こんな精神科医ですいません

半年分の遅れていたご返事をいたしましたです。こんなに遅れてすいません

励ましてもいいの?

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これももともと「偽善者の主張」に入れていたけれど、あんまりに長いので独立させた。シェークスピアのハムレットの有名なセリフをヒントに、「うつ病は励ましてはいけない」という命題と、僕の普段している臨床とのギャップについて論じてみた・・・


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To be or not to be, that is the question.

僕は小説や文学が苦手だ。
僕が知りたいのは結論だけだから。
僕は抽象化された簡潔なテーゼさえあれば満足だから。

なのに小説や文学は、言いたいことをわざわざ長ったらしい文章にして、
いちいち出来事にして、細かい人物描写やら風景の説明やらにして具象化しようとする。
友人から何かの小説をすすめられると僕は、あらすじだけ聞いて、
ラストの数ページを読んで満足する。あるいは解説だけ読めばスッキリする。
僕が知りたいのは結論だけだからね。

そんなポリシーを突き崩されたのはユング心理学を独学していたときのこと。
ユングの本は「これでもか!」っていうくらい引用が多い。しかも小説や文学から!
その言葉が使われている場面や状況や文脈が理解できてないと何のことやらさっぱり分からない。

仕方なしに買ってみた本の一つがシェークスピアの「ハムレット」だった。
さっそく読む・・・が、数ページでスムーズに入眠。とほほ、情けなや・・・
3〜4回、チャレンジしてみたけど、そのたびに僕は睡魔に襲われるのであった。
恐るべし、シェークスピア!・・・で、どうしようもなくなったので、
妥協案としてレンタルビデオの映画をみることにしたのだった。

感想は?・・・猛烈に感動したことを記憶している。

暗殺された父親の亡霊が、ハムレットに復讐を命ずる。
ところが復讐を遂げるためには、強大なシステムを敵に回さなくてはいけない。
自分の命の保証はない・・・というか、運命として自分の命を捧げなくてはいけない。
かといって父親の亡霊の無念を無視して、長いものに巻かれる生き方を選ぶのは「生きる」に値しない。
深い苦悩に包まれたとき、ハムレットはつぶやく・・・

To be or not to be, that is the question.
(復讐を)為すべきか、為さざるべきか、それが問題だ。

復讐を為せば命を失うだろう。しかしそれこそが真に生きることかもしれない。
復讐を為さざれば命は長らえるだろう。しかしそんな「生けるしかばね」のような生は死に等しいだろう。
そこでこの英文は「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」と訳されることもある。



To 励ます or not to 励ます, that is the question.
励ますべきか、励まさざるべきか、それが問題だ。

実際に患者さんと接するとき、僕はしょっちゅう苦悩してしまう。

励ませば、患者さんは未来があることを確信し、元気になるかもしれない。
しかし自己を否定されたように感じ、自分を追いつめるようになってしまうかも知れない。

励まさず共感する態度に踏みとどまれば、患者さんは受容された安心感を得られるかもしれない。
しかし今の状態に踏みとどまったまま、自己の克服すべき課題を回避しつづけてしまうかもしれない。

#2で「うつ病か否か」という基準を、
#3で「頑張らせることが有効に働く状態か否か」という基準を、
さしあたり提出したものの、現実の僕は明確にこの基準を意識しているわけじゃなくて、
しょっちゅう苦悩することが多い。ときには僕はうつ病の患者さんを励ますことだってある・・・

「励ますべき」と考えて励ましていたら、患者さんを追いつめてしまったこともある。
「励ましちゃダメ」と思い励まさずにいるうちに、現実逃避のループに入れてしまったこともある。

何かもっと別にうまい明文化ができるのかもしれない。
もっと本質的で明確な基準があるのかもしれない。

でも一方で、そんな基準があったとして、それを金科玉条のように掲げていると、
いつか僕は、臨床実践の現場において、何か大きな間違いを犯してしまうような気がする。

そこで気付く・・・

大切なのは結論じゃない。抽象化された簡潔なテーゼじゃない。
それぞれの患者さんの、それぞれの状況下における、それぞれの立場によって、
その答えをいちいち模索していくしかないんだ。精一杯、苦悩していくしかないんだ!

                             ・・・ということに。

こんなことをツラツラと書いていると「じゃあ今度はちゃんとハムレットを読んでみたらどうだ?」
そんな風に誰かからツッコミがはいりそうな気がしてきた。

とほほ。有言不実行・・・たぶん僕は、未だにハムレットを10ページすらも読める自信がない。
読むべきか、読まざるべきか、それが問題だ。
さしあたり、苦悩しておきます・・・と言い訳してこのシリーズを終わりにしておこう。

#2の続きをちょびっと書いておくと、
精神科では対象となる苦しみを、精神病と神経症っていう二つに分類している。
精神病というのは統合失調症や(躁)うつ病などを指す。
どちらも脳の病気として、薬物療法をメインに考える。
じゃあ神経症は????

実は僕には神経症の定義がよく分からない。
おおざっぱに言えば「精神病ではない病気」となるのかなあ・・・って思う。
「神経症の定義も分からずに精神科医ができるの?」って疑問もでるかも知れないけど、
ともかく分からないものは分からない。分からなさすぎて、正式な診断基準からは、
とうとう神経症って名前自体が廃止されたぐらいだ。

で『うつ病は励ましてはいけない』というのが#2のテーマで、
#3では『神経症は励ますべきか励まさざるべきか』って話をしていこうかと思う。

その際ヒントになるのが、うつ病を励ましてはいけない理由を明確にすることだ。それは・・・

『もうこれ以上、頑張る必要がないのに、本人が、
自分で自分を頑張らせようとして、自分で自分を励まして、かえって自分を追いつめてしまっている。
その場合、その上に周囲からもさらに頑張らせようとすると、本人はますます追いつめられてしまう。』

とまとめられるだろうと思う。

で、上の文章・・・当てはまるのは何もうつ病だけではない。
上の文章は、僕らが日常生活を送るなかで、僕ら自身がよく陥る悪循環の思考回路だ。
あるいは周りの人たちだって、こういう思考回路は案外している人が多いものだ。
こういう思考回路が働いた場合には、励ますのはさらにこの思考回路を強固なものにしてしまうだけ。
何も生み出さない。だから、こういう場合でも励ましちゃいけないんだ。

ではなぜうつ病だけ特別扱いされているのかと言うと、
うつ病は病気の原因がセロトニン減少にあるのだから、本人は怠け者ではないのだから、
原理的に、かならず上の文章が当てはまるからだ。

ところが他の病気や苦しみの場合、上の文章が当てはまることも、当てはまらないこともある。
同じ神経症であっても、人によって、あるいは時期によって当てはまるかどうかが変わってくる。
だから、病気単位では、励ますべきか励まさざるべきかって話はなかなか展開しづらい。

というわけで意外とあっさり結論。神経症の場合、励ますべきか励まさざるべきかは、
ケースバイケースであり、上記の文章を基準に決めていくのが妥当であろう。。。ってところ。

僕のなかではここまでが実は前置きで、僕自身がもともとブログで書きたかったことは、
次の実践編へ続く。。。吼える・・・吼えるど〜〜!!・・・たぶん・・・

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「うつ病の方は励ましてはいけない」のは有名な話だ。
逆に言えば、「励ましてはいけない病気の代表がうつ病」ってことになる。
僕は#1前置き編で「趣味じゃないから説明・啓蒙っぽい話は書かない」って書いてたけど、
どうも#2基礎編ではどうしてもくどくどと説明する必要があるなって感じている。

なぜって、ここらへんの話は誤解されていることがとても多いからだ。
誰が読んでいるのか見当がつかないネットの世界、
うつ病への誤解があった方には誤解が解けるように・・・
誤解がなかった方には新たな誤解が作られないように・・・
最後に、逆に僕が無用な誤解を生み出す温床にならないために、
僕自身に誤解や誤解を招く文章の稚拙さがあった場合は、誰かが指摘してくれますように・・・
そう祈りながら書き進めてみることにした。

お腹が痛い・・・これを腹痛という。広い意味で言えば腹部症状という。
原因は何か?肺癌の末期でお腹の中にガン細胞がたくさん転移しているのかもしれない。
卵巣癌かもしれない。子宮筋腫かもしれない。胃潰瘍かもしれない。
盲腸かもしれない。生理痛かもしれない。妊娠かもしれない。
食あたりかもしれない。お腹にくる風邪なのかもしれない。
(僕の場合は大概、コレだけど)ビールの飲み過ぎでお腹を冷やしたのかもしれない。
そして最後に、学校でいじめられて、誰にも言えずに、一人で孤独に苦しんでいるのかも知れない。

同じ腹部症状でも、その原因は様々。だから対応の仕方も様々だ。
たとえば僕なんかの場合は、自分の生活を正すっていう対応が必要だ。
(たぶん無理だけどね〜♪)

落ち込んでて何もやる気がしなくて・・・その他諸々・・・これを抑うつ症状と言う。
原因は何か?確かにうつ病かもしれないよ。でも・・・

統合失調症で、数人の人たちから「おまえは最低だ。おまえは何をやっても失敗する。ゲラゲラ。
みんな、おまえのことを笑っているんだぞ。もう死んでしまえ。地獄に堕ちろ。」なんていう、
自分をいじめる、耳を押さえても素通りしてしまう声を、
1日24時間、ず〜っと聞かされているのかもしれない。

あるいは、マンションの10階、ベランダで洗濯物を干しているとき、柵のところで、
悪ふざけして遊んでいた子供から目を離したすきに、子供が足を踏み外して転落・即死、
以来、毎晩、血まみれの子供の姿が脳裏をよぎり、「私が子供を殺したも同然だ!!」
って自分を責めているのかもしれない。これはうつ病じゃなくてPTSDと呼ぶ。

(僕の場合は大概、コレだけど)過酷な労働条件で疲弊してしまったのかもしれない。
これなら適応障害と呼ぶ。他にも・・・
単純に失恋したのかもしれない。これは心因反応の一種だ。
更年期障害かもしれない。高血圧の薬の副作用かもしれない。。。。

同じ抑うつ症状でも、やっぱり、その原因は様々。だから対応の仕方も様々だ。
たとえば僕なんかの場合は、職場環境を正すっていう対応が必要だ。
(ぜったい無理だけどね〜♪)

大切なのは『うつ病は抑うつ症状を呈する原因の一つにしか過ぎない』ってこと。
落ち込んでいればみんなうつ病ってわけじゃない。
でも一般向けの本では、そこの区別をあいまいなまま、話をすすめているものも多い。
これは危険なことと思う。うつ病は他の抑うつ症状を呈する原因とは明確に区別すべきだ。
というのは・・・

うつ病は、実は体の病気であって、心の病気じゃないからなんだ。

ちょっとちょっと〜〜・・・うつ病って心の風邪じゃなかったっけ???

確かにそういう例えもあって僕も多用するけれど、
うつ病は体の病気って考えた方がたぶん適切だと思う。そのワケは・・・

現代の精神医学では、うつ病の原因は脳内ホルモンのバランスの崩れだろうと考えられている。
厳密な話をしても仕方がないから、おおざっぱに言えば、脳内ホルモン・セロトニン不足が原因だ。
どうもセロトニンは元気物質らしい。車でたとえるならガソリンだ。
セロトニンが減少する原因は分かっていない。
でもともかく、何らかの原因でセロトニン(ガソリン)が低下して、抑うつ症状が出現する病気が、
うつ病なんだ。つまり車で言えばガス欠だ。

更年期障害では女性ホルモンが低下する。いろんな身体的不調とともに抑うつ症状が出る。
更年期障害は体の病気に分類される。本人が悪いわけでも環境が悪いわけでもない。
治療は女性ホルモンを補充してやればよい。

うつ病では脳内ホルモン・セロトニンが低下する。抑うつ症状とともにいろんな身体的不調が出る。
うつ病も体の病気だ。本人が悪いわけでも環境が悪いわけでもない。
治療は(抗うつ薬で)セロトニンを補充してやればよい。

ところが、メインの症状が精神面に出るために、
心の病気として、失恋して落ち込んでいるのと同列に扱われてしまいがちだ。
そうなると「なんでこの程度のことでそこまで落ち込むんだ」と周囲からは冷たい目を受けてしまう。
さらには「怠け者なんじゃないか?励ましたり鍛えたりしなきゃいけないんじゃないか」と思われてしまう。

さらに悪いことには、体の病気には、それになりやすい性格ってのがあって、
うつ病になりやすい性格は真面目・仕事熱心・責任感が強いって傾向がある。
だから誰よりもまず本人が「なんでこれしきのことができないんだ?
どうなってるんだ?なんでこんなに怠け者になってしまったんだ?
努力が足りないぞ!怠慢だ!もっと厳しくしなきゃダメだ!」って自分を励まし・・・責め立てる。

これは車がガス欠になっているのに、
周囲も本人も運転手の怠慢によるものだと勘違いして、周囲は本人を励まし、しかりとばし、
本人は一生懸命ガツンガツンとアクセルを踏みまくっているような状態だ。

こんなバカげた話はない。これじゃ本人をますます追いつめてしまうだけだ。
残酷な話だ。自分のせいでもないのに自分のせいだと周囲も・・・そして本人も決めつけている。

大切なのはガソリンを補給すること。つまり抗うつ薬によってしっかりと治療することだ。
それでももともと真面目な運転手のことだから、すぐにアクセルを踏み込もうとする。
だから周囲は、運転手さんには、そっとアクセルから足を離すように働きかけなきゃいけない。
「ゆっくり休んでいいんだよ。あなたは何も悪くないんだよ。
何もできなくなっちゃったのはガソリンが足りなくなっちゃっただけなんだよ。
お薬がきっと直してくれるから。そうなるまでゴロゴロしていていいんだよ。」
そうやって安心させなきゃいけないんだ・・・

ゆえに、うつ病は励ましてはいけないのである。

ではうつ病以外の原因で抑うつ症状で苦しんでいる方なら励ますべきなのか?

これがとても難しい問題で、それは#3に継続することとする。

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 この前、sweetptimopuelさんから受けた質問・・・それは・・・
【心の病で励ましてはいけない病気ってありますか?】

 もっと前、僕が書いた記事・・・それは・・・
【「自称うつ病」は励ますべきだ】
URL: http://blogs.yahoo.co.jp/satokhj/9071491.html

 「よ〜し、書いちゃるぞ〜」って張り切ったんだけど、なぜか筆が止まる・・・いやいや、指が止まる・・・いやいや、指の動きが止まるのは「筆が止まる」の言い回しのときだって同じだ。今の場合、「筆」に対応するのは「キーボード」だ。だから正確には「キーボードが止まる」が正しい。けれども、もともとわずかしか動かないキーボードを「止まる」と表現してもダイナミズムに欠けていて「筆が止まる」に含まれる感情表現が欠落してしまう。キーボードにはキーボード特有のダイナミズムがある。それが止まったってことを表現しなきゃダメだ。さてさてそこで書き直し。

 「よ〜し、書いちゃるぞ〜」って張り切ったんだけど、なぜかキーボードが鳴りやむ・・・というのもこの質問に答えるのに適した書庫が無いからだ。というのも、候補に挙がりそうな僕の書庫で僕が書いていることと言えば・・・

偽善者の主張:精神科医としての僕の、一方的な思いこみの吐露と叫び。

精神医学、臨床心理学:僕が知っているいろんな学派や治療技術に関する(紹介じゃなくて)つぶやき。

精神科関連の病:僕がそれぞれの病気について思っていることや、それにまつわるエピソード。

若干の言葉の制限を要する言葉たち:ファン限定、ちょっと得するマル秘情報。

 こんな感じで僕のブログには、「精神科医として、一般視聴者に、何か一般的知識を公式に伝授する、披露する、啓蒙する」という類の書庫がないからなんだ。そこで新たな書庫として「ワトソンの精神科講座」書庫でも作ろうかなと悩んだ・・・けど、やっぱりこれは、僕の趣味じゃない。これをやりだすと、ブログが趣味ではなくて仕事の延長になっちゃいそうで、今はまだ気が引ける。

 モゴモゴ悩んだあげく、結局のところ、公式見解じゃなくて、僕の思いこみを吐露する形でお答えします。。。書庫名はもちろん「偽善者の主張」。うおおおお〜〜!!吐き出すぞ〜〜!!・・・むむむ・・・待てよ・・・吐き出すほどの内容なんてあったっけ・・・これからモゴモゴ考えてみよう・・・

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