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「河鍋暁斎 その手に描けぬものなし」サントリー美術館
サントリー美術館で今月末までかかっている河鍋暁斎の展覧会。休日に行ったが、そこそこに人は来ていて、けっこう人気。それはそうだろう。
展示スペースの制約があるのか、それほど大きな作品は少ない。何年か前にあった、大規模な暁斎の展覧会ほどの迫力ではない。しかし、その分、展示を工夫している。狩野派の絵師としての訓練、古画の模写作品、明治以後の変化、娘やコンドルの作品との対比など、絵師としての経歴や作風の変化がわかるようになっている。図録を買って、よく読めばよりよくわかったと思う。
鳥獣戯画を翻案した作品や、放屁をネタにした作品(これも鳥獣戯画を踏まえた描き方)などは、絵物語として楽しいし、龍や風神雷神図は、狩野派の絵であり、かつ暁斎の画風が出ている。前日の展覧会ほど混んでいなかったことも助かった。
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「奇想の系譜」江戸絵画ミラクルワールド、東京都美術館
東京都美術館にかかっている、江戸絵画の展覧会。岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曽我蕭白、長沢芦雪、歌川国芳、白隠慧鶴、鈴木其一が並んでいる。これらの人々に注目した最初期のひとりが辻惟雄で、その著書が「奇想の系譜」なので、タイトルはそこから。
東京都美術館が性根を入れて集めているので、非常に豪華な展覧会。並んでいる絵にハズレがなく、ほぼ全部傑作。これをかき集めてきたことがすごいと思う。来年になったら、大阪の国立国際美術館に巡回するということだが、ここでみておいてよかった。
シルバーデーということで、65歳以上の客はただで見られる日。ただでさえ、老人ばかりなのに、あえて老人を無料にする意味がわからない。まあ、もっと昔、老人が少なかった時にこういうことを思いついたので、都立美術館はやめられずに続けているのだと思うが。
帰りにさんざん物販コーナーで買い物をして帰ってきた。図録も買っておけばよかった。
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木村元『学校の戦後史』岩波新書、2015
学校の「戦後史」となっているが、戦前期の学校制度の成立以後の事情にも触れられているので、日本における学校の歴史と社会、みたいな本になっている。
統計が多く出ており、これは非常にありがたい。学校制度は明治期に成立していたにしても、実際にそれが機能するまでには長い時間がかかったこと、学校の定着は都市化によって確立されたことがよくわかる。
戦後の学校史は、教職員組合、家庭、学校の三者の対抗関係。これもややこしい。薄いボリュームでまとめてあるのと、参考文献リストがきちんとしているので、安心して読める。ざっとした理解にはこれで十分。
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橋爪大三郎、大澤真幸、宮台真司『おどろきの中国』講談社現代新書、2013
橋爪、大澤、宮台の社会学者3人による中国についての鼎談。
中国がどういう「原理」で動いているのかを説明する第1部と、毛沢東時代を考察する第2部は、非常に勉強になった。鼎談本なので、いちいち文献的証拠が出ているわけではないが、橋爪の説明はおおよそ正しいことを言っているように見える。これである程度の説明になっている。
日中関係史に触れている第3部と、今後の展望をしている第4部は、それに比べると、やや説得力に欠けた部分がある。それでも、ドイツの「責任論」を日本の議論と対比させている議論は説得力がある。台湾や北朝鮮について言及しているところは、半信半疑になるような部分もあるが。
全体として、理解しにくい中国を説明している好著。しかし、これを中国人や、中国研究者がどのように捉えるのかはまた別の話。『ふしぎなキリスト教』批判の例もあるので、そういう見方を別の人から聞きたい。
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鈴木晶(編著)『バレエとダンスの歴史』平凡社、2012
タイトルの通りで、これは大学の舞踊論の教科書として書かれた本。しかし、歴史としてはこれでよいが、舞踊そのものの映像がないと、これだけではわからない。
やはりビデオで見ながら読むもので、図版もあるが、これでは人の顔もわからない。むしろ、社会と舞踊のつながりに注目した本を読むべきだった。この本にも、バレエ成立初期のことは書いてあるのだが。
書いているのは、この分野の専門研究者で、巻末の参考文献は非常に充実している。日本語以外の各国語の文献が多く紹介されている。最初の章を読んでも、初心者向けの本ではなく、ある程度学んだ人のための本。
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