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このところ世界各地の株式市場では株価がかなり激しく上下した。
たとえばNY(ニューヨーク)のダウ平均は10月29日に199.89ポイント上昇し、30日には249.85ポイント急落した。29日の株価には米国第3四半期の実質GDPが年率で3.5%のプラス(5四半期ぶりのプラス)になったことが影響し、30日のそれは9月の米消費支出が0.5%減と5ヶ月ぶりに減少に転じたことが主として影響した。
日本では、日経平均は10月30日に143.64円上昇した後、11月2日(翌営業日)には231.79円の急落を記録した。30日の上げは、9月の失業率が5.3%と前月より0.2ポイント改善、7月の5.7%から2ヶ月続けて好転したことなどが好感されたもの。対して11月2日の急落は、米ノンバンクの大手CITが破産をした(11月1日、連邦破産法11条の適用を申請)ことにより、米景気の先行きに対する不安が再燃したことの影響が大きかった。
いったい、株価は世界的にどの方向に向っているのだろうか。
まず外国の主要市場の動きを見よう。
NYダウは10月14日に10000の大台に乗せた後、19日に10092.19の年初来の高値をつけた。しかし、その後は1進1退ながら弱含みで、23日に10000を割った。そして直近11月2日の終値は9789.44である。この日々の歩み(いわゆる日足)をグラフに描いてみるともっとハッキリするが、NYダウは10月19日にピークを打って(すくなくとも短期的には)、以後は下げ傾向にある。
ヨーロッパでは、FTSE100(ロンドン)は10月14日に5200台に乗せた後、19日の5281.5をピークとして弱含みとなり、11月2日の終値は5104.5 だった。
DAX30(フランクフルト)は10月14日に5800台に上昇、19日の5852.56がピークで下げ基調となり、11月2日には5430.82 で終えている。
以上は主要先進国での株価であるが、成長が比較的順調ないわゆる新興国ではどうか。
上海総合指数は8月4日に3471.44を記録し、これをピークとしてその後は3000以下で上下を繰り返している。11月2日には過去3週間余りでは最大の上げ(80.801ポイント)を記録したが、終値はなお3076.649 どまりである。
新興国の代表格であるいわゆるブリックス(BRICs。ブラジル、ロシア、インド、中国)の一角を占め、2016年のリオデジャネイロ・オリンピック開催に湧くブラジルでは、ボベスパ指数がやはり10月19日の67239.45をピークとして下落トレンドにあり、10月31日には61545.50 まで下げた(下落率8.5%)。
要するに、はっきりした景気回復過程にある新興諸国でも、株価は先進主要国とほぼ同様の変動を示していることがわかる。
では日本の株価はどうか。日経平均は7月27日に10000円の大台に乗せ、8月26日には10639.71円へ上昇した。しかし、その後は1進1退ながら弱含みで、11月2日には9802.95円と1万円を割っている。より細かく見ると、9月25日以降では10月20日の10336.84円がピークとなっている(そこから11月2日までの下落率は5.2%)。
つまり、日本の株価は8月末の総選挙頃が転機となって、先進主要国の中では一足早く下げトレンドに入っているが、それでも、最近ではやはり10月20日が新たな転機となっており、その点で世界的な株価の運動に連動している。
以上、かなり細かく各国の株価の最近の動向を見たが、いずれの市場も結局はニューヨークの動きに影響されているのである(中国の株価の動きは、世界との連動関係はあるものの、比較的独自的だが)。
要するに、アメリカ経済の世界におけるウエイトは低下したが、世界景気の方向と、それをある程度先行的に反映する株価の動向(さらにはマネー全体の動き)に関しては、依然としてリーディング・カントリーだということだろう。
そのNY株価が10月後半以降はゆるやかな下げトレンドにある、ということだ。そのことは、アメリカの第3四半期の実質GDPがプラスになったことなど、景気が回復過程に入ったように思わせる指標の動きも見られるが、依然として企業も個人も景気の先行きに確信を持てないでいる、という今の状況を反映しているのである。
米国の景気の先行きについてのそうした不安要素とは、高い失業率とそれを背景とする個人消費と住宅投資の停滞、住宅ローン債務やクレジット・カード債務の返済困難化を原因とする、多くの銀行の不良資産の増加と経営危機の続出、景気の先行き見通し難にもとづく企業の設備投資の手控えなどである。
いわゆるファクタリング(企業の売上債権を買い上げるかたちで融資を行うこと)の最大手のノンバンク(預金ではなく、債券発行や借入で資金を調達する金融機関)であるCITが11月1日に破産手続きに入ったことは、末端企業(小売、不動産やサービス業)の経営不振と、それによる金融機関の融資の回収難が広がっていることを再確認させた。
そういうわけで、米国景気の先行きはなお不透明であり、NY株価はそうした景気の不透明さを反映している。
日本の景気の先行きと株価には、そうした世界景気の影響のほかに、根強いデフレ傾向の存在、鳩山内閣が進める財政規模縮減がもたらすであろう経済への収縮圧力など、独自の要因も影響しているわけである 。 (この項 終り)
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