文太郎の日記帳

景気、財政赤字、国際経済、政治・政局、世界情勢、日米関係など現代の諸問題を広い視野で解明します。

世界大不況

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政権交代&政治危機

 いよいよ麻生政権そして自民党政権の末期が近づいたようだ。その決定打となったのが、いうまでもなく7月12日の都会議員選挙における自民党の歴史的大敗と自公両党の都議会過半数割れ、そして民主党の第1党への躍進である。
 16日現在、自民党の反麻生派議員による両院議員総会招集の要求が自民党幹事長に提出され、同総会が開かれればその場で自民党総裁選挙(規定上は現総裁の任期満了は9月30日、現衆議院議員の任期満了は9月10日)の繰り上げ実施を決定し、新総裁・新総理を選んだ上で、できるだけ遅い時期に総選挙をずらそうという作戦が展開中である。
 この「麻生下ろし」が成功するのかどうか、現時点では不明である。しかし、それが成功するにせよ、しないにせよ、来るべき総選挙でいまの自公政権が終ることは確実のようである。

 端的にいえば、自民党政権というのは、1955年に保守合同(鳩山一郎総裁の民主党と緒方竹虎総裁《吉田茂の後継》の自由党の合同)によって成立して以来、主として日本経済の高度成長を背景として存続してきた政権だと言えると思う。そして、その絶頂は1980年代のバブル期経済を背景とした中曽根康弘政権及び竹下登政権であり、そうした絶頂期は奇しくも昭和の終焉(1989年)とともに過ぎ去った。
 それ以後も自民党政権は続くが、経済はバブル崩壊後の低迷期に入っていた。この時期の内閣(宇野宗佑、海部俊樹、宮沢喜一)は概して短命であり、1993年にはついに細川護煕日本新党代表を首班とする連立政権(社会・新生・公明・日本新・さきがけ・社民連などの各党)が成立、ここに自民党は結党以来初めて野に下った。

 その後、超短期の羽田孜内閣を経て、94年には村山富市社会党委員長を首班とする連立政府(自民・社会・さきがけの各党)が成立、自民党はそれを機会に与党に復帰、そして96年に再び橋本龍太郎首班の自民党内閣が成立した(社民・さきがけ両党が閣外協力)。 
 だが、それ以後の自民党内閣(小渕恵三・森喜朗・小泉純一郎・安部晋三・福田康夫・麻生太郎各首班)はいわば惰性で(あるいは強力な野党がなかったために)続いたようなもので、99年の第2次小渕内閣以後は公明党の協力があってようやく存続し得たのである。
 
 上記の過程での小泉内閣(2001年〜06年)は例外的な長期政権となったが、それも小泉首相の「自民党をぶっ壊す」という一種の革新的スローガンが人気を博したことによる面が大きかった。そして、今日から振りかえれば、実際、小泉は自民党崩壊の道筋をつけたと言える。
 では、改革を標榜した小泉政権がなぜ高度成長後の日本に適合する政策を打ち出せなかったのか。今日、多くの人びとはそれをこの政権の市場万能主義のためだというが(たしかにそれもあるが)、根本的には、小泉政権とそのブレーンたちが低成長下での少子高齢化社会(その根底で進む人口の減少)の問題を理解できなかったためである。

 ポスト小泉政権の各内閣の性格は、安倍首相が唱えた「美しい日本」というまったく空疎なスローガンに象徴されている。そして、それらの内閣の下で、年金問題や医療問題などでの失政が次から次へと表面化し、自民党政権は末期的症状を呈し始めた。2007年には参議院議員選挙の結果、民主党の躍進で自公両党は参議院で多数を失った。
 麻生首相(08年〜)はそうした末期政権にふさわしく、ただ総理大臣になりたいだけで首相の座を射止めたような無内容なそして優柔不断な総理だった。また、そうした政治家を「選挙に有利な顔」として自民党総裁に選んだ自民党も、まさに末期的症状に陥っていた。
 ただ、麻生首相は経済危機を「100年に一度の危機」という口実で最大限に利用し、自らが責任を負わない国家の借金をほとんど無制約で増やして、バラマキの不況対策を実施し、本人は「不況対策で実績を上げた」 という自負に酔ってきた。

 だが、国民はそうした首相のあり方に次第に愛想を尽かした。そこから、なによりも「政権交代」を望むようになった。都議選を頂点とする一連の地方選挙における民主党系候補の勝利がそれを裏付けた。
 おそらく、来るべき総選挙後には、民主党中心の連立政権が誕生するだろう。では、その新政権は、自民党政権と違って、いまの人口減少・低成長そして財政危機下の経済に適切に対処できるだろうか。私はその点では悲観的である。
 前に当「診断録」(5月16日号)で触れたように、鳩山の発言はいつもピントがずれている。今回の都議選についてのコメントを聞いていても、ほとんどもっぱら「政権交代」を唱えるだけで、それぞれの場合に適切だと思われるコメントはほとんど聞かれない。話し方も、古いタイプの政治家によく見られたような過度に詠嘆調のものだ。

 では、鳩山を補佐する民主党のスタッフに、現下の経済・社会問題(短期的・長期的な)で有効な助言をできる政治家がどれだけいるのだろうか。寥々たるものではないか。 したがって、自民党に代わる新政権も不安定政権となる可能性が大きい。総選挙、政権交代に関する各種世論調査の結果を見ても、国民は鳩山代表をあまり評価していない。 そうすると、遅かれ早かれ、政界再編成が起き、いまの自民党も民主党も割れるのではないか。すくなくとも、私は自民党は勢力ある政党としては早くに消えてなくなるように思う。
 このような状況は、政治不安定の時代の始まり、すなわち政治危機の到来である。それは、経済危機を克服する上で大きなマイナスであることはいうまでもない。

 ついでに、他の国の場合を若干見てみよう。
 ドイツでも来る9月27日に下院(ブンデスターク)の選挙が行われる。それを前にして、ドイツ政府は多額の不良債権を抱える金融機関に対するストレステストを見送り、そのリストラクチャリングを推し進めようとしていない(NYタイムス、7月15日)。なぜなら、ストレステストの結果、いくつかの金融機関の損失が明らかとなり、それらに公的資金を注入しなければならなくなったら、政府が税金を投入しての企業救済に批判的な国民の支持を失う恐れがあるからだという。
 実は、金融機関がそうした不良資産を抱えているため、ブンデスバンク(ドイツの中央銀行)が潤沢な資金を供給しても、金融機関はそういう資金を民間の事業資金として貸し出さず、ブンデスバンクへの預金あるいは国債への投資に向けがちだという。これが、ドイツの景気回復を遅らせている大きな理由で、「日本の失われた10年」の過ちを繰り返す恐れがある(NYタイムス、14日)。ただし、この記事は、総選挙が終ればドイツ政府も問題の処理に着手するのではないか、と述べているが。

 イギリスでもブラウン内閣(労働党)が支持率の低下、地方選挙での敗北などに直面し、「ブラウン下ろし」が起きている。
 このように見ると、今回の世界不況は、従来の経済システムだけではなく、議会制内閣制度にとっても危機表面化の機会となったのではないか。。
 その点、アメリカ(大統領制)と中国(1党独裁)は政治的安定という点で優位に立っている。しかし、その中国も前にはチベット族、今回はウイグル族の抵抗など、厄介な民族問題を抱えているが。
 
 そうしてみると、7月8〜10日のラクイラでのG8サミット(主要8カ国首脳会議)で、各国首脳が世界経済に関して何ら新しい視点を示せなかった理由も理解できる(当「診断録」7月12日号参照)。
 願わくは、来るべき総選挙のあとで、わが国に少しでも安定的で、時代にマッチした新政権が生れることを期待したい。 (この項終り)


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