヒッチコック映画の登場人物の様に何かが仕掛けられていることを知らないで居る訳にはいかない。

何故なら、大変な痛手を被ることになるから。



小さな御報せ

 主宰と云う形になっている【創作ユニット スタニスラフスキー探偵団】。

去年の今頃は『マルクス愚連隊、原作者Jr.拉致事件なう。』公演の直前で慌ただしい日々を過ごしていました。

思えば、東日本大震災が起きたその歳の慌ただしい時期によくぞ公演をしたものですが(苦笑)。

新作映画『私の叔父さん』(原作・連城三紀彦、主演・高橋克典、寺島咲)を仕上げて間髪入れずに稽古を始めたので余計に慌ただしく、かなり疲労困憊していたのを覚えています。

今年は、その『私の叔父さん』の公開と、日本映画学校の講師から日本映画大学の講師への異動もあり、公演は当分控えることにし少人数制の【勉強会と云う名のワークショップ】を5月から2か月に一度ほど行ってきたのみの活動になりました。

演技者も作家と等質だと捉え、私の標榜する【ドラマの本質の定義】を単に知識だけではなく演技に活かすべく体得して貰う、と云うのが狙いで5人程度の少人数制で行ってきた来たわけです。

第2回は、【俳優にとって脚本が読める、読めないということはどういうことか? 】と云うテーマで行いました。

第3回目を12月の上旬に開催しますが、今回は、訳け有って公募をせずに前回参加してくれた人たちにしか声を掛けないことにしました。

一つには、前回の参加者が予定の倍になってしまい、しかも半数は連続参加者であったからと云うこともあります。
少人数制ですので公募すると連続参加者が参加したくても出来なくなる可能性が出てくる怖れがあったからです。

もう一つは、ユニットの内部事情です。

因みに第3回目のテーマは、【どの様な役でも主役と同じ様に観る者を惹きつけるメソッド】です。

これは、【ドラマの本質の定義】を活かした役作りの【真髄】とも云えるものだと自負しています。

日本映画学校では在った俳優科が日本映画大学ではないこともあり、未知の俳優諸氏との出遭いや俳優志望の人たちとの出遭いの場の必要性も有り、今後も細々と続けて行こうと思っていますが、
今回はこの様な趣旨になったので一応、お断りを兼ねて御報せしておきます。

勿論、ワークショップの後は、忘年会を兼ねての懇親会に雪崩れ込みます。

とは言え、忘年会シーズン、お互い飲み過ぎには気を付けましょう(笑)。

【創作ユニット スタニスラフスキー探偵団】主宰としての小さな報告でした。

映画の中の映画 

 何と3か月ぶりの書き込み!?

映画『サウンド・オブ・ミュージック』を久し振りに観る。1965年公開の映画だが実は観るのはこれが二度目。
公開当時中学一年生の私は観ていない。

初めて観たのも10余年前だからスクリーンで観た訳ではない。
日頃、初見の映画はスクリーンで、と標榜しているにも拘らず恥ずかしい次第です。

これほど色々な意味で有名な映画でありながらも私には余り縁がなかった映画と云うことだ。

だから、初見の10余年前までは、この作品が実は反戦映画だということすら知らなかったと云う恥ずかしさだ。

二回目の今回は、先ず、人間の描き方の豊さとストーリーテラーの構成の巧さに舌を巻く。

冒頭15分までで主人公マリアの人間性の紹介、純粋だが枠に収まらず、色々と小さな問題を起こしながらも自分に正直に生きる人気者、故に修道女には向かないのでは、と云うことを先輩修道女たちの小さな対立の遣り取りで魅せてしまう巧さ。
途中からミュージカル手法になるも違和感は全くなし!

そして、その修道女になるには問題児かもしれないマリアが、裕福な軍人の家に住み込みの家庭教師として赴くところからドラマは本格的に動き出す。

母親を失った七人の子供たちと、その父親である厳格に規律を重んじる大佐。

野生児マリアもこの厳格な軍人の父親には少し手古摺るが、持ち前の大らかさと優しさとで先ず子供たちの信頼を勝ち取り、やがては歌を教えることにより子供たちに子供らしさと自由を取り戻す。更にはその歌声で、厳格なる軍人の父親の童心をも取り戻し氷解させてしまう。

ここまでが1時間15分。

ここまででも充分に見応えがあり、ここで終わっても作品としては成立している完成度に兎に角、脱帽。

更にドラマは進み、心の通い始めたマリアと軍人の父親、そして軍人の父親の再婚相手候補、つまり子供たちの新しい母親候補の金持ちの女性との恋の鞘当が始まる。

自分よりマリアの方に父親の気持ちが傾いていると悟った金持ち婦人の奸計に引っ掛かり、マリアは、子供たちに別れも告げずに修道院に戻ってしまう。(修道女は、恋をしてはいけない、と云うモラル感を利用しての奸計にも説得性がある。)

果たしてマリアと子供たち、父親はどうなるのか? と云うサスペンスを残し、前半が終わり休憩が入る心憎さ。

ここまでで1時間45分。

いやあ、人間性と登場人物たちとの関係性の豊さで魅せること魅せること。

後半、マリア恋しさで修道院に訪ねていく子供たちの行動が切欠になり、シスターに背中を押されて家庭教師として戻ることになるマリア。

そこで、父親が金持ち女性と結婚を決めたと知る。
が、父親の本当の気持ちを悟った金持ち女性が身を引き、結婚を決めるマリアと父親。

そして、冒頭でマリアが歌っているのと同じ曲が流れる中での豪華で厳粛な結婚式!

ここまでで2時間20分前後。

ここで映画が終了しても良いのだが、ここから反戦映画の趣を強くし、謂わば第3部が始まると云う凄い構成!

父親の友人が、ひと儲けするために画策していた音楽祭に家族で出場することを絡ませ、ナチ支配が始まったオーストリアから一家が脱出するまでを描く。
何といっても、あの伝説の「エーデルワイス」の旋律とテーマにマッチした歌詞の素晴らしさよ! (勿論、舞台で使用していた曲なのだろうが。)

数多ある、主人公が観客の前で歌を唄い始める映画の中でも出色の素晴らしさだ。

しかも、この音楽祭を利用して脱出するという凝り方。(史実かどうか知りませんが。)

正に、映画黄金期の「映画の中の映画」と云える豊な作品!

1ドル360円時代で約30億円の製作費。現在だったら1000億円近い製作費になるはず。

それにしても、マリアたちを助けた修道女たちの最後の台詞「神に対して罪を犯しました。」は、当時劇場では爆笑もんだっただろうな(笑)。

47年前の作品を今更なんだと思われるでしょうが、文句なく、一本勝ち!

少し疲れてきた私の心が元気になってきた気がするほどの名作なので、観直してみるのも一興かと。







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