文太郎の日記帳

景気、財政赤字、国際経済、政治・政局、世界情勢、日米関係など現代の諸問題を広い視野で解明します。

世界大不況

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中国オバマに「ノー」

 「診断録」前号(11月15日号)の続きとして、オバマ米大統領の中国訪問の結果を取り上げておきたい。オバマ大統領は日本訪問に引き続いて、14日から中国を訪問し、17日には胡錦濤国家主席と会談し、それにもとづいて米中両国の「共同声明」を発表した。
 これについて、18日の日本の新聞たとえば日経は、1面トップ4段見出しで 「米中『戦略的信頼を構築』 世界経済回復へ連携」との大見出しでその「成果」を報じた。読売は1面3段見出しで 「米中、包括的関係へ 『温暖化』『核』 で連携 」として「包括的連携」を伝え、朝日は同じく1面3段見出しで「合意に実効性で一致 米中首脳COP15成功目指す」と温暖化対策での協力を強調した。
 ところがニューヨークタイムスは、「友好の体裁の裏で中国オバマを押し返す(Pushes back on Obama)」 と、日本のマスコミとはまったく異なる見方を伝えている(電子版、18日)。

 このNYタイムスの報道は、「6時間の会談、2回の食事会、30分の堅苦しい(胡主席が記者の質問を認めない)新聞記者会見が終って浮かび上がってきたのは、中国がこれまで以上に米国に対して ノー と言おうとしているという構図である」と要約した上で、次のようにその具体的な ノー を列挙している。
 すなわち、「胡氏はイラン問題について制裁(イランの対応によっては米国が必要と考えている−加筆)の可能性を公には議論しようとしなかったのを手はじめに、通貨問題については人民元価値(相場)の変更について首を縦に振らなかったし、また人権問題については共同声明で『両国間には相違がある』とぶっきらぼうに述べただけで、中国は米国のすべての要求の大部分に反対した」と述べ、「今回のオバマ大統領の中国訪問は、米国の圧力を押し返す中国の能力を示すショーケースとなった」との専門家のコメントも伝えている。

 他方でNYタイムスは、米中両国の共同声明でいくつかの合意事項が述べられてはいるが、「オバマ氏が米国の政治日程上で最も差し迫った重要事項について、中国あるいはアジアの他の地域で成果(progress)をあげたかどうかは疑問である」として、今回のオバマ訪中を過去のブッシュ(ジョージ)、クリントン両大統領の訪中と比較して批判している。
 すなわち、ブッシュ大統領はその北京滞在中に、その最優先事項であったテロとの世界的な戦いについて中国の力強い支持を取り付けたし、クリントン大統領は長い交渉の上、中国を世界貿易機構(WTO)への加入へと導いたと回顧し、オバマ大統領が弱腰なのではないかとの批判をにじませている。この弱腰については、NYタイムスは米国内部の保守派の意見を引用するかたちで、沖縄の米軍再配置問題についての「米国の立場のソフト化」なども引き合いに出している。
 付言しておくと、オバマ大統領が日本で天皇・皇后を訪問した際に、両陛下と握手しながら深々とお辞儀をしている写真が新聞に載ったが、そのことも同大統領の低姿勢の表れとして、米国内のインターネット上でも一般マスコミでも大きな問題になっているようだ。 
 
 要するに、米国ではオバマ大統領の訪中に関して大統領への批判的な意見もあるが、なによりも中国の高姿勢にあらためてショックを受けている、ということである。このような中国の高姿勢と比較すると、日本での鳩山首相の対米消極姿勢(とくに普天間問題での)もささやかなものだとの感を抱かされる。あるいは中国は、鳩山首相のそのような対米姿勢を見て、いっそう米国に対して強く出たのかも知れない。
 もっとも、現在の米国に対する日本と中国の立場は根本的に異なっている。すなわち、日本は経済大国であるとはいえ、米国の勢力圏に組み込まれたいわば目下の同盟国であるのに対し、中国は興隆する国力を背景に米国と世界の覇権を争おうという核大国なのだ。
 つまり、いまや中国は冷戦時代のソ連の位置に立ちつつあるといえる。米国としても、そのような中国に対し、一方では日本を含む諸国との同盟関係を維持して対抗しつつ、他方では無用の紛争、まして戦争になるような事態を避けようとして、気をつかうのは当然だ。

 したがって、日本が米中対話を、日本などを疎外した(世界における)G2体制の構築だとして問題視するのは無意味である。むしろ、そのような米中の対抗と対話の関係の中に、日本としての自立の好機を見いだすべきだと思う。(この項 終り)

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今日の診断録を読んで、同じ事実に対する評価が、日本と米国のメディアで何故これだけ大きく異なるのか、ということに興味を持ちました。日本のメディアにとっては他人事、米国のメディアにとっては自国の利害に大きく関係する事柄、といった単純なものではないとは思うのですが。

2009/11/19(木) 午後 8:31 [ ねずみ ]


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