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朝、食堂に行くときも…
教室に行くときも…
教室移動の時も…
モモは、ずっと帝の手を握っていた。絶対に離すものか、と言いた気な程、しっかり強く…。
「兄さん…」
「何だよ」
今日のモモは、いつも以上にピリピリしている。
神経をピンと張り、何かを警戒している。
「どうして、ずっと帝の手、握ってるの」
「言えねぇ」
「モモタロス、みかちゃん離してよ!」
「ふざけんな」
むっとしたリュウを見ていたモモは、何かを見た途端、帝を引っ張るように引き擦り、どこかへいってしまった。
「どうしたんや」
キンが、モモと帝の背中を見ていると、桜井兄弟がやってきた。
「何?」
その途端、リュウは不機嫌になる。
「帝に用があったんだが…」
「帝なら、兄さんに拉致されたよ」
「拉致?」
侑斗は首を傾げる。
「今日は、モモタロスがみかちゃんを独り占めしてるの」
不機嫌状態継続中の声でリュウが言った。
「確かに、今日はずぅっと手を繋いでたな」
デネブがやたら納得した声で言うと、侑斗がデネブのわき腹に肘で強烈なのを一発入れた。
「そうだね」
「まるで、誰にも渡さないって言いた気だよね」
ウラが、いつもより低めの声で言うと、良太郎がはっとした。
「それだよ!何かから…」
良太郎が、そう言うと侑斗も納得した。
「そう言うことか…」
侑斗は、どちらかというと嬉しそうに笑った。
「俺が…」
野上兄弟と帝の部屋。
電気がついていない部屋。夕日のおかげで、薄明るい。
「モモ…」
部屋の隅で、モモは胡座をかいて、帝はその膝の上に座り、モモはしっかりと帝を抱きしめ、帝はモモの制服のワイシャツを握りしめている。
『こんこん』
ドアをたたく音。
モモは、帝を抱く腕に力を込め、警戒心のこもった目でドアを睨む。
「兄さん…」
扉の向こうからしたのは、暗めのウラの声。
「亀…」
「僕らも、入っていいかな…?」
モモは、帝を見下ろす。
目が合うと、帝はこくんと頷いた。
「ああ…」
モモの声が届くと、がちゃりと、扉が開いた。
何も言わずに、良太郎とウラが入って来て、その後ろからリュウを担いだキンが入って来た。
「リュウタ…どうしたんだ?」
キンの肩に乗ったリュウを見て、モモは暗い声のまま訊いた。
「侑斗に殴りかかろうとしたから…」
「そうか」
モモの声は、妙に納得しているようだった。
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