文太郎の日記帳

景気、財政赤字、国際経済、政治・政局、世界情勢、日米関係など現代の諸問題を広い視野で解明します。

現代短評

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 北朝鮮が予告する「人工衛星」打上げ(弾道ミサイルと同じ技術を使用)の時期(4月12日〜16日)に入り、日本では「迎撃」の厳戒態勢が敷かれているし、日本政府は外交的には、実際にそれが打ち上げられた場合には国連安保理決議違反だとして同理事会で「北」制裁の決議を行うよう国際社会に働きかけている。
 しかし、米国と中国もこの衛星打上げに反対しているが、どうもかたちだけの反対のように見える。米国は、昨年の時点で北朝鮮側(金正日総書記の存命中)からこの衛星打上げ計画の通告を受けており(当「診断録」本年3月23日号参照)、それを金正日政権時代の決定事項であるとみなしてか、やはり事実上で黙認するつもりのようである。むしろ米国、中国それにロシアなどの核大国は、この衛星打上げと平行して進められているとみられる北朝鮮の核爆発実験の準備を重大視し、その阻止に照準を合わせているようである。

 11日から2日間の予定で始まったG8(主要8ヵ国。米英仏独伊日加露で構成、中国は含まれない)外相会議でも、議長を務めるクリントン米国務長官が冒頭で、北朝鮮による衛星の「発射は安保理決議違反だ」と表明、外相会議として、「発射を強行した場合に緊急非難声明を出す方向で各国が調整に入った」と伝えられる(毎日jp、12日)。
 だが、北朝鮮との直接交渉で2月29日に「核実験と長距離ミサイル発射の一時停止」で合意した米国が、今回の衛星発射計画について、北朝鮮によるその公式発表後に同国に対し直接に中止を働きかけた形跡はない。

 むしろ、最近の米国スポークス・パーソンの発言は、以下のように、衛星打上げ問題を通り越して、予想される核実験に焦点を合わせている。
 すなわち、カーニー米大統領報道官は9日の記者会見で、「北朝鮮による核実験に向けたいかなる活動も挑発的行動とみなす」と述べ、リトル国防総省報道官は「人工衛星打上げと主張する長距離弾道ミサイル発射に続き、核実験を実施すれば『問題とみなす』」との立場を明確化した 。
 またヌランド国務省報道官は、北朝鮮による衛星打上げと核実験に関し、「中国が影響力を行使し続けることに望みを持っている」と中国頼りの態度を示している(msn産経ニュース、10日)。

 それでは、北朝鮮の衛星が実際に打ち上げられた場合の国連の対応の見通しはどうかというと、「安全保障理事会議長ー今月はスーザン・E・ライス米国連大使ーの声明以上のものにはならないだろう」との観測だ(NYTimes電子版、11日)。
 そして、「大国(major powers)は今は衛星打上げの先を見据え、北朝鮮が核爆発の実験−2006年以降3回目の核爆発ーを行った場合の効果的な懲罰の方法について考慮中である」。とくに、次の核実験では高度の濃縮ウラン爆弾が使われる見通しであり、北朝鮮が「どのように、また何処でそのようなウラン濃縮を行ったかが最大の謎」で問題だという(NYTimes、同上)。

 北朝鮮の衛星打上げについての米国や中国の以上のような態度を日本政府は把握しているのかどうか、はなはだ疑問である。対して他の国々は、米国によるこの衛星打上げ計画黙認の方針を把握しているように思える。
 また日本政府と自衛隊は、北朝鮮が打ち上げるのが実際に爆弾を搭載したミサイルであるかのように(衛星と称するものが弾道ミサイルであるとしても弾頭に爆弾を装着しているわけではない)大規模な迎撃と警戒の態勢をとろうとしているが、そうした動きにも違和感を覚える。(終り)


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