文太郎の日記帳

景気、財政赤字、国際経済、政治・政局、世界情勢、日米関係など現代の諸問題を広い視野で解明します。

世界大不況

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 8月30日(日)の総選挙で民主党が308議席獲得という歴史的大勝利を得た直後、31日(月)の東京株式市場は、まことにわかりにくい動きを示した。日経平均は前場で一時200円を超えて上昇、年初来の高値を更新した。しかしその後為替相場が1ドル=92.57円と7週間ぶりのドル安・円高となったのを受け、日経平均は反落し、同日の終値は41.613円安となった。
 31日当初の株高は、民主党大勝による政局安定を歓迎したのと、31日発表の7月の鉱工業生産指数が前月比1.9%のプラスと5ヶ月連続の上昇となったことを好感したことが主因であった。
 だが、その後に進んだ円高は、31日の上海の総合株価指数が急落したことを受けて、「リスク回避の円買い」が進んだためという(ロイター)。とにかく、このところ為替市場では円が「安全資産」と見なされて買われる傾向があるが、その円高が輸出にマイナスに働くとの理由で、民主党大勝などによる株価上昇を打ち消す要因になるのだから、わかりにくい。

 その東京株式は、翌9月1日(火)には37.53円高と小反発した。こうした東京市場の動きも、世界各地の市場の動向と併せて考察すると、実は主要国の株価が(少なくとも短期的には)8月の最終週をピークとした調整局面に入った、その一環ではないかと思われる。とくに1日にはヨーロッパとアメリカの株価が大きく下げたことが注目される。
 すなわち、日経平均は8月26日の10639.71円がピークで9月1日は10530.06円。ヨーロッパではロンドンのFTSEが25日の4916.8がピークで9月1日は4819.70。フランクフルトのDAXは8月25日の5557.09がピークで9月1日は5327.29。ニューヨークは8月27日の9580.63がピークで 9月1日は9310.60。ニューヨークは8月28日以来3日連続の下げで、下げ幅は計270.03ポインに達した。
 他方、一時は世界の株価上昇をリードするような位置にあった上海の総合株価指数は、このところ下落基調に入っていたが(当「診断録」8月26日号参照)、8月31日には6.7%安と2008年6月以来最大の下げを記録して、31日の世界的(日本、アジア、ヨーロッパ、アメリカ)な株価下落をリードした。同指数の8月の下落率は21.8%で、過去15年間で2番目の大きさだった。9月1日には0.6% 戻したが、ごく小幅な上げにとどまった。

 このような最近の世界的な株安の背景は、ひと言で言えば、「経済の現状に対して資産価格の上昇が先行しているとの懸念から中国で株価が大幅安となり、商品価格も下落していること」(ロイター、8月31日)にある。
 たしかに経済実態面には、各国で最近いくつかの改善指標が見られる。たとえば9月1日にアメリカの供給管理研究所(Institute for Supply Management)が発表した8月の製造業景気動向指数は52.9で、7月の48.9を上回り、2007年6月の指数(52.9)に並んだ。同指数が景気の上昇・下落の分岐点である50を上回るのは08年1月以来である。
 しかし他方で、商務省1日発表の7月の建設支出は前月比で0.2%、前年同月比で10.5%の減少で、景気の楽観論に水を差した。それと、アメリカの景気動向を占う直近の重要指標は4日(金、現地時間)発表予定の8月の失業率であるが、エコノミストの予想は9.5%と7月の9.4%を上回っており(NYタイムス電子版、9月2日)、雇用に関するこうした予想が、実はこのところのニューヨーク株価下落の重要な一要因になっている。
 ヨーロッパに関しては、EU(欧州連合)統計局9月1日発表によるユーロ圏16カ国の7月の失業率は9.5%で、6月(9.4% )より悪化、99年5月以来 約10年ぶりの高水準となった。失業者数も1509万人と1500万人を突破した。EU全体の7月の失業率は9.0%で、やはり6月より0.1ポイント悪化した。

 以上のように、景気の底入れは(新興国を除いて)世界的にまだ確認されておらず、そのことが景気実態に先行してきた株価にこのところ調整をもたらしていると考えらられる。総選挙後の日本の株価の不安定な動きも、そのようなコンテキスト(文脈)に照らすと理解しやすい。 (この項 終り なお私は2日から6日まで旅行します)

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今日の診断録の中段、「経済の現状に対して資産価格の上昇が先行」ですが、ロイターの記者はなぜ「株価」と書かず「資産価格」と広い概念を使ったのかが気にかかりました。診断録を読む限り、資産価格=株価のように読み取れるのですが。

2009/9/3(木) 午前 6:24 [ ねずみ ]

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先生のご意見はもっともだと思います。マスコミの一般論として景気の底打ちと言われていますが、私も懐疑的です。ただここまで株価が上昇したことは事実なので、やはり一応の底打ちかなとも思います。

2009/9/8(火) 午後 9:31 [ 曳馬野旅人 ]


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