時の守護者

チョタとわかしとか皇帝と達人が愛しい、今日この頃

全体表示

[ リスト ]

王子様を追って:4

 休み時間。
 帝は、次が数学だと聞いて焦った。と、言うか青ざめた。
「宿題やってない」
 鞄から、ノートを出して開いてみたが、根っからの文系人間の帝に、数学はちんぷんかんぷん。
「むぅ〜」
 ノートとにらめっこしてみても、答えは全く分からない。
「やってないの?」
 声がしたので、見上げてみると、明らかな侮蔑の目で自分を見下ろすウラがいた。
「うん…」
 泣きそうな声で、頷いた帝を見たウラは、ため息をつきながらしゃがんで、机に肘をついて、帝からシャーペンを取り上げた。
「いい?まず、この式を問いて、次にこのxを左辺に移項したら…あとはこれを解くだけ。やってみな」
 ノートに解説を書き込んでいたシャーペンを帝に返しながら、ウラは最後の言葉を言った。
「…うん」
 不意にあった目を見て、
(睫長いな…)
 と、思いながら帝はシャーペンを受け取った。
「えっと…」
 達筆な文字で書かれた式の一番下のを、丸文字風の字で問いていく。
「なんか、女の子みたいな字だね…」
「…よく言われる」
 そう言ってごまかしたが、内心かなり、どきりとした。ウラが、一番女の子に詳しいので、一番感づかれ易い。下手に女の子らしく出来ない…。
「だろうね。こんななら」
「…」
 冷たい声と目を向けられた帝は、ちょっと傷ついた。

 家庭科の時間。
 今日の課題は、刺繍。
 実のところ、帝はあまり裁縫は得意ではない。
「曲線、嫌い…」
 細かいところを、必死に縫っていた帝。苦手な曲線が終わると、気が緩んでしまい…
「痛っ」
 指を差してしまった。
「大丈夫?」
 席の近い良太郎が、心配して駆け寄って来た。
「うん…」
 帝の人差し指の傷は、差したと言うよりも引っ掻いた感じだ。その傷を見た良太郎は、
「んっ」
 帝の指ごと傷を舐めた。
「ひゃあっ」
「取りあえず、これで…。今、先生に絆創膏もらってくるから」
 そう言って、良太郎は先生のところに行ってしまった。
「良もアホだった…」
 帝は、自分の指を握ってから良太郎を見ながら真っ赤な顔で呟いた。


.
笹藤沙羅
笹藤沙羅
女性 / A型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について

ブログバナー

検索 検索
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

Yahoo!からのお知らせ

友だち(1)
  • 黒りぼん@みやかわ
友だち一覧

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

数量限定!イオンおまとめ企画
「無料お試しクーポン」か
「値引きクーポン」が必ず当たる!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事