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はい!社会人恒例の期末の時期がやってまいりましたー。ドンドン、パフパフ。うーっ、ハッ!!
・・・無意味にテンション高まるこの時期。毎晩送別会やら達成会やらのお祭り騒ぎの酒池肉林。
私は天性のストロングなレバーを生かして、夜な夜な各種飲み会を蝶のようにひらひらと舞っていた。
さて。そんなテンションが最骨頂に達するのが3/31の最終日の達成飲み会だった。
我が部署は今期も最優秀部門賞を狙うべくハイパーな業績を叩き出していた。
(※なお、前回の賞の表彰式でのワタクシの恥ずかしい事件を知りたい方はこちらをクリック♪)
→http://blogs.yahoo.co.jp/sasami921/13435290.html
銀座のとある老舗ホテルのイベントホールを貸し切っての飲み会。
イベント好き人間が集まっている我が部署では、コスプレ、ミラーボール、効果音、クイズ、隠し撮り
など各種テクを駆使して企画を立てているため、会場はとても素人の飲み会の域を逸脱した状態と化していた。
そして宴もたけなわな頃。
元広告制作の先輩が我が事業のプロモーションムービーを作っており、スクリーンにその画像を映し出していた。
その映像は事業の二年間に渡る軌跡をドラマチックに再現しており、素晴らしい出来栄えだった。
が、皮肉なことにあまりにも映像が凝りすぎているために、彼が連日残業していたのは
実は本業の仕事に没頭していたわけではなく、このビデオ制作に情熱を注ぎすぎてしまったから・・・、
というおマヌケな失態をも露呈させてしまっていたのであ〜る。
ともあれムービーを無言で見つめる我々。
いつしか私の前に座っている女性の後輩は静かに涙を落としていた。
「彼女もうちの部署に異動で来てから、一時期は泣くほどの苦労をして頑張ってきたもんな」
と、私は母のような思いを抱きながら彼女の美しい涙を見つめた。
すると今度は右ナナメ後ろあたりから「ぐえっ」というおっさんの嗚咽が聞こえた。
ギクッとしてその方向を振り向くと、なんと部門長まで泣きが入っちゃっていたのである。
weepどころではない。cryでありblubberというほどに、おっさん部門長は号泣・慟哭していた。
「き、き、汚ねえ絵だな〜」と私は舌打ちし、そのことを右隣の男の後輩に告げようとした。
すると「ブルータス、お前もか」だったのである。
普段はクールでスカして「人前で泣く?マジありえないっすよ」という風情の彼がしゃくりあげて泣いている。
どーした!?みんな!!落ち着け!?みんな!!冷静にこの図をよく見てみろよ!!おかしいじゃん!
「さっきの料理に変なクスリでも混入されてたんちゃうか?」と穏やかではない状況を分析していた私に、
左隣に座っている派遣さんが紙ナプキンを差し出した。
おっと、いかんいかん。おっちゃんヨダレたれてるやん。ちょっと酔っ払って口元緩うなってもうたな。
しかも女子たるもんハンカチーフくらい自分で持ち歩けっちゅーハナシやね。こりゃ失礼。わはは。
・・・って違うじゃん!これヨダレじゃなくてティアードロップやん!!
私は普段はアルコール以外の水分はほぼ摂取しないため、私の体から出る水分は貴重だ。
ちょっとした出血でも急いで口でちゅーちゅーして体に戻し、
たとえ鼻汁一滴でも体外には放出しまいと必死で鼻粘膜の引き締めトレーニングを行っているのだ。
そんな私が涙ですよ、先生!
♪なーみだ君さよなーらー♪さよおーならーなみだ君♪
いやーーー、出て行かないでー。かむばーっく、涙。
♪また会―う日ぃーまーでー♪・・・ってたぶんもう一生会えない、私の涙!フォーエバー、私のなみだ君!!
ノってきたのでついでにもう一曲。
♪ええいーやあー君からもらっい泣き♪。ああ先生!涙と青春ってやつぁしょっぱいんですねーーーー。
おほん。いささか取り乱してしまいましたな。ていうか「先生」って誰やねん。
しかしながら、会場は異様な雰囲気だった。総勢20名の老若男女が泣きじゃくっている。
しかも皆アルコールで脳内の回線がブツ切れてしまったのか、誰も彼もが大声で子供のように泣いている。
挙句、互いに抱き合って言葉にならない言葉をかけ合う人々まで出現していた。あなおかし。
と、ここで会場にホテルの支配人が入ってきた。会場に一歩足を踏み入れるやいなや、
彼はあきらかに「ぎょっ」としていた。
無理もない。普段はこの会場はなかなか外部に貸し出しをしないという。
そこをちっとは世間に名の知れたうちの名刺をチラつかせるというえげつない手段で今回は貸切をさせたのだ。
「まあ御社なら信用できますし・・・」渋々そんな台詞を吐いた支配人だったが、
今彼の目前に広がるのは単なるキモい宗教団体の決起会なのだ。
「支配人、すまない!」そう思いながらも会場は今やなみだ君&はなじる君の大洪水。
そろそろ支配人が銀座の街に「鉄砲水が来るぞー」と警報発令を叫ぶかもしれぬ。
実は、私の事業部はこの4月に解散をすることになっていたのだ。
事業部の形としては存続するが、メンバーの半数はいなくなってしまう。
退職する人もいれば異動になる人もいる。産休に入る人もいれば別グループに出向になる人もいる。
私は二年前の事業立ち上げ時のメンバーの一員だ。
それだけに今回の組織改変については自分なりにできる範囲で根回しなどに奔走したものの
力及ばず不本意な結果となってしまった。
とはいえ、うちの部署は最初から皆が解散を嘆くほどの順風満帆な組織というわけではなかった。
高い成果を上げれば上げるほど、その結果と反比例してメンバーには疲弊感や閉塞感がうまれた。
一時期は全社でナンバーワンの業績を上げながらも、
メンバーのES(従業員満足)のスコアは全社でワーストワンになる事態まで起こっていた。
私自身も自分の進むべき方向や仕事の意味が見出せず歯がゆい思いをした。
徹夜が続き、会社を、上司を恨むこともあった・・・。
しかし、一人一人が小さくてもいいから改善案を考え、話し合うことで信頼感を芽生えさせた。
今期はようやく出した業績とメンバーのマインドがつり合う時期になりつつあったのだ。
涙には色々あれど、感情的な涙(emotional tears)は生理現象の涙と比べると、
高い濃度のたんぱく質が検出されるという。
それゆえ泣くという行為は「心のゴミを捨てる」、つまりカタルシス的な浄化作用として表現される場合もある。
この組織の一員として働いた自負心、そしてこの時期の解散という無念・切なさ。
そんな心のゴミは、私も、また皆もこの会場に捨ててしまえばいいと思った。
そして、各々がゴミを捨ててすっきりとした気持ちで新しい道を歩んでほしいと願った。
ムービーのエンドロールでは皆の名前と写真が無音で映し出されている。
ふと気づくと、私達のことを何も知らないはずの支配人もその映像を見て涙を流していた。
きっと彼は、私たちが「心のゴミ」をここに捨てることを了承してくれたのだろう。
・・・そんな風に私は感じた。
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