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●ドストエフスキー「賭博者」新潮文庫  4/1  読書61
 
●ドストエフスキー「賭博者」新潮文庫(要約) 4/2 読書62
 
●ドストエフスキー「賭博者」新潮文庫(要約&コメント) 4/3 読書63
 
●ドストエフスキー「賭博者」新潮文庫(海辺のカフカと重ねたコメント) 4/4 読書64
 
 
 
 
 
 
 
「ロシア人はあまりに豊かに多面的に天賦の才を与えられているために、それにふさわしい形式を手っ取り早く見付け出すことができないからなんですよ。この場合、問題は形式なんです。われわれロシア人は、たいてい、あまり豊富な天賦の才を授かっているので、それにふさわしい形式を見つけるには天才が必要とされるんです。」
「わずかフランス人と、それにおそらく、ほかのいくつかのヨーロッパ民族の間では、形式が実にきちんと定まっているために、きわめて品位のある様子をしながら、実はこの上なくつまらない人間だっていうことがありうるんです。
だからこそ彼等の間では形式があれほど多くの意味を持つんですよ(52)
 
 
 
 

2 要約

1はじまり

 
この小説は手記形式である。1つは主人公アレクセイ・イワーノヴィチがルーレテンブルク(架空の町 P)での最愛の女性ポリーナを中心におこる事件。もう1つは家庭教師先の将軍が恋したマドモワゼル・ブランシュの誘惑だ。アレクセイの一時の大金に目をつけられ供にパリで豪遊する。そして、ふたたびホンブルグ(232)に帰り召使などをしてまで金を貯めた後命をかけるほどの意気込みで賭博に挑む。
奇跡の勝利(=170グルデン)を手にするはなしだ(248)
およそ舞台は3つに分かれている。1つずつみていこう。
 
 
 
 
メモ:
1ルーブル=1.5フローリン
1フローリン=1グルデン=2フラン=2ターレル
1フリードリヒ・ドル=10フローリン
金貨=10フリードリヒ・ドル
*亀山郁夫氏によると1ルーブル=千円
(133)
 
 

その1

とある将軍のところにて家庭教師に従事していたアレクセイ。3か国語を使いこなせる優秀な彼だったが性格破綻者の側面も色濃かった。この将軍家に来るべき遺産相続にむけフランス人やブランシュやポリーナ、イギリス人のミスター・アストリー()という人物らが集っていた。将軍開催の食事会()からはじまる。
紹介していこう。
何度か偶然顔をあわせたことのある内気なイギリス人()。アストリーという。このイギリス人はポリーナに片思いしている。(16 35)
つぎにアレクセイがもっとも毛嫌いする高飛車なフランス人。のちに食事のさいに喧嘩をふっかける(12)
そしてアレクセイの片思いの相手ポリーナという女性。将軍の親戚であり借金があるため相続金狙いにやってきている。隠れた目的のもう1つは侯爵のフランスデ・ブリューも狙っている(16)
そしてマドモワゼル・ブランシュ。博打好きで男にパラサイトしては一文なしにさせて町を追い出されるほど破天荒な素行だ。あまりにもうつくしい美貌をもつ女性。
そして主人公たるアレクセイだ。
彼等一行はアレクセイとイギリス人をのぞいて将軍の祖母の遺産狙いだ。遺産問題と大きくかかわるのが将軍もたびたび足をはこぶ賭博場。①紳士の勝負②欲得ずくの成り上がり者の勝負(23)と、対極のもの同士が混在していた。後者は人のもうけた分をくすねる大胆ささえもある。アレクセイもルーレットに親しむ側の人だから(いや、生命をかけているほどだ・・)精神的支配者たるポリーナも体裁もあって持ち金を彼に託して頼むほどだった。さてアレクセイとポリーナ2人の関係にやや入り込んでみたい。
アレクセイは激しく彼女を愛している。愛を語ることは許されているものの奴隷のように使い走りに使われている域を出なかった。彼女は決して己を離さず緊急のときしか語らない卑怯な性格もある。借りた金をアレクセイがすった後、将軍と食事の席で賭博熱をついつい語ってしまったアレクセイがあったのだが、そのときも他人ごとのようにそしらぬ顔のポリーナがあった。 
アレクセイのポリーナに対する愛情は激しく時に狂気にさえ映る。
「僕はいっさいの形式を失っています。」「今や僕の内部すべてが停止してしまったんだ。」「僕はもうずっと以前から、ロシアだろうと、ここだろうと、この世で何が起こっているのか、わからないんです。」「ずばり言いますけれど、どこにいても僕の目に映ずるのはあなたの姿だけで、それ以外のものはどうだっていいんです(53)
かつて、彼女が一言すれば奈落に飛び込んでみせると言い放ったことまであった。
それを思い起こす命令への懇願に対してポリーナは「あたしがなんのためにあんたをシランゲンベルグからとびこませなければいけないの?」「そんなの、あたしにとって、まったく無益なことだわ(65)
と手をふる。
「みごとだ!」「人間は天性、暴君だから迫害者になるのを好むもんです。あなたなんかひどくお好きじゃありませんか」という返事する始末だ。
ただ、「僕にわかっているのは、あなたの前に出ると、しゃべって、しゃべって、しゃべりつづけなければならないということだけです、だから喋るんですよ。あなたの前に出ると、僕はいっさいの自尊心を失くしちまうんだ、どうだってよくなるんですよ(56)
ここは重要だ。アレクセイは被支配者にとどまっているようで常に相手の頸ねっこをねらっている獣がある。歪曲した愛し方だ。
それはつまりこうだ。相手を神のように奉りながらもそんな相手が人間的臭みをひとたびみせるならば恐ろしく噛みついて見せる。
俺は彼女を憎んでいる・・・誓ってもいいが、もし彼女の胸に鋭いナイフがゆっくりと沈めることができたとしたら、わたしは快感をおぼえながらナイフをつかんだことだろう、という気がする。(19)
彼は自分自身に率直なためにごまかさず狂気をそのまま表に出してしまう。(まだ行動にしないだけ随分ましなのだが)。彼の願い、救いは些細だ。
「彼女がわたしのところに来て『だって、あなたを愛しているんですもの』と言ってくれることを望んでいるのであって、もしそうでなければ、そんなばかげたことなぞ考えられぬというのであれば、その時は・・・そう、いったい何を望めばいいのだろう?自分が何を望んでいる、わたしにわかるとでもいうのか?わたし自身、途方にくれているにひとしいのだ。わたしはただ彼女そばに、彼女の後光とかがやきに包まれていたいだけだ、永久に、いつも、一生の間。その先のことは何一つわからない!」(141)
 
さて奴隷と瓜二つ、言いなりにあえて服することで至福を堪能するアレクセイ。ポリーナがついつい挑発に乗って彼に命じてしまった「小学生じみたいたずら」とは、とある男爵夫妻にむけて暴言を吐いたことだった。(のちに影で大笑いしていた悪魔的な側面を露わにするポリーナなんだが)
その暴言といったら時代のマナーからすればとてもじゃないほど逸脱していた。
アレクセイ「わたしはあなたの奴隷たる光栄を有するものです」(63) 
それがきっかけでアレクセイの雇い主である将軍から家庭教師解任要求と発展したのだがからたまったものではない。その背後に男爵がブランシュと事件をおこし二人を接近させぬためには早急にこのトラブルを治めたかった事情があった。同時に将軍のフランス人侯爵デ・グリューが資産そっくり抵当権者になっていたという財布事情がイギリス人のアストリーを通じて明らかになった。将軍の部屋をでるとすぐさまデ・グリューがポリーナの手紙持参で訪れる用意周到もあって全体の人間関係がアレクセイの中でついに浮かび上がった。
今一度関係図をくりかえす。
①将軍――デ・グリューに多くの債務をもつ。祖母の相続が頼みの綱
②ポリーナ――借金がある。将軍の義理の娘。祖母の相続をあてにしている&デ・グリューとの結婚を強く願っている。
③デ・グリュー――将軍への債権回収が目的。ポリーナには興味はなし。
④アストリー―――ポリーナに片思いをしている。デグリューより資産はある模様。ブランシュやデ・グリューの内情を人伝えに知っている。
⑤マドモワゼル・ブランシュ―――賭博好き。男を魅了す美しさの持ち主。将軍との結婚を狙っている。人から気に入られるのが巧み。
*アストリー除いた全員の願望・・・祖母が死に相続が開始されること。(97)
 
さて第一の舞台のpeakとなるのは遺産の保持者である祖母が車いすで来訪したことだ(99)。場のじかんをとめるほど一同を驚かせた。彼女はさらに毛嫌いする将軍がのめり込むルーレットを見物したいなどと言い出す(109)。これがきっかけでまるで「彼女は子供に返っちまいましたね(119)」とデ・グリューが囁くほどに、そうミイラとりがミイラになる。
最初の頃はルーレットのゼロばかりかけるなど奇異な賭け方が目立ったのだがビギナーズラックを呼び込んだ。最終的に8千フローリン(533万3千円)も稼いだ。(132)
将軍「以外」のものたちへ乞食もふくめてチップをわたし有頂天だった祖母だが将軍の危惧したとおり(139)翌日には1万2千グルデンの負け(800万マイナス)最終的に1万5千ルーブル(1500万)負けた(159)。付き人だったアレクセイも関わっていては損だと祖母のもとをはなれてしまう。翌日もまた一同の説得虚しく(174)祖母はまたルーレットに出掛けた。結末は、ふたたびモスクワに帰るまで10万ルーブル(*亀山「罪と罰」末巻解説:1ルーブル=千円 10万ルーブル=1億となる)近く負けてしまった(184)。いくらかの資産が自宅には残っているとはいえ疲れた様子で最後ポリーナに将軍などの処にいず、うちにこい、待っていると言い残しモスクワに帰った。(185)
 
アレクセイはこの祖母の御付きとしてまじかに破綻する道程をみていたのだが彼のほうこそ性格破綻者であるのは今更いうまでもない。
ポリーナが彼の泊まるホテルに訪れた。彼自身はポリーナが(祖母賭博事件後に)退散したフランス人のデ・ブリューの残した手紙(188)から結婚の筋がもはやなくなったと聞かされ残された彼女の借金5万フランに旨を痛めるアレクセイ。熱にうかされる体質のアレクセイはなんと1時間で彼女のためお金10万フローリン(6666万)をルーレットで用意してみせた(198)
彼のほうこそ賭博熱の芽は塵芥の中顔をだすチャンスを待ちわびていたのだった。さてそんな愛情を一心に注ぐアレクセイのプレゼントをポリーナは快く受け取ることはできなかった。彼女は常にリスクをおわない・支配者でなければならないのだから彼の思わぬ行動は嫌悪にしか映らない。
「あたし、あなたのお金なんて貰わないわ」「あたし、ただでお金は貰わないの」(201)
「あたし、あなたが憎い!そう・・そうよ!・・・あたし、あなたをデ・グリュー以上になんか愛してないわ」(202)
「あたしを買いなさいよ!どう?ほしい?デ・グリューみたいに、5万フランで?」(202)
 
さて奴隷にとどまるのを旨とするアレクセイはただポリーナの狂気をみるだけだ。「わたしはこうした一時的な精神錯乱は理解できないけれども、もちろん、この時の彼女が正気でなかったことは知っている。たしかに、彼女はひと月たった今でもまだ、病気だ。」(206)
ポリーナはやがて彼においかぶさり甘く口づけする。

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