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ドラマやマンガなどで、「過去の記憶に悩まされる」というキャラクターを見たことはないだろうか?
「親からの虐待」「殺人シーンを目撃」etc...。
しかし実際の医療現場でカウンセラーにより掘り返された患者の記憶が、実はウソだったとしたら?
そんな事件が、精神医療の先進国と呼ばれるアメリカで実際に起こってしまった。
例えば、それが児童虐待であった場合、カウンセリングは大まかに以下のように進む。
カウンセラー:「あなたは子どものころ虐待を受けていませんでしたか?」
相談者:「そんなことはありません」
カウンセラー:「覚えてないのは抑圧が働いているからでしょう。しっかり過去と向き合って思い出しましょう」
忘れていた記憶を徐々に思い出す相談者・・・。
しかしアメリカでは、こうしたカウンセリングにより「父親から定期的に性的暴行を受け、2度妊娠させられた」
という虐待体験を思い出した女性が、医学的検査の結果「妊娠歴が無かった」という事実が判明。
カウンセラーは「偽の記憶を植え付けた」として告発された。
「偽の記憶の植え付け」と言うと、あたかもそれがカウンセラーだからこそ成し得た技のように思われるが、
実はそれは私たいの日常会話でも行われているという。
「あなたは○○だったんじゃない?」「あなた××したじゃない」(植え付け)
↓
「そういえば、そんなことがあった気がする」(覚醒)
↓
「たしかに、そんなことがあった」(確信)
↓
「しかもその時はこうだった」(補強)
という記憶の変遷は、あなたの意思に関わらず、必ず誰もが行っている行為。
この「植え付け」の部分で相手が勘違いをしていたような場合、これは一種の「偽の記憶の植え付け」と言える。
つまり、人は「経験していないことを思い出す」ことができてしまうのだ。
心理学者のロフタスは、記憶について、「記憶というものは時と共に細部や正確さが失われていく」
「記憶は目撃後に与えられる事後情報の影響を受けやすい」と結論付けている。
その人にウソをつく気はなくとも、結果的に"記憶がウソをついてしまう"ことがあるというわけだ。
そういえば、「思い出」が実体験以上に美化されたり、他人の記憶があてにならなかったりという経験を
したことはないだろうか?
そのようなことが起きてしまうメカニズムが、最新の心理学で解き明かされている。
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