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野田首相、谷垣自民党総裁、山口公明党代表は8日夜国会内で会談し、「消費税率引き上げ法案を3党合意に基づいて早期成立させ、成立ののち、近いうちに国民の信を問うことで合意」した(NHKニュース速報、午後8時8分による)。
8日朝、民主党の城島国会対策委員長が自民、公明両党の国会対策委員長と会談した際には、民主党として「法案の成立の暁には近い将来に信を問う」との考えを伝えたのに対し、自民党は「具体的な解散時期の明示がない以上はこれに応じられない」としていた(朝日その他、8日夕刊)。この「近い将来」との8日朝の表現が、同日夜の党首会談では「近いうちに」と微妙に変わっただけだが、私は党首会談では野田首相は内々に「今国会中に」との意向を暗示したので上記の3党合意が成立したものと見る。
野田首相は解散時期については、8日夕の民主党両院議員総会で「解散は総理大臣の専権事項なので、政党間で交渉・合意する事項ではない」と言明しており、この考えに基づいて同日夜の党首会談では、ギリギリの説明をして自公両党の合意を得たものと理解する。
この「総理大臣の専権事項」とは次の意味だと私は理解する。すなわち、憲法によれば、衆議院議員の任期中における国会の解散は二つの場合があるだけである。
その一つは、内閣不信任決議が行われた場合である。すなわち、「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職しなければならない」(憲法第69条)との定めによる。
もう一つは、憲法第7条にもとづく解散、いわゆる「7条解散」である。この第7条は「天皇の国事行為」を定めた条項で、「天皇は、内閣の助言と承認により、左の国事に関する行為を行う」として、その第3項で「衆議院を解散すること」と規定している。
すなわち、この「7条解散」は、「内閣の助言と承認」を条件としているが、天皇の国事行為なのである。したがって、それは「内閣の助言と承認」によってのみ、すなわち、実質的には内閣総理大臣の助言と承認によってのみ行われるもの(天皇の国事行為)である。野田首相がこれについて「総理大臣が他党と交渉すべきことではない」と頑強に主張するのは、その意味で当然であろう。
私は、野田首相は消費増税法案について民自公の3党合意が成立したときから今国会中での解散を決意したと判断していた。しかし、上記の理由で野田首相は具体的なことは言えなかったのだと推察した。
ところが、谷垣総裁以下の自民党の幹部には、不勉強のせいか、その点の理解がない。だから、しつこく「解散の時期を具体的に示せ」と言い続けたのだと思う。そのあげく、自民党は消費増税法案成立についての3党合意を破棄するような瀬戸際戦術に出たため、この法案の成立に政治生命を賭けた野田首相も、最後にその微妙な解散時期について、自公両党の党首に直接に“暗示”を与えたものと推察する。
なお、8日夜の段階では、NHKもこの7条解散の意味と、それにもとづく野田首相の解散についての発言の真意については理解できていなかったようである。(終り)
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