|
7月21日のNY株式ダウ平均は67.79ポイント高の8915.94となり、7日連騰で今年1月6日以来の高値となった。連騰前の8146.52ポイント(7月10日)以後の上げ幅と上昇率は769.42ポイント、9.4% に達する。また、NY市場のナスダック総合指数(ハイテク銘柄が多い)は10日の連騰で1916.20ポイントとなり、昨年10月3日以来の高値をつけた。
東京市場の日経平均も、NYに引っ張られて、7月14日〜22日の6日連騰で9723.16円となった。この間の上げ幅は672.83円、上昇率は7.4%である。
7月13日に始まる今回の米欧日の株価再反騰(日本は14日から)の特徴は、前回の当「診断録」(7月20日号)で述べたように、主としてアメリカ主要企業の4〜6月期の好決算を反映したものであるが、そうした業績好転は未だかならずしもアメリカの非金融部門の産業全般の景気好転を反映したものとは言えない、というところにある。
そのような状況の中で、FRB(米中央銀行である連邦準備制度の理事会)のバーナンキ議長が21,22日に議会上下両院の委員会で連邦準備としての半年ごとの金融政策報告を行った。その内容はかなり注目されるものであり、その要点は22日の日本の各紙(朝刊及び夕刊)にも報じられたが、その伝え方は、日経朝刊1面の見出しー「米経済『安定化の兆し』」ーに見られるように、はなはだ不得要領であった。
そこで、このバーナンキ報告で示されたアメリカ景気についてのFRBの現状判断について、あらためてその要点をまとめておきたい(以下に引用するバーナンキ証言の内容はNYタイムス電子版、7月22日による)。
バーナンキ議長はアメリカ景気の現状については、「経済の下降のペースはゆるやかに(スローに)なったように思われるが、労働市場に持続的な弱さ(労働への需要の)が見られるので、連邦準備は期限を延長して金利を例外的に低い現在のレベルに保つことになるだろう」と述べた。
すなわち、緩やかになったとはいえ景気はまだ下降中であるので、いまはマネー過剰を解消するための「出口戦略」をとる段階ではない、ということである。「弱い(人手に対する需要が少ない)労働市場と、住宅価格の持続的な下落、及びクレジットの得にくさが合わさって消費者の購買意欲を低下させ、このところ家計支出に見られた安定化傾向を掘り崩しつつある」。
この証言を見れば、アメリカの中央銀行が景気の現状と先行きを判断する上で、労働市場と家計支出の動向を重視していることがわかる。妥当な判断であろう。
それでは、バーナンキ議長はなぜ今の時点で「出口戦略」に言及する必要があったのか。それは議会に、異例の景気刺激策(巨大な財政赤字と異常な金融緩和)がインフレーションを引き起こすのではないかという恐れが強いからである。むしろ今回のバーナンキの議会証言は、そうした議会の不安を解消することに力点が置かれていた。政府および連邦準備としては、現在執行中の景気対策の手を議会によって縛られないようにすることが必要なのである。
そのためにバーナンキ議長は、「いったん景気回復が始まれば、連邦準備は、過剰流動性(過剰マネー)を経済から排出し、インフレーションの発生を防ぐために、必要な措置を実行するつもりである」と約束して、そのような場合に必要かつ実行可能な金利引き上げの諸方法について説明を行っている。
このように、アメリカの景気の現状と先行きについてのFRBの判断はかなりハッキリしている。
たまたま、7月20日には全米企業エコノミスト協会(NABE)がアメリカ景気についての四半期報告を発表しているので、その結論を併せて紹介しておく(ロイター電子版、7月20日による)。
それによると(企業エコノミスト102人が回答)、回答者の55%が景気はまだ底入れしていないと回答、うち14%は(自社の)売上高が底を打つのは2010年もしくはそれ以降と予想した。他方、回答者の45%は最悪期は脱したと回答した。また、回答者たちは労働市場の弱さが続くとの見方をしているとのことであった。
以上、FRBもNABEも指摘するように、アメリカ景気の今後を占う上で、労働市場(失業率など)と家計消費の動向がとくに注目されることを再確認しておきたい。 (この項 終り)
|