文太郎の日記帳

景気、財政赤字、国際経済、政治・政局、世界情勢、日米関係など現代の諸問題を広い視野で解明します。

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国債めぐる真実

 わが国の財政が赤字続きであるため、国債(公債)の発行額とその残高が増加しており、その重圧により、政府がいま財政支出を増やそうとしても思うに任せない状態に陥っている。2010年度の政府予算案の規模が92.3兆円で、09年度の102.6兆円(補正予算を含む)を大きく下回るのもそのためである。それにもかかわらず、マスコミはこの予算案を09年度の当初予算(88.5兆円)と比べ,過去最大だと言って強く批判している状況だ。
 しかし、国民としても、こんなに国が借金を背負っていて大丈夫なのかという不安を抱くのも当然だ。当「診断録」(12月26日号)へも、「これだけの国債を発行するが返済はどうするのか。……国債の返済計画が議論されることはあまりありません」(swimming)というコメントがあった。
 あらためて考えてみると、国債に関しては一般に知られていないことが少なくないように思われるので、今回はそうした問題のいくつかについて述べたい。 

 まず、国債の返済についてであるが、これは実は年々返済されているのである。国債には、長期国債(10年満期)、中期国債(5年及び2年)、短期国債(1年及び6ヶ月)、超長期国債(40年、30年、20年、15年)などがあり、主力は10年国債である。それぞれの国債は満期が来れば償還される(持主に現金で額面金額が返却される)。したがって、毎年各種の国債が次々と満期を迎えるので、その年の返済計画を立て、実行しなければならない。
 しかし、過去の発行残高が大きいから、満期(償還期)が到来した国債をまるまる償還(完全返済)するのでは、その所要資金が巨額に上り、とてもその資金を財政(一般会計の歳出)ではまかなえない。そこで、それぞれの国債は、60年かけてその全額を償還(完済)することを原則として、それまでの各年は額面金額の1/60(60分の一)を償却し、残りの分は借り換えすることとされている。

 例えば、ある年に発行された計600億円の10年国債は、10年経った時点で、発行時の600億円の1/6(毎年1/60の10年分)に相当する100億円が完全償還され、500億円分の国債を残すこととなる。しかし、10年前にこの国債を買った国民(銀行等の法人を含む)のすべてに対して額面の金額を返済する必要がある。そこで、国は新たに500億円の国債(借換債)を発行して資金を調達し、それをこれまでの持主に支払う。この場合、この借換債を引き受ける国民は、従来の国債持主と同じとは限らない。国は別の国民から新たに借りて、従来の所有者に返すと考えた方がわかりやすいだろう。
 では、完全償還される上記の100億円の財源は何か。それは、一般会計の歳出に計上される「国債費」(国債発行額のことではない点に注意)である。

 さて、上の例で10年経ったあとに残る500億円についてであるが、20年後には10年後の時と同じように、100億円が完全償却され(財源は一般会計の国債費)、残る400億円は借換債を発行して借り換えられる。そして30年後にはやはり100億円が完全償却され、残る300億円が借り換えられる。こうして、最初の発行から60年経った時に、最後の100億円が完全償還されて、60年前に発行された600億円の10年国債が完全に消滅する(完済される)ことになる。
 こうした発行後の国債の償還や借換債の発行を管理するために、「国債整理基金特別会計」という特別会計(財務省所管、以下、国債整理特会と略称)が設けられている。そのごくあらましを説明すると、この特会は年々、一般会計歳出の中から国債費を受け入れ、これをその年に完全償還する国債の財源と、毎年支払うべき全国債の利子の財源とする。他方、借り換え分の資金を調達する借換債はこの国債整理基金特会が発行する。なお、国債整理特会は一般会計のほかに他の特別会計(財政投融資特別会計その他)からも資金を受け入れ、国債整理特会のいろいろな支出の財源に充てている。
 
 だから、国が毎年発行する国債には、一般会計がその収入不足を補うために発行する国債(新規債)と、国債整理特会が発行する借換債の二つがあるわけだ。そして、実は今は新規債より借換債の方が毎年の発行金額がずっと大きい。
 例えば2009年度予算(当初予算)では、一般会計の予算規模が88.5兆円、同会計で発行する新規国債は33.3兆円だったのに対し、国債整理特会の歳入総額は実に183.5兆円に上る。その主な財源は、一般会計及びその他の会計からの受入れが80兆円、公債金(借換国債)が83兆円、前年度剰余金が20兆円である(こうした剰余金が通称「埋蔵金」といわれるもの)。 
 つまり、09年度予算(当初)では、一般会計が発行する国債(新規債)が33.3兆円、それに加えて国債整理特会が発行する借換債が83兆円というものだった。

 要するに、過去に発行された国債残高の相当部分は、毎年完全償還されるか借り換えられるか、されているのである。つまり、現存の国民が国債を引受け、その満期日には全額償還を受け、また新たに国債を引受ける(あるいは別人が引き受ける)等等をしているのである。
 したがって、一般会計の国債費(これは税金から)と国債整理特会の借換債による資金(国民によるあらためての国債購入)によって、現存の国民が年々国債残高の相当部分の償還を引き受けているわけだ。累積する国債残高のすべてが後の世代に先送りされているわけではない。
 すなわち、今の日本国民は年々100兆円以上の国債(借換債を含め)を消化しているわけで、その投資余力(その裏付けとなる貯蓄額)がいかに大きいかがわかる。その結果、日本の10年国債の金利は1.325%(1月20日)の低位にとどまっている。ちなみに10年国債利回りはドイツが3.265%(20日)、アメリカは3.68%(19日)である。

 ここで、発行された国債の所有者の内訳を見ると、日本では総残高681兆円(09年9月末時点)の内、銀行・生損保等(民間金融機関)が62.4%、公的年金と年金基金が15.8%、日銀が7.8%、家計が5.2%(以上計91.2%)などで、海外の保有分は5.8%に過ぎない。ところが、アメリカの国債の所有者(09年9月)の内、海外は47.7%、ドイツでは(09年6月)海外分が53.8%に達する。(日本銀行、資金循環統計による)。
 このような日本国内での国債消化力と金利の低さ、海外保有分の割合の低さ、それに円高傾向(円への信認)を考慮すると、日本では従来方式でもまだ国債発行増加余力が十分にあると考えられる。
 ただし、国債残高が増えていくと、それに伴って年々の国債完全償還額と支払金利が増えていき、それをまかなう一般会計歳出の内の国債費が増えて、他の一般歳出がそれだけ圧迫されることになる。ちなみに、09年度当初予算では、歳出総額88.5兆円のうち、国債費は20.2兆円(総額の22.9%)に達した。

 したがって、財政の赤字はいずれ減少させる必要があることは事実だ。では、それはどのようにして可能か。マスコミなどは圧倒的にその財源として消費税の引き上げを主張している。だが、経済の成長が思わしくない状態でそれを行えば、経済活動をまた下降させることになるだけだ。
 ここで、あらためて過去15年ぐらいの日本経済の姿を振り返ってみよう。2008年の日本のGDP(国内総生産)は時価で(名目額で)505.1兆円だった(09年の年間計数は未発表)。これは1996年のGDP(505.0兆円)と同じなのだ。つまり、この12年間の日本経済はまったく停滞していたわけである。
 ただし、08年は今回の景気後退で経済が縮小し始めた年だったからGDPは通常より低くなったのであるから、後退前の07年についてみてみよう。この年のGDP (名目額)は515.5兆円で、これは1997年の515.9兆円とほぼ同額だ。しかも、1997年から2007年までの間にGDPが515兆円を超えた年はなかったので、この間は完全に日本経済はゼロ成長だった。

 ゼロ成長だから経済を押し上げようとして赤字財政を組む。しかしその効果が出ないので国債残高とその対GDP比率は上昇するばかり(一本調子で増えたわけではないが)という悪循環だった。もし、1997年からの10年間に年平均で3%の成長をしていたら、07年のGDPは約690兆円に達していたはずだ、
 この場合には税収(これは名目GDPによって定まる)はずっと増えていただろうし、また年々の経済支援支出はもっと少なくてすんだであろう。つまり財政赤字は現在のそれよりずっと少なくなっていただろう。そして、国債残高の対GDP比率も、分子は今より小さく、分母はずっと大きくなるから、現状よりはるかに低くなったであろう。
 大まかに言って、少なくとも1997年以降これまでの自民党政府は経済の成長戦略で完全に失敗したのである。その付けがいま回ってきていると言える。

 したがって民主党中心の現内閣には、当面の財政赤字増大は恐れずに(成長による赤字の削減を基本として)、マニフェストに沿って思い切った経済活性策を採用することを希望したい(この際は、私が主張する国債の日銀引受けは行わないと仮定する)。   (この項 終り)

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