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※捏造注意
ほんの、一瞬だった。
少し前に走り出したあいつが、俺の方を振り返ったときに、信号無視した、トラックがあいつ目掛けてつっこんできた。
病院に運ばれて、1時間もしない内に、あいつは
死んだ。
その現実を理解したのは、あいつの葬式のあと。
その前は、頭でわかっていても、心がついていけてなかった。
と言うか、拒んでいた。
あいつが、死んだ
と言う事実を、
受け入れることを…。
「…」
凛が死んで、1週間が過ぎた。
一護は、その重たい事実に、苦しんでいた。
小学校以来、ずっと一緒だった。
だからか?
中学2年くらいから、凛に特別な感情を抱いていた。
けれど、いままで関係が崩れてしまうことを恐れた。
そんな、一護に凛の方から、
『あたし、一護のことが好きなんだ。あ、これ、冗談とかじゃないから』
と言ってきた。
普通なら、照れてうまく言えないようなことをさらりと言ってのけたことに一護が、驚いていると、
『ちゃんと、言わないと伝わらないでしょ?特に一護みたいなアホには』
と、凛は笑顔で言った。
一護は、そのときの笑顔を、鮮明に覚えている。
いつもの、悪魔のような悪戯っぽい笑みではなく、はにかんだ乙女の笑顔だった。
「もう直ぐ、1周年記念だったのにな…」
携帯の画面の、日付を見ながら呟いた。
あと、3日で2人で付き合い始めて1年の記念日だった。
『2人で、どっか行こうよ。遊園地とか』
『子供か…』
『あ、一護はお化け屋敷ダメだっけ?』
『別に…』
『じゃあ、お化け屋敷5回くらい入ろう』
『ごめんなさい。嘘つきました』
『ははっ』
あの日、交わした言葉。
最後に、交わした言葉。
最後に、見た凛の笑顔。
それを思い出すたびに、失った悲しみと自分の不甲斐なさにさいなまれる。
「…っくそ」
どんなに後悔してみても、もう、あの笑顔を帰ってこない。
そう、思うたびに悲しみは増大していく。
ベットの上にいるせいか、苦しんでいるうちに、一護は眠ってしまった。
「おーい。起きろ〜アホ〜」
「んんっ」
いつの間に眠ったのか、と思いながら、一護が目を開けると…
「やっと、起きた」
「凛…!」
死んでしまったはずの凛がいたのだ。
「驚いた?」
いつも通りの、悪魔っぽい笑顔を浮かべて。
「お前、本当に…」
一護は、もう驚くしかない。
「あたしだよ」
凛は、心底嬉しそうに可愛い笑顔を浮かべる。
「何で…」
「人間だったことを捨てて、生き返ったんだ。だから」
一護は、凛の言っていることの意味が良く分からなかった。
だが、抱きついてきた凛の背中を見て、なんとなく分かった。
「これ…」
「あたしに、ぴったりだと思わない?」
赤く光る黒い翼。
一護の知っている飛ぶ生き物のものに例えるなら、蝙蝠のそれ。
「お前、まさか…」
「あたし、本物の『悪魔』になったの…」
ほんの少し、寂しそうな声で凛は囁く。
「凛…」
「一護。あたしは、ここにいる」
ぎゅうっと抱きつきながら、凛は強い声で言う。
一護が何もしないで、何も言わないでいると、凛は続ける。
「だから、もう悲しまないで…」
一護の胸に顔を埋めながら、凛は必死な声で懇願するように言った。
「ああ…」
精一杯の返事とともに、一護は凛を精一杯抱きしめた。
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