|
福比(ふくび)社
香川県観音寺市本大町
本大町の松本は、昔から伊予街道の交通上たいせつな所であった。ある日、御殿様が領内を巡視されていて、この松本を通り過ぎようとされた。その時、殿さまのお乗りになっていた馬が、突然なにものかに驚いて立ち止まり、一歩も前に進まなくなった。色々と苦心してみたが、最後には前脚を曲げてしまって立とうともしなくなった。
お殿さまもほとほと困り果てて考えこんでいたが、ふと近くの道路沿いに小さな祠が祀られているのを見つけた。この祠は、福比社といって、昔は相当広い社領もあり、ご宝物や記録も本山寺に保管されていたが、長宗我部軍の兵火にかかり、すっかりなくなってしまいさびれてしまったという。お殿さまは、これは神さまのおしめしであろうと、すぐさま祠の前にひざまづき、丁寧に礼拝して道中の安全を祈った。すると乗馬は、たちまち平静を取り戻し立上がり前進するようになった。それ以来、お殿さまがここをご通過の際は、必ず馬から降りられて、福比社を礼拝するようにとのことである。
この社の西北に神馬を埋めた塚があった。明治の末にこの塚を開墾して田にした者があった。近所の人たちは、神の祟りがなければよいがと恐れていたが、案の定祟りがあったのかその人は死に、その家族も続いて死亡し遂にその家は絶えてしまった。
大正十三年、五柱神社の合社しようとしたが、霊験あらたかなこの神社は、他に遷ることを好まないので、ながくそのままになっていたが、昭和三十四年有志により社殿が再建された。
資 料:香川県立図書館蔵観音寺市誌観音寺の民話より転載しました。
撮影日:2014年11月12日 |
過去の投稿日別表示
[ リスト | 詳細 ]
全1ページ
[1]
全1ページ
[1]




