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1 夜道を一人歩く男 一人の労働者となっていた。 雨の中、叫びながら駆けぬける。そんな日常の幼い頃と今とでは、本質は何ら変わっていない。 日々戦いをしている。会う人間、会う人間、それぞれへ無益な口論をふっかける。皆さん、一期一会だ。 ともかくこうして私は立ち止まった思索より痛みを欲した。平和より戦争を求めた。 赦しより罪を。 病人よりも兵士を選んだ。 もはや誰ととも会話しない 。言いっぱなしでしまいに唾を吐く。他人の娯楽精神に寸分も付き合うつもりはない。優しさより殺人を志向した。 するとだんだんと疲れた。酷い疲れの果てで運命が、運命との会話のみをいよいよ求めていると感ぜられた。それは誰? が黒い太陽から背をむけ、私は引き続き剣や筆をとった。なお運命は、息をひそめて私の背後で待った。そんなこと分かっていた。 私は窒息してまで己の星と対峙する心構はなく、以前、お外を無目的に走った。怒りをたたえた唸り声を漏らし、、。 2 病人のふりなんてまっぴらごめん 人にあわせれば薄気味わるく、我がこころ開示すれば人々各々の家に帰る。 君たちなど知らない。さようなら。 遠い地で孤立した私。喰うために孤立のまま、彼らと共同経済活動をしている。なるほど、滑稽だ。 呼吸するに息苦しい灰色の街が労働の帰り路、目の前に広がっていた。熱を帯びない街路樹の腹に手をそっとあて、一休みに乾いた風景をみた。誰も他人のことなどお構い無しにルールを守って歩いている。 温かい家庭を求め、守るため。 なんともひ弱な蟻どもだ。 底冷えの酷いある朝、気が付くとだんだんと私の口角は荒れ、いぜん治癒しない出来物として顔を占領していた。規則よく三食かきこんでも、治らない。食事とは死刑執行までの肉体づくりにすぎなかった。 寝巻きのまま出勤。通勤しながら髭を剃る。仕事おわり、寒空の駐車場に座りこんでは弁当を摂った。ごみは縛ってコンビニに捨てた。 気ままにというより心はこじきだ。 3 夢 さて、動悸、頭痛と寝不足が限界に達した頃。煤まみれのまま寝床で倒れている私を襲ったのは或る夢であった。 1つは幼い頃に愛した女に大人の私がなんの準備なく告白するものだ。夕陽に照らされた出港まえの旅客船が見える。汽笛の鳴る前、私の無計画な告白と抱擁に彼女は猫のように微笑んでくれた。互いは幼子のようだった。 もう1つは父親が池の畔で不意に大きな魚影に襲われる。田園があかく空襲のように危機に迫られたとき。遠い森の片隅で、ナマズのような何ものかにさらりと呑み込まれた。一瞬だった。 私は母親の前で毅然と父親のように振る舞うも、絶対的な虚空と悲しみを前に、遂に大泣きをしてしまった。息ができない。そこは未体験の真空であった。 目覚めると、数週間の労働の疲れは涙とともに洗い流されていた。 こんなふうに定期的に夢に癒され、朝、出かける。名前も知らない外界の人間たちを敵に法律的正義をたてに戦うため。 4 どろどろのときは流れ続ける 通勤途中の小店で食べ物を買った。小銭入れに小石が1つ入っていた。三鷹の墓に敷かれていた石だ。丁寧に石を避けて500円を取り出し店員に差し出した。 エラボレイト11
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