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1月10日のNHKニュースでNHKが行った世論調査(1月7日から3日間)の結果を聞いた人は、そこで示された各党への支持率の数字に私同様に意外感を持ったのではないか。
この世論調査の眼目は、いつものように内閣支持率を探るものであり、そこに示された結果、すなわち野田佳彦内閣への支持率が発足時の60%から4ヶ月間で今回の30%へ低落したという結果には驚かなかったけれども、一見この内閣支持率と矛盾するような、自民党を上回る民主党への支持率の高さは予想外だった。
この調査による各党の支持率は、民主18.5%(1ヵ月前の調査より+1.6、以下カッコ内は同様)、自民18.3(0.0)、公明3.7(+0.3)、みんな2.7(ー1.7)、共産2.0(+0.2)、社民0.7(0.0)、たちあがれ0.3(+0.2)、大地0.1(比較なし)、「特になし」46.1(+0.6)だった。事実上の「第1党」は相変わらず「特になし」だが、現実の政党の中で、微少差とはいえ民主党が前回の2位から1位に復帰したのはなぜで、そのことは今後の政局にどう影響するのだろうか。
この結果は、端的にいえば、国民の自民党への支持率が伸びないことの反映であろう。自民党は自ら消費税の引き上げを公約(2010年の参院選挙で)に掲げているが、野田内閣の今回の「社会保障・税の一体改革」素案に示された消費税率の段階的引き上げ(2014年4月に8%、15年10月に10%へ)の方針と、それについての与野党協議の呼びかけに対して、谷垣禎一総裁は「マニフェストで消費税引き上げをうたわなかった民主党の内閣にはそれについて提案する資格がない」として協議を拒否、衆院の解散と総選挙を呼びかけている。ところが、いまこの段階で消費税引き上げの方針を示すことの可否については言明を避けている。
これでは、総選挙の後で自民党が(政権に復帰すると仮定した場合)どのような政策をとろうとしているかはまったく見えない。そういう態度だから、日頃民主党にはきびしい(自民党にはやさしい?)日経紙も「自民も逃げるな」との見出しの記事を掲げて批判したほどだ(1月7日)。谷垣自民党に見えるのは、“ただただ一日も早く政権に復帰したい”といった単純政権欲だけだ。これでは、民主党首相の人気が落ちても、自民党への支持率が伸びないのも当然だ。
逆に、今回のNHK世論調査で民主党への支持率が自民党への支持率を下回らなかったのはなぜか(これまでのマスコミ各社の世論調査では民主党支持率が第2位に転落した例が多い)。それは、党内からの離脱者(党のマニフェスト違反を理由に11年末に議員10人が離党)を出しながらも、政府与党で「一体改革」素案をまとめ上げたためだと思われる。
野田内閣の政策には、12年度予算案に見られるように、大震災からの復興対策に便乗したようなバラマキ的なものが含まれているが、この一体改革案では税率引き上げによる消費税の増収分をすべて社会保障の充実・改革にあてるという改革志向が示されている(当「診断録」1月8日号参照)。こうした案(修正はあり得るだろうが)が実現すれば、そこに政治の1歩前進が見られることになるのはたしかで、世論はその点に期待し、民主党への支持もわずかながらでも上がったものと思われる。
今回のNHK世論調査では、この一体改革素案の決定についての評価は、「大いに評価」と「ある程度評価」が合わせて46%、「あまり評価しない」と「まったく評価しない」が計49%(うち後者は18%)で、この素案に消費税引き上げの方針が盛られているわりには支持率が高いと言える。
もちろん、この一体改革案も12年度予算案及びその関連法案も成立のメドが立っていない。なにせ、政府与党には「ねじれ国会」という難関と、党内からの消費税引き上げ反対の強い動き(離党も辞さない構えでの)が待ち受けている。とくに、党内反対派は小沢一郎元代表を総帥とするグループでまとまった勢力であり、どのようなかたち(離党あるいは野党提出の内閣不信任案への同調など)であれ、その反消費税の立場を貫いた場合には、野田内閣の方針もその存立自体も瓦解してしまうだろう。また、そうした党内反対派の動き如何が自民党など野党の対応を左右する面がある。
野田首相は、その発足にあたり小沢派への融和の路線をとり、しばらくはその点で成功を収めてきたが、TPP(環太平洋経済連携協定)への参加の是非や消費税引き上げ問題などをめぐって小沢派の強い反対に直面することになった。したがって、こうした小沢派の動きにどう対応するかによって、野田内閣の今後が決まるといっても過言ではないであろう。
野田首相は13日に内閣改造(一部党人事を含む)を行う方針である。この改造を通じて、野田内閣発足時の「ノー・サイド」(党内に敵味方なし)の方針を確認・継続できるかどうかはさし当たっての関門だが、首相に真に党内一致を求める心構えがあるのなら、小沢元代表との直接会談を行い、重ねる努力も必要であろう。
そして、もし全与党(国民新党はすでに一体改革素案を支持)一致でこの改革案を野党との協議に提案し、協議を実現することが出来れば、合意(妥協を含む)への展望も開けるだろう。また、そこで主要野党との協議も合意も実現できない場合には、その時には解散して是非を民意に問うことが妥当で、この場合には世論もそれを是認すると思われる。
1月の世論調査における民主党への支持率の回復は、以上のような展望を可能にする根拠になると思う。 (この項 終り)
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政党支持率自体がマスコミ報道論調に左右されて、また結果報道で揺れ動く現状はこれからも変わらないのかといつも考えていました。今回の記事もわかりやすい解説でした。
2012/1/12(木) 午後 9:49 [ kur**idem20*6 ]