文太郎の日記帳

景気、財政赤字、国際経済、政治・政局、世界情勢、日米関係など現代の諸問題を広い視野で解明します。

過去の投稿日別表示

[ リスト | 詳細 ]

全1ページ

[1]

NY株価下方屈折の意味

 NY株価のダウ平均株価は8月16日(金)に終る1週間に344.01ポイント、2.2%下落したが、この週間下落率は6月以来(後述)の大幅なものであった。ダウ平均の直近のピークは8月2日(金)の15658.36で、その翌営業日の5日(月)から16日までの11営業日の内、実に8営業日にダウ株価は下落している。この間の差し引きのダウ株価下落は576.89ポイント、3.7%に達する。
 こうしたNY株価の推移をグラフに描くとはっきりするが、ダウ平均は2012年11月15日の12542.38を底値として上昇トレンドをたどってきたのだが、13年8月2日を分岐点として下方に屈折した可能性が濃厚だ。この12年第3四半期からの株価の上昇トレンドは、Fed(米連邦準備制度)が同年9月に実施を決定した量的金融緩和策の第3弾(QE3)にほぼ照応するものであったと言えるだろう(注)。

 (注)QE3は当初(9月から)はFedが月額400億ドルの住宅ローン担保証券(MBS)を買い取るというものであったが、12年12月には米長期国債も月額450億ドル買い取ることを追加決定した(買い取り額合計は月間850億ドルに)。

 そのQE3の縮小の方針をバーナンキFed議長が明らかにして市場にショックを与えたのが今年6月19日の記者会見においてだった。その影響で、ダウ平均株価は同19日に206.4ポイント、20日に353.87ポイント、合計で559.91ポイント、3.7%の大幅安を演じたのだった(この下落直前、同18日のダウ平均は15318.23)。
 6月の後のNY株価は、単純化して言えば、QE3の実施見通しが遠のいたといっては上げ、やはり9月には実施されそうだと言っては下げるような状況だった。しかし、QE3を縮小するFedの方針の前提が米国景気上昇の確認(その指標が失業率7%)とされていたので、景気上昇が確実になれば、QE3が縮小されても景気が腰折れすることはないとの楽観論も台頭した。そして、実際に景気好転を示唆する景気指標もそれなりに明らかになったこともあって、NY株価は8月はじめまでは上げてきたのである。

 だが、先週末の株価の下落は、消費者信頼感指数(ロイターとミシガン大学の調査)が7月の85.1から8月の80.0に急落したことの影響が大きかった。これに照応するように、百貨店チェーンのノードストロームの第2四半期(8月3日までの3ヶ月間)の売上高増加がアナリストの予想を大きく下回って、同社の株価が16日に4.9%下落したほか、「ウォルマートやギャップ、メーシーズからマクドナルドなど、中産階級及び低所得層の需要に応じているチェーン店は、格差を伴う経済回復の危機を感じている」(NYTimes電子版、16日)という。
 またQE3縮小の見通しの影響で米長期金利が上昇している(10年国債の利回りは2.86%と過去2年来の高水準に)状況の下、「7月の新規住宅着工及び住宅建築許可の件数が予想を下回ったことは、住宅抵当金利の上昇が住宅市場の勢い(momentum)を鈍化させる可能性を示唆している」(同上)。

 このような市場の動向について、投資会社のリバティビュー社のリック・メックラー社長は「市場が直ちに大規模な軌道修正に入るとは考えにくいが、今年上期に見られたような市場の勢いが失われつつあることは確かだ」(同上)と述べているが、同感だ。
 とにかく、QE3という大金融緩和の影響で、NYの株価そして世界の主要市場の株価が、多かれ少なかれ、景気実態以上に上げてきたことは事実であるから、そうした金融緩和が早晩縮小から廃止に向えば、そのことで景気が失速することはないとしても、多くの市場(東京を含む)で株価が修正を余儀なくされることは避け難いと言うべきだ。(終り)

全1ページ

[1]


よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事