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帝は、再び目を潤ませてモモとウラを見つめて、謝る。すると、
(可愛い…)×2
ストライクだった。
「みんなには、言えばよかったよね…。ごめんね。でも、言ったら2人とは仲良く出来ないと思ったから…」
帝はうつむいてしまった。
「バぁーカ」
モモがぽすんと、帝の頭を叩いた。
「そんなことくらいで、お前を嫌いになる程、器の小さい男じゃねえよ」
「モモ…」
「あんまり、釣り甲斐はなさそうだしね…」
「ウラ…」
「釣り甲斐って何だよ?」
「まぁ、要するに今まで通りってことだよ」
ウラは、帝の方を見て笑った。
「まあ、そう言うことだな」
モモも、笑った。
「モモ、ウラ」
帝は、制服の袖でごしごしと顔を拭いた。そして
「うんっ」
笑った。
夜。
「あれ?何この距離感」
野上兄弟の布団と帝の布団が、離れている。
「一応、女の子だから」
良太郎が『一応』と言ったあたりは気にせず、帝は首を傾げた。
「だって、さっき…」
「このスケベ亀がなんかする可能性があるからな」
モモは冷たく言いながら、右手の親指でてきとーにウラを指さした。
「しないよ」
そう言うウラは、やたらニタニタしていた。
「てめぇ、それ嘘だろ?」
「さあね」
で、いつも通り喧嘩が始まる。
「気をつけてね」
着替え終わったリュウが帝に近寄って言った。
「何に?」
「亀ちゃん。女の子が大好きなんだ」
「…うん」
リュウの忠告を受けた帝は、風呂場の脱衣場で、寝間着に着替える。でも、これもいつも通り。
「2人とも、止めなよ」
どたどたしているモモとウラを止めようとする良太郎。でも、うまく行かなくて困っているとき…
「うるさい!!」
もの凄い怒った侑斗が、部屋の扉をとてつもない勢いで開いた。
そのタイミングで、帝が脱衣場から出てきた。
「あ、侑」
「帝…お前、よくこんな奴らと同じ部屋で生活できるな」
「てめえ、それどう言う意味だ…」
聞き捨てならない台詞を聞いたモモが、今度は侑斗につっかかって行く。
「そのままの意味だ」
「ほぅ…」
「喧嘩しないの」
帝が言うと、騒動は収まった。
次の日。
「え?部活の見学したい」
「うん。みかちゃんの演技が見たい」
リュウがキラキラした目をして帝に言った。
「ムリだろ」
侑斗が冷たい声で言った。
「何で?」
リュウも冷たい声で応える。
「どう考えたって、講演前の舞台の稽古場見せてくれる訳ないだろ?」
「何で?」
リュウは、未だに不機嫌。
「未完成のものを見てもつまらないだろ?」
「む〜」
「大丈夫」
帝が、笑った。
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