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「消せない過去を見つけられたら
このゲームももう終わりね」 by倉木麻衣 Perfect Crime
ここまで、やっとここまで・・・・逃げてきたのに。
またここでヤツラに足を引っ張られるのは嫌。絶対に嫌。
今日も楽しくて充実した日だった。
でもなんだろう?ふと振り返りそうになる。
何かが遠くで呼んでいて、でもよく聞こえない。前からじゃない。後ろからだ。
それだけはわかる。
遠く遠くで呼んでいて、それは私の足元からずっと繋がってる。そんな感じ。
その声に手を伸ばしたら、一気に呑み込まれるであろう。
引き戻される。
昌代は相変わらず毎日時間に追われてる。仕事も忙しいみたいだ。友達との連絡もまめにしてる。
そんな彼女に誘われて、私はパブに来た。
パブと言っても、お姉ちゃんがいるようなところじゃない。Irish Pubだ。
さすが国際派(もどき)の昌代。日本にいて、日本の友達・・・高校からの旧友に会うのにわざわざこんなところを指定するんだから。
久しぶりに会うっていうのに、こんなフランクな場所で積もる話ができるかしら。
一人で先に入るのも気が引けて、(かと言って彼女だけが先に入っていろんな人と打ち解けていたら元も子もないし)
結局私は少し早目に来てメールで「着いたから、桜通り口の改札のところで待ってるね♪」と送った。
あ〜、このメールを私が受け取ったら、確実にうっとおしいって思うだろうな。
「ごめん、待たせちゃって!!」
昌代が申し訳なさそうにかけてきた。かわいい。
多分昌代はバリバリのキャリアウーマンなのに、全然そんな雰囲気じゃない。
ふんわりしていて、彼女の周りだけは時間がゆっくり流れてるんじゃないかと思うくらい穏やか。雰囲気はね。
「ううん、ごめんね。せっかく気を遣ってお店で待ち合わせようって言ってくれたのに・・・
なんとなく入りづらくて・・・」
困ったように笑ってみせた。困った顔をしながらエヘッと笑って何もかも許させてしまうのが私の特技だ。
性格とは全く関係ない。その人の持つ雰囲気が、相手の心情に与える影響は大きい。
昌代も私も、場を和ませる雰囲気を持ち合わせた似たもの同士だ。
それが、性格の影響をほとんど受けていない点も含めて。
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