文太郎の日記帳

景気、財政赤字、国際経済、政治・政局、世界情勢、日米関係など現代の諸問題を広い視野で解明します。

エコノミストの時評

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世界貿易急拡大か

 中国からまた驚異的な数字が出た。3月10日に発表された今年2月の中国の貿易実績によると、前年同月比で輸出は45.7%、輸入は44.7%という大幅増加であった(日経ほか各紙、3月10日夕刊など)。前月すなわち1月は輸出は21%増、輸入は85%増だった。この1月の輸入増加には輸入品価格(資源など)の上昇が大きく影響していた(NYタイムス電子版、3月10日)。
 2月の輸出入額の季節調整済み対前月比は、輸出が2.2%の減少、輸入が6.3%の増加だった(FT=ファイナンシァル・タイムス電子版、3月10日)。今年の春節(太陰暦の新年)の休暇が2月で、経済活動が縮小する時期だったことを考慮すると、輸出は2月も実質的には好成績を維持したということになろう。2月の輸入増加には原油輸入の増加が大きく影響した。 
 輸出の増加(対円年同月比)は3ヵ月連続で、過去3年間では最大の増加率。2月の輸出増加の約半分は米国、EU諸国、日本向けで、前2ヵ月の輸出増が主として新興国向けだった(NYタイムス、同上)ことからの大きな変化である。そのことは先進諸国の経済活動が回復し始めていることをも間接的に示している。

 中国の輸出入が最近ではそれぞれ月額1000億ドル前後であること、昨年(09年)の中国の輸出額が1兆2020億ドルで、ドイツの同年の輸出額1兆1210億ドルを抜いて、世界第1位の輸出大国になった(Chaina Press 電子版、2月26日)ことなどを勘案すると、貿易大国となった中国が輸入面で「各国からの輸出先として米国をしのぐ存在になり始めた可能性を示唆している」(Bloomberg電子版、3月10日)。
 こうして、「中国(並びに他の新興国その他の高成長国)の経済活動の急速な回復による先進諸国からこれら諸国への輸出の増加」→「輸出増と景気刺激策の影響による先進諸国でのゆるやかな景気回復の始まり」→「中国などの輸出増(高成長国及び先進諸国への)」→「中国などからの輸入の一層の増加」→、という好循環が始まっている可能性がある。
 しかも、こうした景気回復主導国の輸入増加スピードが非常に速いので、世界貿易の回復テンポも予想以上に速くなるのではないか(当「診断録」2月24日号及び2月27日号参照)。

 実際、日本の輸出も09年2月には前年比で49.4%のマイナスという最大の落ち込みを記録したが、以後減少幅はほぼ月ごとに縮小して、12月には前年比で プラス12.0%と15ヵ月ぶりの増加に転じ、10年1月には40.9%もの大きな増加を記録するに至っている(財務省、貿易統計)。
 1月の相手国・地域別の輸出額が総輸出額に占める比率(構成比)を見ると、中国(18.8%)、米国(14.5%)、EU(11.8%)、アジア(中国を含む。55.5%)となっている。なお、中国は年間計数でも09年から日本の最大の輸出先国(09年は18.9%)となった。
 また、10年1月の相手国・地域別の日本の輸出増加率(対前年比)を見ると、米国(24.2%)、EU(11.1%)、中国(79.9%)、アジア(中国を含む。68.1%)となっており、中国向け及び(中国を含む)アジア向けの輸出の増加率が驚異的に大きい。加えて米国向けの輸出が大きく回復していることも注目点だ。
 中国の2月の貿易統計から判断して、2月の日本の輸出も1月と似た傾向を示すのではないだろうか。

 このような動向を見ると、かつて日本経済の不況からの回復が対米輸出の回復によって主導されることが多かったように、今回の大不況からの回復は中国及びアジア向けの輸出増加によって主導される上、その速度は予想以上に速いものとなりそうである。
 その中国の当面の問題は、不動産を中心とする資産バブルが目立ちつつあり、また2月の消費者物価の上昇率が2.7%となるなど、経済過熱の傾向が出ていること、今後それを抑える引き締め政策が強められて、それにより経済成長が抑え込まれる結果とならないか、という点である。
 そういう点を含めて、こんごの中国の動向が日本経済の回復のあり方を大きく左右するであろう。  (この項 終り)


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