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すでにテレビ・新聞が大きく報道しているように、23日の東京株式・日経平均株価は1143.28ポイント、7.32%の暴落となった。この下げ幅は、「東日本大震災後に福島第一原発事故の状況が危機的となった2011年3月15日の1015円安を上回る」(msn産経ニュース、23日)もので、「ITバブルが崩壊した2000年4月17日(1426円)以来、13年1ヵ月ぶり、史上11位の大きさ」(讀賣、24日)だった。
東京市場での株価暴落はアジア、ヨーロッパ、米国の株式相場にも影響を与えたが、各市場での株価下落率は、香港ハンセン指数は2.54%、ロンドンFTSEは2.09%、ドイツDAXは2.09%、NYダウは0.08%などで東京ほどではなく、今回の株暴落がかなりの程度に日本に特有の現象だったことを示している。
この暴落の原因は、端的に言えば、最近の株高が放漫金融の下での円安と「アベノミクス」をはやしただけの、実態経済の改善を伴わない(あったとすれば輸出企業の円安差益ぐらい)根拠の薄いもの、すなわちバブル(泡)であったことにある。その意味で、いずれは反動が来る(バブルははじける)べきものであった。もっとも、今回の暴落でバブルが完全にはじけ切ったとも言えない。
しかし、バブルがはじけるとしても、そのきっかけとなる事象がかならずある。それは今回は金利の上昇であった。実態経済に大きな影響力を持つ長期金利の指標となる10年国債の利回りは、23日には一時1%に上昇した。たまたま22日に米国の中央銀行であるFed(連邦準備銀行)のバーナンキ理事会議長が、米国の景気回復がより確かになれば、現在のような金融緩和政策を縮小することがあると語ったことが日本の債券市場に影響を与えたことも事実だが、日本ではその以前から金利は上昇傾向を示していた(当「診断録」5月18日号参照)。
そもそも“アベノミクス”の中核をなす安倍・黒田(日銀新総裁)の金融緩和路線は、金融市場に巨大な資金を安くすなわち低利で供給し、そうした低利資金が企業の設備投資や家計の住宅取得を容易にすることにより、実態経済の需要を回復してデフレ脱却を可能にするというものであるから、その金利が上昇することは安倍・黒田路線の機能不全を示すことになる
長期国債の利回り(金利)が上昇する(その逆数である国債相場は下落する)のは、金融機関が国債を売っている(手放している)ため(「診断録」同上)であり、それは金融機関が国債相場の先行きと、その相場を支えようとする日銀の政策効果に不信を抱いていることを意味する。
こうした不信はどこから来るか。私はそれは、財政拡大と金融緩和だけで財政再建に意を用いない(少なくともこれまでは)、そして円安とそれによる株高に安住しているアベノミクスに由来すると見る。
そもそも円安(行き過ぎた円高の是正の範囲を超えた)は、輸出企業に為替差益と対外競争力(輸出価格引き下げによる)を付与するが、総合的に日本の通貨「円」の価値下落を意味するものであるから、その円の価値が下落する時に、円を代表する国債を持ち続けることに不安を抱くのは当然であろう。
ところが安倍政権や株式市場関係者は、円安をひたすら歓迎するという愚行を演じてきたのである(いまもそれを止めない)。
このような倒錯した経済政策が破綻を示すのは当然で、23日の株価暴落はそのことを示す現象の第1弾である。(終り)
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