|
菊池良生『神聖ローマ帝国』講談社現代新書、2003
これは便利な本。神聖ローマ帝国の歴史なんてあるのかと普通は思うが、これはオットーの加冠以後、皇帝位についた人々と王朝の歴史。神聖ローマ帝国がいつからそのように呼ばれていたのか、カール大帝の帝国はいったい何だったのか、全然わかっていなかったが、これでやっとわかった。
カール大帝が加冠されたのは、「ローマ帝国」(西)。その後、帝国は三分割され、東フランク王国にザクセン朝が立って、オットーが加冠されたものが、「帝国」。この時点ではローマ帝国とすら言っていない。
その後、ザリエリ朝、シュタウフェン朝と続いて、12世紀に「神聖帝国」と名乗るようになる。「神聖ローマ帝国」を初めて名乗るのは13世紀。オットー以来、西フランクは帝国に入っておらず、イタリアへの遠征も成功していないので、帝国は実質的にドイツとその周辺地(ネーデルラント、スイス、ブルゴーニュ)だけ。
ハプスブルク朝、ルクセンブルク朝を経て、14世紀には帝国としての統一が図れないことを認めざるを得なくなり、金印勅書が発せられて、選帝侯による皇帝選挙が確立する。
15世紀にハプスブルク朝が復位し、教皇による加冠はなくなる。16世紀以後は、「ドイツ国民の神聖ローマ帝国」を名乗るようになる。カール5世が皇帝位とスペイン王を兼ねるが、1代で終わり、以後のハプスブルク家は、オーストリア(皇帝家)とスペイン(スペイン王家)に分裂。
17世紀には、三十年戦争が起こり、ウェストファリア条約で実質的に帝国はなくなる。正式に神聖ローマ帝国の名前が放棄されるのは、19世紀初めにナポレオンに敗れた時。
中世ヨーロッパ史、特に皇帝と教皇、ドイツ、イタリアの歴史をなでることができてよかった。歴代皇帝の名前がぜんぜん覚えられないが、この本くらいのことがわからないと、フランク王国から近代の間のことがわからない。高校生の時にこれが読めていればよかった。
|
全体表示
[ リスト ]





