文太郎の日記帳

景気、財政赤字、国際経済、政治・政局、世界情勢、日米関係など現代の諸問題を広い視野で解明します。

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 12日に内閣府が発表した2013年4〜6月期のGDP(実質国内総生産)の増加率(対前期)は0.6%、年率換算で2.6%で、プラスの成長率は3期連続だが、その率は1〜3月期の0.9%、年率3.8%に比べ、年率では1%ポイント以上低下した。また年率2.6%の成長率は、民間エコノミストの予想平均の3.6%増をも下回った(日経、12日夕刊)。 
 日経、讀賣などは12日夕刊で、またNHKは昼夜のニュースで、主として成長率の「3期連続プラス」を強調する報道をしていたが、4〜6月期には安倍首相期待の黒田日銀による「異次元金融緩和」の効果が出始めるはずだったのに、その期待は裏切られ、逆に成長は減速したのである。この点につきNYTimes(電子版、11日付)は、「日本の経済拡大はスローダウン」との見出しで成長減速を伝え、この減速は「安倍晋三首相の経済政策の前途を曇らせ、また、同首相が日本の巨大な公的債務を削減する努力を先送りするのではとの危惧を高めている」と的確に問題点を指摘していた。

 
 次にGDPを構成する各項目ごとに4〜6月期の実質増加率(年率換算をしない)を見よう。
 民間消費支出は0.8%で1〜3月期(以下、前記と記す)の08%と同じだが、「持ち家の帰属家賃」(注)を除いた正味の家計消費支出は前期の0.9%から0.8%に鈍化している。 
 民間住宅建築は0.2%の減少で、前期の+1.9%、さらに前々期(12年10〜12月期)の+3.6%と比べ、目立った減速と言わなければならない。
 民間企業設備投資は0.1%の減少で、前期の0.2%の減少よりマイナス幅がわずかながら小さくなったとは言え、依然としてマイナスであった。
 (財貨・サービスの)輸出は3.0%の増加で、前期の4.0%からスローダウン、他方で輸入は1.5%増で前期の1.0%から加速した。その結果、差し引きの純輸出が4〜6月期のGDP増加率0.6%に対して果たした寄与は0.2%で、前期における同様の寄与度0.4%を下回った。すなわち、円安の進展は、輸出を増やす効果があった半面、輸入をも増やしたわけで、その結果、差し引きでは純輸出の増加の成長全体への寄与度を鈍化させたのである。

 (注)持ち家の家計は実際には家賃を支払わないが、国民経済計算上は、持ち家の家計も世間並みの家賃を支払った(自らの家計に)ものと見なして民間消費支出の額を計算している。この単なる計算上の家賃が帰属家賃である。そこで、実質的な家計消費支出については、この帰属家賃を除いたもので見る必要がある。 

 以上のように、今年4〜6月期には、民間の消費はわずかだが増加率が鈍化し、住宅建築、設備投資は依然としてマイナスを続け、純輸出の成長への寄与度は低下したのである。
 マスコミは盛んに「株価上昇などの効果で高額ものへの支出を中心に消費が活発化している」と伝えてきたが、GDP統計で見ると決して消費全体が加速しているとは言えないことがわかる。
 また、黒田日銀が喧伝した「異次元金融緩和」は、長期金利の低下と供給資金の大幅増を通じて、民間の設備投資と住宅建築を刺激してそれを増加させるはずだったが、この点での効果はまったくといっていいほど現れていない。
 結局、4〜6月期に伸び率が高まったのは公的需要(政府の固定投資=公共投資など)だけで、これは前期の0.3%から1.0%へ高まった。つまり、成長加速に役だったのは、アベノミクスと言うよりは、伝統的な政府支出の増加だけだったのである。

 以上のように、4〜6月期の成長率が減速し、民間予想(期待)を下回ったため、12日の東京株式・日経平均株価は95.76ポイント、0.70%下落した(その結果、8月7日〜12日の4営業日通算《9日のみ9.63ポイントの微騰》の日経平均下落幅は881.63ポイントに達した)。
 成長の減速は、上記NYTimesが指摘しているように、安倍政権が予定の消費増税を見送る可能性を高めている。4〜6月期のGDP実績について、安倍首相は「順調に景気は上がってきている」と言い、甘利経済財政・再生相は「(消費増税に向けて)材料の一つとして、引き続きよい数字が出ている」と述べている(日経、12日夕刊など)が、決して予定通りの消費増税をする意向を示そうとはしない。それは、実際には彼らが4〜6月期のGDP実績に失望しているからであろう。

 安倍首相の経済政策上の金看板は「デフレからの脱却」であるので、同首相は成長率の引き上げを至上命題としているはずだ。その立場からすると、4〜6月期に成長が減速したことが明らかになったいま、明年度以降の成長にマイナスに作用するであろう消費増税は見送りたいのが本心だと私は推察する。だが、それを見送ると、国の内外から安倍政権の財政再建策についての熱意が疑われて、国債相場及び株価の暴落を招く恐れがある。
 その意味で、安倍首相はいま自信を失いかけ、判断に迷っているはずだ。こんご彼がどういう選択をするか、まことに興味深い。(終り)

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