M嬢が贈るそれなりの公開劇場

「二日酔いを病気と認定する世の中に」そんな公約をする政治家はいないものか。

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M嬢に春が来た

春ってコワい。
春は人の心を狂わす。惑わす。

いたって普通の人だった友人が夜桜を見た途端「&$☆#−!」と絶叫してどこかに走り去ってしまう。
いたってマットーな好みの友人が、春の合コンでとんでもなくデブで体臭のキツい男にお持ち帰りされる。

ともかく、人は春になると「何かいつもと違うことがしたい」というプログラムが
巧みにインストールされているようだ。

私の場合、ある日金髪になってしまった。

いや「なってしまった」じゃあまりにエエ大人として他力本願すぎるが、
まさに「魔がさした」としか言いようがない出来事だったのである。


説明しよう。
とある麗らかな春の休日。

PKO活動の一環として私は防弾チョッキを身にまといながら、東京砂漠をパトロールしていた。
・・・あ、簡単に変換すると「散歩」っちゅーことね。

桜は葉桜。都会の真ん中にあるひっそりとした公園で私は持参の唐揚をつまみにビールを呑み始めた。

ふと草むらを見ると、淡い茶色のネコがひっそりと昼寝をしていた。
自他共に認める猫バカの私はそーっとその猫に近づいた。

猫は私の気配を察してビクッと体勢を立て直した。

おっと!こういう時は焦って動いちゃいけねえ。FBIの戦闘マニュアルにはこう書かれている。
あくまで気づかれた距離から近づくことなくじーっとしていれば、猫のやつも次第に安心するだろう、と。

ほら、案の定やつも上から差し込む木漏れ日にヤられて、徐々に目がとろ〜んとしてきた。
私はその場に体育座りをしながら、眠りに落ちていく猫の様子を見守った。

客観的に見たら、かなりブッキーでコドッキーな姿なことだろう。

あ、勢いで書いちゃったけど、別に世間で語尾に「キー」つけるのが流行ってるワケでもなんでもないでよ。
ムッキーになってごめんな。私の単なるボヤッキーだから。

・・・うーん、春になると私のしつこさも増すみたい。今日も私ってば粘着質でイイ感じ♪

そんなこんなで茶色い猫と向かい合うこと小一時間。
ふと日に透ける猫の毛色を見ていてM嬢は思った。

「あんな髪色にしたいニャー」と。

元々私は黒髪が大好きだ。
ここ数年は紫を加えて通常の日本人の黒髪よりも「人工的に」黒い髪色を保っているほどである。

が、そんな信念やらを覆すほど麗らかな春の日差しや猫の寝顔が心地よかったのである。

私は近くのコンビニにピッチ走法で駆け込み、市販のホームブリーチ剤を購入した。

なお、所詮コンビニゆえ気の利いた薬剤は販売しておらず、
私は「メンズブリーチ」なる性根座ったネーミングの薬剤を二箱ほど購入した。


そうして自宅に帰り、おもむろにがつーんと鼻に来る男臭い薬剤を髪に塗りつけた。

が、元来飽きっぽくて数分前の決意はアホの坂田並に忘れる私は薬剤を全て塗り終えた途端、
冷えたビアーを冷蔵庫から出してパソコンで脱がせ麻雀ゲームをおっぱじめてしまった。

「よしゃ!イッツーに聴牌!これでこのスッチーもブラウス脱ぐでえー」
M嬢、春の大勝負は大成功の巻。にん!

・・・じゃなくて。
ふと自分が春の大変身を遂げる過程だったことを思い出して、洗面所に行き鏡を覗き込んだ。
そこに映る女を見て、私はこう呟いた。



「じぇ、ジェニファー・・・?」


そんなLAチアリーダーのような安直な名前が思い浮かんでしまうほど
鏡の向こうには漬物と白飯をこよなく愛す人種とは程遠い髪色の女が佇んでいた。
茶髪どころの騒ぎではない。パ・ツ・キ・ンですわよ、奥様。

反省すべきことは多々ある。

確かにブリーチ剤のパッケージには「20分以上薬剤をつけて放置しないでください」など
の懇切丁寧な但し書きが書かれている。
それを読まなかった私が悪い。いや、読んでいたけどアルコールの川にアドバイスを流してしまった自分が悪い。

先月の記事で御紹介したように、女子はこの手の前面に出る外見に力を注ぎすぎちゃいかん。
http://blogs.yahoo.co.jp/sasami921/30857328.html

これじゃ合コンに参加しても真っ当なリーマンには相手にされないだろう。
いや、そもそもこれじゃ合コンのお呼びもかからないだろうし、
宴会で色モノの出し物として借り出されるのが関の山だろう。

プロの美容師にココアブラウンのウィービングを巧みに施されている女子の友人はしたり顔でこうアドバイスする。

「女子はあー、美容院とかに行くのが普通っていうかー。あたし的には信じらんない」

こらーーー!そこの女!!

「ていうか」ってナンだよ!
「あなたは○○と申しますが、私はそれには反対で、次のように考えます」ってちゃんと言え!
あ、ついでにもうひとつ御立腹すると「とか」は不要じゃい!
美容院とか他はどこやねん!病院か!?平等院か!?そっちのが信じられんわい!ぷんぷん。

まあこの手合いの話しをしだすとMおじちゃんの説教部屋はベリーロングのトゥーホットになってしまうので
ココアちゃんの主張を端的にまとめよう。

要は「素敵に変身したいなら美容院に行けや」ってことが言いたいわけやな、チミは。

が、散歩中のジャージ姿という小粋ないでたちの私は今思いついちゃった素晴らしいアイデアと、
これから一時間化粧を施して洒落たサロンの鏡に向う状態にはブリッジがかけられない状態にあったのだ。

つまり、メンドーだっただけなんだけどね。


このように、春はすべての人の真っ当な思考や判断を突如ナタで切り立つような恐ろしい力があるのである。
こんなスプリングシンドロームに侵された君にはこの言葉を贈ろう。

全てを疑え!!」

・・・カール・マルクスの言葉に酔うまでもなく、人って案外脆いものなのである。

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