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26日に衆議院で行われた「社会保障と税の一体改革」関連の法案のうち、焦点の消費税引き上げ法案の採決に際し、民主党から反対57,欠席・棄権16、計73人の造反が出た。この数字は概ね予想された範囲のことであったが、それだけでは民主党は分裂したとは言えない。この反対票を投じた人がまとまって離党してはじめて民主党は分裂したことになるはずだ。
26日夜の時点で、マスコミは盛んに「民主党は事実上分裂状態に」(讀賣、毎日各Web版、NHKなど)と騒いでいたが、肝腎の造反派リーダーの小沢一郎元民主党代表は26日夜「なお最後の努力をして民主党のあり方を変えるということを、政府あるいは党執行部に対して主張していく」と述べ(NHKニュース)、即座の離党を否定した。また、消費税引き上げ法案に反対する議員を自らのグループから多く出した鳩山由起夫元首相も、「しばらく党にとどまり、党の再生に向けて努力したい」と述べ、離党を否定した。
これらは予想外に造反派とくに小沢派の弱気の日和見発言で、これを見る限り、そしてこの発言についての報道に誤りがないとすれば、さしあたりは民主党の分裂はない、ということになるだろう。
26日の時点では、造反派は民主党執行部が造反派に対してどのような処分をするかを見た上で最終的態度を決めようとしているように見える。現に鳩山氏は「どういう処分が出るかは執行部が考えることだ」と述べ(NHK、同上)、“処分を見極めたい”との態度を示している。
その意味で、造反派のこんごの出方については、むしろ野田首相以下の民主党執行部がその帰趨を決めることになりそうだ。その民主党執行部では、輿石幹事長らは「特定の法案につき党の方針に反対した議員は、それだけでは除籍などの処分を受けた前例はない」と述べ、むしろ処分なしですませようと考えているようである。しかし他方で、一体改革法案で民主党と共同提案をした自民、公明両党は、民主党に対して「民主党が処分(造反議員のー引用者加筆)を行わない限り、国会審議に応じない方針を確認」し(テレビ朝日系、26日夜)、造反議員の処分を強く民主党に求めている。
これから始まる参議院での一体改革法案の審議でもその可決を最優先としている野田政権としては、おそらくこの自公両党の要求を受け入れざるを得ないものと思われる。
そこで民主党執行部としては、造反議員について、すくなくともその責任の重さに応ずる選択的な処分をする方法を選ぶのではないか。例えば造反を主導した小沢氏や東祥三氏などは除籍とし、あとは若干名を党活動停止にした上で、その他の造反派議員については処分を見送るといった方針である。つまりこれは、小沢派分断の方針であり、かつ民主党の分裂というかたちを避ける(“一部党員の追放”のかたちをとる)方針である。ただこの方針は、小沢氏と友好関係にある輿石幹事長が承服するかどうかという問題がある。したがって、問題の決着には、結局野田首相がどういう決断を下すかにかかってくる。首相が最終決定を下せば、輿石氏もこれに従わざるを得ない(そういう弁明をできる)だろう。
いずれにせよ、上述のように民主党執行部による処分方針待ちということであれば、造反派、その中心の小沢派は政局の主導権を失うであろう。小沢派が本当に民主党を割って、自らこそが民主党の正統派であると主張するのであれば、逡巡することなく直ちにまとまって離党しなければならないはずだ。そういう観点から見れば、消費税引き上げ法案に反対したあとの小沢氏とそのグループの言動はまことに優柔不断と見える。(終り)
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