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5/20 AM5:00 波戸岬キャンプ場 中潮 干潮AM5:21 夜明け前のやうやうしろくなりゆく時間帯。 それは釣り言葉でいう「朝まずめ」。 鳥たちのさえずりが次第に聞こえ始め いよいよ一日が始まるのだなと感じさせる まさに生命の躍動を感じさせる時間帯。 それは海の中でも同じだ。 海の中では朝まずめに植物プランクトンたちが活発に動き始める。 それを補食する動物プランクトン。 それを補食する小魚(ベイトフィッシュ)たち。 そしてそれを補食する大型の魚。 植物プランクトンの動きが海全体を動かしている。 今回のキャンプの目的の一つは この大型の魚を狙う為だ。 魚と言っても魚ではなくイカである。 イカの中でも最も美味しいと言われるアオリイカ(水イカ)。 その美味さはヤリイカの比ではない。 通常、イカは一年しか生きない。 春に生まれて翌春に産卵しその生涯を終える。 アオリイカは春に沿岸の「藻」に産卵するために接岸する。 その接岸距離は防波堤や磯からも釣れるほどだ。 しかも、産卵時期のアオリイカはとにかく巨大である。 それが「モンスター」と言われる所以である。 モンスターサイズのアオリイカとはどんなイカなのかというと こんなサイズです。 そう、この時期なのだ。 だから波戸岬キャンプ場だった。 それしか選択肢が無かった。 朝焼け前の薄暗い中、 キャンプ場の目の前の磯へと一歩一歩丁寧に歩いて行った。 釣り人はまだ3組足らず。 すぐ10m位隣には同じくエギングでアオリイカ狙いのアングラー。 海は少しうねっており波しぶきが時折足下に降り掛かる。 ちょっと危険を察知したので 波打ち際から少し離れて戦闘開始。 まずはピンク系の4.0号の餌木(エギ)を選んで数投するが全くアタリ無し。 4.0号のオレンジ系に変えて同じく数投するがこれまた全くアタリ無し。 次に選んだのが夜光の4.0号グリーン系。 デイエギング、しかも磯だったのでグリーン系がいいかもと勝手に思い込む。 というかもうこれしか無かったのである。 そして、数投。 しかりアタリ無し。 表層から底層まで幅広く狙うがアタリ無し。 そして、時間ばかりが過ぎて行く。 すでに辺りは明るくなり朝まずめは終わりに近づいていた。 AM5:50 突如、ゴツンという重量感のある感触がロッド(釣り竿)から手の平 そして腕へと伝わった。 またも藻に絡んだかな? 一瞬そう考えたが次の瞬間その考えが間違いである事に気づいた。 ギュイーーーーーンとしなるロッド。 ジーーーーと唸るリールのドラグ。 リールの糸が瞬く間にグングンと海中へと引き出されてった。 キターーーーーーーーーッ! すかさずリールを巻き上げるが 逆噴射でガンガンと抵抗してくる。 竿はすでに「く」の字になっていた。 今回は大型狙いなのでシーバスロッドを使っていたが それをいとも簡単に曲げている。 「でかそう。」 そう思ったがこれまでキロ級のアオリイカを釣ったことないので 想像がつかなかった。 甲イカはキロクラスを毎年釣っているがアオリイカは経験が無かった。 「もしかしてモンスターアオリか?」 それから10分程格闘し続けた。 巻いては逆噴射、巻いては逆噴射。 幸いすぐ手前から深場なので根にラインがかかり切れる事は無かった。 ようやく目の前に現れた。 「デカッ」 思わず叫んだ。 シーバスロッドを左手に そしてタモ(玉網)を右手に持ち、波打ち際まで寄せた。 そこからタモを延ばしてちょうどすくうことができる距離だ。 ここまでは順調に引き寄せ、タモに入れようとした。 「????」 「入らん」 そう、タモの直径は50cmあるのだが 胴周りがすでにそれ以上の大きさだった。 「すくえない」 アオリイカは足を広げていたので タモの中には中々入らなかった。 ゆらりと浮いているアオリイカは 目の前で白くなったり(興奮している証拠)しながらもがいていた。 餌木が口付近に掛かっているので 当然であるが頭は沖に向けて水に浮かんでいる状態である。 頭からすくえばいいのだがそれができずにすくえない・・・。 何度も何度も繰り返すがアオリイカは逆噴射や 墨を吐いたりしながら抵抗を繰り返した。 左手で必死にロッドを支え 右手で長さ4mもあるタモを持ち悪戦苦闘しているうちに 私の体力は限界に近づいた。 腕・腰(中腰体制)・指・・・すべてが限界であった。 タモですくうのをとうとう諦めた。 一か八か振り上げようと・・・思った。 そして、次の瞬間 「バチッ」という音を立てて PEラインは切れてしまった。 瞬く間にアオリイカは海の底へと消えて行った。 そう、私の餌木(エギ)が付いたまま・・・。 すぐにしゃがみこんでしまった。 悔しいという気持ちと興奮と体力の限界と満足感と すべてが混じり合って思わずしゃがみこんでしまった。 すぐに足が震えて来た。 腕が震えて来た。 胸の鼓動の高鳴りがバクバクと聞こえて来た。 ふと、ヘミングウェイの「老人と海」を思い出した。 その心境が初めて分かった気がした。 その後、興奮から冷めやらぬ頃、 指に激痛が走るのを感じた。 「痛い」 ふと右手の薬指を見るとなんともないのだが 「痛い」 それは以前野球で痛めたところと同じ場所だった。 「折れたか?」 正直そんな痛さであった。 それから数分間そのまま動けなかった。 というか今しがたの戦いの映像が 何度も何度も頭の中でリアルに繰り返された。 興奮から次第に悔しさの方が大きくなっていった。 しかし、指の痛さに釣りは諦めた。 すぐに納竿(のうかん)してテントへと歩いて戻った。 薪をしながらボーっとしているとmamaが起きて来た。 すかさず、先ほどの戦いを説明した。 「夢でも見とったとじゃなかと」 そう、夢のような体験であった。 でもそれは現実に起こった出来事なのだ。 夢は夢にあらず。 心の底でふつふつと煮えたぎる音がして来た。 どうやら、着火したみたいだ。 これからが始まりである。 私とモンスターアオリとの戦いは。 そう、今回はお互いに負傷して引き分け。 翌日(本日)病院へ行ったが骨は折れていなかった。 しかし、薬指の付け根の骨が ガタガタになって削れていた。 それは「腱が骨をこすって削っている」とドクターは言った。 「どうすることもできん」とも言った。 「3ヶ月位痛かろうね」とも言った。 「指曲げたらいかん」とも言った。 「野球もテニスも無理」とも言った。 何もできんじゃん・・・。 今回の戦いは引き分けであった。 次はタモのサイズアップとPEラインのランクアップと ギャフ(イカを引っ掛ける道具)を購入しようと心に決めた。 私とモンスターとの戦いは今始まったばかりである。
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すごい、短時間でそんなドラマがあってたのですね・・・。次は必ず!?指は大丈夫ですか?曲げるのもダメだなんて辛いですね・・・お大事に。。。
2007/5/22(火) 午後 4:08
釣りをしない私でもその場の闘いの様子が手に取るように伝わってきました!残念!!自分の事の様に悔しい思いがしました。負傷した指を早く治して次の戦いに挑んでください!
2007/5/22(火) 午後 9:52
myomyoさん、最後まで読んでくださりありがとございますだ。次はいつなのか・・・未定です。指はまだ痛いです。 by papa
2007/5/22(火) 午後 10:40
kaeruさん、完治する前に多分釣行すると思います。だって、この時期を逃すと一年先なので・・・。 by papa
2007/5/22(火) 午後 10:46
お〜〜〜!興奮しますね〜。次はしっかり戦闘準備して突撃〜〜〜!
指もお大事にしてください。
2007/5/23(水) 午前 11:15
次回は船竿150号と道糸20号以上のぶっといので更に、電動リールでリベンジですね。ってこんなに大きいと目だってイカも乗ってきませんね。(^^;
2007/5/23(水) 午後 9:49
manmiさん、準備万端にはお金が掛かるーーーー。でもやりますがな。はい。 by papa
2007/5/24(木) 午前 0:16
なみさん、でかすぎです。電動リール・・・餌木(エギ)を遠投するので腰が砕けます。 by papa
2007/5/24(木) 午前 0:18
おぉぉぉ!凄すぎる戦いでしたね。今度は頑張るしかない。お大事に。
2007/6/3(日) 午後 0:35
すっごい 興奮して読ませてもらいました!
俺は 自分の未熟さから何度か大きいのを逃した事があるのですが その時の悔しさがふつふつと 思い出されました!
50cmのタモに入らんなんて・・・
リベンジ期待してます!!
2007/6/12(火) 午後 2:42
50cmのモンスター。。すぐに釣れてしまっては・・・次回は体調万全・準備万端でリベンジ期待してますぞ!!ワクワクする・・・ 楽しみじゃね〜〜♪
2007/6/16(土) 午後 10:57
こうたろうさん、今度は負けません、だって80cmφのタモ(玉網)に替えましたので! by papa
2007/6/17(日) 午前 6:16
しげさん、逃がした魚は大きいとよく言われますが、本当にそうなんですよね。その時の悔しさというか闘争心というかワクワク感というかそういう気持ちが複雑に重なり合ってはまっていくのです。 by papa
2007/6/17(日) 午前 6:19
いわなさん、そうすぐ釣れてしまったら面白くないですよね。指はまだ痛むけど月内に再チャレンジしたいと思います。でももう時期が遅いし・・・波戸岬までは行けないので近場を探索します。 by papa
2007/6/17(日) 午前 6:22
僕の友達がアオリイカ釣りにはまりまくってました。6-7月は毎日のように夜行ってたそうです。冷凍庫がイカでいっぱいでした(笑)でっかいのを釣ってたのであとでTBしときます。
2007/9/27(木) 午後 0:43