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4月2日からロンドンで主要20カ国・地域(G20)の金融サミットが開かれるが、それを前に日本では景気の悪化を示す指標が相次いで発表された。アメリカではGM(ゼネラルモーターズ)とクライスラーが破産の危機に直面している。ところが、株式相場は世界の主要市場で3月初旬前後に底を入れたかたちになっている。
3月30日に発表された今年2月の鉱工業生産指数(季節調整済み、2005年=100、経済産業省)は68.7で前月比9.4%の低下、前年同月比では38.4%の低下だった。これで08年10月以来5ヶ月連続の低下で、対前年同月比の低下率は過去最大である。
なかでも、自動車などの輸送機械は前年同月比では57.5%の低下だった。すなわち、この業種の生産は前年同月の半分以下に落ち込んだわけである。
同31日に発表された日本銀行による3月の「企業短期経済観測調査」(いわゆる短観、3ヶ月ごとの調査)では、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)がマイナス58となり、第1次石油危機後の1975年5月のマイナス57を超える過去最悪のマイナスとなった。
ただし、注意すべきは、この業況判断DIとは、調査対象企業の中で景況感が「良い」と答えた企業の割合(%)から「悪い」と答えた企業の割合(%)を引いた値であるから、全企業の中で不況に陥っている(と感じている)企業の「広がり」を表しているといってよい。だから、マイナス58はそういう広がりがこれまでの内で一番大きいということを示しているが、この数値だけで不況の深さ(落ち込みの大きさ)を測れるわけではない。
その点は、鉱工業生産指数の低下率(とくに前年同月と比較しての、あるいはピークと比較しての)の大きさとは意味が異なることに注意する必要がある。
それはとにかくとして、今年2月、3月における鉱工業生産動向や企業景気観から見ると、わが国経済が深く広い不況のただ中にいることが確認できる。しかし、このことは、戦争直後期の欠乏とインフレーションの経済を別にすると、今回の不況が戦後最悪の不況であると考えてきたことからすれば、当然に予想されたことである。
おそらく、鉱工業生産の低下(対前月)が今年早々に終わると予想した人はほとんどいなかったのではないか。その意味で、今年2月〜3月のきびしい不況現象は想定の範囲内のことといえるだろう。
ところが、株式相場はこれとはかなり異なった動きを示している。東京市場の平均株価(日経平均)は3月10日の7054.98円を底に、ジグザグを示しながらも上昇傾向をたどり、直近4月1日の8351.91円へ、18.4%の上昇となった。
同様の点(底となった日と直近の日、およびその間の上昇率)を世界の主要市場についてみると、ニューヨーク(3月9日、31日、16.2%)、ロンドン(3月4日、31日、11.8%)、フランクフルト(3月6日、31日、11.4%)上海(2月27日、4月1日、23.5%、ただし外国人も参加するB株)、香港(3月9日、4月1日、19.2%、香港市場の時価総額の7割を占めるハンセン指数)、シンガポール(3月9日、31日、16.7%)、ムンバイ(3月9日、31日、19.0%)となっている。
このうち上海のB株は、大きな流れで見ると、08年10月29日を底として上昇してきている点が注目される。
株価は一般的に景気の先行指標と考えられてきたし、またそういうものとして「不景気の株高」を演ずるとされてきた。もちろん、景気の実態を示す諸々の指標は現実における不況の進行を物語っているが、投資家の予想としては、世界ほぼ同時に、景気の底入れを期待し始めたと見ることができる。
これは、おそらく、大きな金融機関の破綻は山を越えたと見てのことではないだろうか。
このような期待が近い将来に現実化するかどうかは予断を許さないが、少なくとも、実体経済における景気の下降と株価の下落の同時進行という昨年来の流れに一つの変化が生じていることは否定できない。複眼を持って景気動向を観察する必要が強まったといえるだろう。 (この項、終り)
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FBIの債権買取OPから潮目が変わった印象があります。実際、悪材料は出きっていますから、株価上昇してもおかしくありません。後はGMの破産が現実味を帯びてきたので、それに対する影響をどう捉えるかですね。
2009/4/2(木) 午前 0:38 [ K9 ]