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6日朝(現地時間)発表の雇用統計によると、アメリカの10月の非農業部門雇用者減は19万人(9月は21.9万人)、失業率は10.2%(9月は9.8%)だった。これはエコノミストの予想(ロイターの調査)の、それぞれ17.5万人減、9.9% をかなり上回るものであった。失業率の10.2%は1983年4月以来26年半ぶりの高水準で、アメリカの雇用状況の悪化(予想以上の)が続いていることが明らかになった。
しかし、6日のNY市場のダウ平均株価は17.46ポイント高(0.2%高)とほぼ横ばいで、失業率の上昇が株価の下落をもたらさなかった。この理由としては、臨時的雇用者が10月に4.4万人増えており(増加は2ヶ月連続)、これは企業がこれまでに雇用をギリギリにまで削減した結果、すでに労働者不足を感じ始めていることを示す(NYタイムス電子版、11月7日)と市場が見ていること、失業率がなおも上昇していることは、一般に「成長が上向く中、景気動向に遅れて推移する労働市場の典型的な傾向を反映したもの」(ローマ−米経済諮問委員会委員長の発言、ロイター電子版、7日)との見方が多いこと、などによるようだ。
労働市場への景気動向の現れ方の遅れということに関しては、たしかにその傾向は確認できる。たとえば失業率は1983年4月にも10.2%を記録した(上述)が、この時の景気の谷(底)は82年11月だった(米国の景気循環日付による)から、失業率は景気の底入れ後、なお5ヶ月間は上昇していたわけである。この論法で行けば、2009年10月の失業率は同年4,5月頃の経済情勢を反映したものであり(ローマ−委員長などは景気はその頃には底を打っているはずだと見る)、したがって10月の失業率の上昇をもって景気の悪化が続いているとはいえない、ということになるようだ。
しかし、この論法は、10月の失業率がピークとなるという暗黙の仮定に立っての議論である。今後も失業率の上昇が続くとすると(10年春までは上昇するとの見方が有力)、10月の失業率の上昇を単に「雇用面への回復の現れ方の遅れ」と見なすことは疑問である。
オバマ大統領は、10月の失業率上昇を見て、「前途に控えている経済への課題を浮き彫りにするありのままの数字だ」と述べ、失業給付期間の延長や住宅購入者向け減税措置の10年4月までの継続(11月5日に議会で成立、6日に大統領が署名)などの景気対策継続の必要性を確認した(ロイター電子版、6日)が、当然の対応である。
実際、失業率の上昇は、それら失業者の生活難だけにとどまらず、一般国民の経済の前途への不安感を強めて、消費の停滞、したがって経済全体の停滞を長引かせる可能性がある。
ちなみに、この10月の失業者1570万人がひとつの州に住んだと仮定すると、それは人口から見てアメリカ5番目の大きな州になる計算だそうで(NYタイムス電子版、6日)、この失業者数がいかに大きなものであるかがよくわかる。
日本でも、内閣府が6日に発表した9月の景気動向指数を基にした景気判断で、「景気が回復局面にある」との見方を示した(日経その他、7日)。また、山口日銀副総裁は6日の参院予算委員会で、「日本の景気は二番底をつける可能性は小さい」と述べている(ロイター電子版、6日)。
しかし、同じ委員会で、菅直人国家戦略相は「先ほど日銀は二番底の危険性はすくなくなったと言ったが、私たちはその危険性を強く感じる」とし、「すくなくとも来年度の予算は相対的には景気刺激的な姿勢を継続する必要がある」と述べている(ロイター、同)。また鳩山首相も同委員会で「経済はこれからさらに厳しさを増す可能性がある。世界の経済もヘタをすると、という思いもある」と述べた(同)。
政策的判断としては、この政府の判断が妥当である。 (この項 終り)
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