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出産からわずか7時間後に退院!早朝に入院したイギリスのキャサリン妃が、真っ赤なドレスにハイヒールを履き、王子を抱いて病院の前に姿を現したのは、その日の夕方。そのスピード退院は、アメリカでも驚きをもって伝えられた。
「11時過ぎに出産して、ディナータイムの前に退院です!」 ただし、アメリカとイギリスの差はわずか。メディアの報道によれば、産後の入院期間は、イギリスで1.5日、アメリカでは2日。日本では4-5日なので、アメリカもかなり早い国と言える。 私自身もアメリカで出産したが、「えっ、もう退院?」という感じで慌てて身支度をした覚えがある。一人目は帝王切開、2人目は普通の分娩後、出血多量で輸血が必要な事態になったが、それでも3日ほどで退院だった。
なぜ、こんなに国によって違うのか?
大きな違いは、麻酔を使って陣痛の痛みを和らげる無痛分娩の割合だ。厚生労働省の資料によれば、日本は5.3%に対し、イギリスは20.8%、アメリカは、41.3%、フランスに至っては、65.4%となっている。
私も、ワシントンDCで出産の際、無痛分娩を希望した。その病院では、高齢出産が多いということもあり、無痛分娩が9割、帝王切開も4割以上と聞いた。
陣痛の痛みは、硬膜外麻酔(こうまくがいますい)という局部麻酔を使って取るのが一般的。背骨の脊髄に近い場所に針を刺し、チューブで麻酔薬を注入する方法だ。子宮口が4-5センチ開いてからしか投与されないが、麻酔はあっという間に効いてくる。
「すごい!まるでフロリダのビーチにいるみたい!」
当時、陣痛の痛みから解放された喜びを私は今でも覚えている。友達も「こんなに出産が楽なら、明日もう一人生んでもいいわ」と言っていた。
欧米は、無痛分娩により、出産後の母体の回復が早いから、退院も早くできるのだ。
この他、欧米では、出産にかかる入院費が高いことや、家庭で産後のサポートが整っていることもスピード退院の背景にある。さらに、今回は、英国の王子の出産という特別なケースだ。しかし、キャサリン妃の晴れやかな姿は、日本の母親達の精神的、肉体的な負担の重さとあまりに対照的だ。
「鼻の穴からスイカを出すような痛み」と言われる自然分娩。それに耐えてこそ、一人前の母親だという女性に我慢を強いる考えが、いまだに残ってはいないだろうか。脂汗をかき、焼けつくような痛みに苦しむ妻を見て「女性でなくて良かった」と思っている男性はいないだろうか。
英語でLabor(レイバー)とは、「働く」という意味以外に「陣痛」や「分娩、出産」という意味もある。働き方(labor)改革を推し進める日本。女性の社会進出、少子化社会対策を真剣に考えるなら、今回を機に、女性の負担を減らす「出産」(labor)改革も進める気になってくれないものだろうか。
無痛分娩には少なからず事故やリスクも報告されている。慎重な対策を講じるとともに、一人でも多くの母親に無痛分娩の選択肢が与えられ、日本でも、今より早く、笑顔で軽やかに退院できる日が来ることを望みたい。 |
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