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夕方。
部活が終わって、帝は部屋に戻る。割とご機嫌に。今日は、満足のいく演技が出来たから。
「ただいま〜」
上機嫌な帝とは裏腹に、部屋には張りつめた空気が流れていた。
「あれ…どうしたの?」
「ねぇ、みかちゃん…」
リュウが重たい声で、呼びかけた。
「何?」
帝は怯えたようなこえ出した。
「俺らに隠してることあるんと違うか?」
キンが珍しく怒ったような声を出した。
「何が…何のこと?」
帝は、動揺する。
必死にしらっばっくれてみても、声が揺れる。
「…」
ちょっと後退すると同時に、ウラが立ち上がり、思い切り帝の肩を掴んだ。
「痛いよ…」
「ちょっと確認するよ」
ウラが、そう言うとモモが帝を羽交い締めにする。
「な、何すんの!?」
「いいから!」
ウラは、帝のシャツのボタンに手を掛ける。その途端、帝はモモの腕をすり抜けた。
「…っ」
帝は、涙目になってシャツを握りしめる。
「ごめんなさい…」
「みかちゃん…?」
リュウが優しい声を掛ける。
「『あたし』、女なの…」
「うん」
リュウは、優しく帝の頭をなでる。
「どうしても…みんなに、逢いたくて」
帝は、本格的に泣き出してしまった。
「ああっ」
隣のリュウが慌てる。
「みんなって、僕ら…?」
良太郎が訊くと、帝はこくんと頷いた。
「俺たちに逢うためにわざわざ、男子校に来たのか?」
モモが未だ不機嫌な声で訊くと、帝はさっきより大きく首を縦に振った。
「泣けるで!」
急に大きな声を出して、キンは帝に抱きついた。
「キン…!?」
帝は、揺れる声で驚いた。
キンは、思い切り腕に力を込める。
「俺らの為に、わざわざこんなことしたんやろ。嬉しいで、帝」
「キン…」
帝が涙をこぼすと、
「僕も嬉しい…!」
リュウも抱きついてきた。
「リュウ…」
帝は、リュウの方を見つめる。
良太郎も帝のところへ来た。
「どうして、言ってくれなかったの?」
「そうしないと、みんなと仲良く出来ないと思ったから…」
「亀ちゃんなら、女の子って言った方が仲良くするよ」
「せやな」
帝を抱きしめているキンとリュウが笑っても、帝は眉がへの字のまま。
「キンと良とリュウは、許してくれる?」
その質問に、
「うん」
「当然やろ?」
「当たり前じゃん!」
3人は、笑顔で応えた。
「でも、モモとウラはまだ怒ってるでしょ?」
「まあ、なぁ」
「だってねぇ…」
「ごめんね…」
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