文太郎の日記帳

景気、財政赤字、国際経済、政治・政局、世界情勢、日米関係など現代の諸問題を広い視野で解明します。

現代短評

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安倍新総裁を評価せず

 26日に開かれた自民党大会は、総裁選において、決選投票で安倍晋三元首相を新総裁に選出した。これは、第1回投票で党員票165票(党員票合計300票の55%余)を獲得して1位となった石破茂前政調会長を 、第1回投票では党員票は87票で2位だった安倍氏が、国会議員だけによる決選投票で大逆転した結果である。つまり、安倍氏は全国一般党員の意思(それは一般選挙民の意思をよりよく反映したものと言える)に反して総裁に選ばれたということである。その点で私はまず安倍氏を(そして自民党国会議員たちを)評価できない。

 次に政策面でも、私は石破氏に比べて安倍氏は劣ると思う。私は当初、この両氏の政策と政治姿勢はあまり違わないと見ていたが、総裁選が進むにつれ、とくに23日(日)朝のNHK番組で総裁選5候補の政策・抱負を直接に聞いたことにより、両氏の間には重要な違いがあることがわかった。その主な相違点は二つである。
 その第一は、尖閣問題と中国についての見方である。安倍氏と他の3候補(石原伸晃、林芳正、町村信孝の各氏)は、中国が尖閣問題について最近激しい反日攻勢に出た原因について、「民主党政権下で日米同盟が揺らいだために、その隙を中国に衝かれた」と述べたのに対し、石破氏は「日本自身の防衛体制に隙があったからだ」と主張した。

 このような安倍氏などの論法によると、日米同盟を強化すれば中国の強硬姿勢は抑えられる、ということになる。これは、対米依存ベッタリで、日本自身の自主的尖閣防衛態勢についての点検と整備を重視しない姿勢であるとともに、中国についてはその覇権主義的行動を見抜けない“大甘”主義であることを意味する。
 安倍氏については、外交・安保政策について「タカ派」であるとの評がこれまで内外で一般的だったが、それは「憲法改正」などの抽象論レベルでの話で、現実政策では意外に「骨がない」ようなのだ。そのような安倍氏が総選挙を経て次の首相となった場合、対中国政策など外交・安保政策で的確かつ毅然たる態度・方針を貫けるかどうか、疑問である。

 安倍、石破両氏の違いの第二は、先に野田内閣が国会に提出した特例公債法案(今年度に赤字国債を発行するための法案)と、いわゆる「1票の格差」を是正するための衆院選挙制度改革関連法案の扱いについてである。
 安倍、石原、町村3氏は、端的に言えば「それは解散・総選挙についての野田首相の態度如何による」という態度なのに対して、石破氏と林氏は、「この二つの法案を政争の具にすべきではなく、速やかに可決すべきだ」との主張であった。
 要するに、石破氏は、日本の政治を進めるためには「政府・与党に協力すべき点は協力すべきだ」との態度であるのに対し、安倍氏(ならびに石原、町村両氏)は、なによりも「解散をいかに早く勝ち取るか」という政局優先(党利優先)の立場なのである。この点において、安倍氏よりも石破氏の方が「国益優先」の態度において勝っている。
 
 以上のような点から、私は安倍氏の自民党総裁就任を評価できない。それでも、「平成の明智光秀」と評された石原氏(実際の明智光秀は、石原氏とは違い、ずっと聡明で優雅だったとの異論もある)が自民党総裁に選ばれるよりはましだった、と言うことは出来るが。 
 もっとも、これまでの安倍氏の主張は、無役・無責任の野党メンバーの立場でのそれであって、いざ自民党総裁となって政府与党と対峙したり、首相となって中国などと向き合った場合に、これまでのような考え、立場でいることが出来るかどうか、という疑問はある。むしろ日本国のためには、安倍氏がこんご新しい自民党総裁として変身することを望みたい。(終り)
 


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