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中原中也

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質疑応答  中也 5

某への質問。それから回答。


1、中也は幸せだつたか

詩人として生きれたことは幸福


1、中也の不幸は?

ない


1、中也はあなたに何を伝えたか

表現すること。

(11月メモより)

小林秀雄は、詩人に、本当の文人になりきれぬ己の神経に疲労し、かつ、神経を、ただひたすら支える徒労から一時逃れるための「溜まり」にむかう途中「中原中也」へ言葉を投げかけた。中也といふ亡霊へ。

サーカス 中原中也 3

1 コメント

むしろ、面白くなさをかんじたところは韻を踏むことへの力んだポーズがわたくしを冷めたままにしたのでしょうよ。



2   サーカス





幾時代かがありまして
  茶色い戦争ありました

幾時代かがありまして
  冬は疾風吹きました

幾時代かがありまして
  今夜此処(ここ)での一(ひ)と殷盛(さか)り
    今夜此処での一と殷盛り

サーカス小屋は高い梁(はり)
  そこに一つのブランコだ
見えるともないブランコだ

頭倒(さか)さに手を垂れて
  汚れ木綿の屋蓋(やね)のもと
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

それの近くの白い灯が
  安値(やす)いリボンと息を吐き

観客様はみな鰯
  咽喉(のんど)が鳴ります牡蠣殻(かきがら)と
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん


     屋外(やぐわい)は真ッ闇(くら) 闇(くら)の闇(くら)
     夜は劫々(こふこふ)と更けまする
     落下傘奴(らくかがさめ)のノスタルヂアと
     ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
1 コメント

「老男」の感覚器官は仄かに明りを燈します。
そこがちょうど世の悲しみの恥部でもある月に値するのだから、共鳴しているふうにぽっかり明るみを浮かばせるのです。悲しい時は周囲の風景とは無関係に泣き続けます。そういうのが間接的な太陽の光なんです。





2 中也の詩





今宵月はいよよ愁(かな)しく、
養父の疑惑に瞳を(みは)る。
秒刻(とき)は銀波を砂漠に流し
老男(らうなん)の耳朶(じだ)は螢光をともす。

あゝ忘られた運河の岸堤
胸に残つた戦車の地音
銹(さ)びつく鑵の煙草とりいで
月は懶(ものう)く喫つてゐる。

それのめぐりを七人の天女は
趾頭舞踊しつづけてゐるが、
汚辱に浸る月の心に

なんの慰愛もあたへはしない。
遠(をち)にちらばる星と星よ!
おまへの※手(そうしゆ)を月は待つてる
ちょうど春の日の夕暮れに、死の滑車をすべっていた蛇のようなバイパスの脇から、すーっと自転車を走らせていた頃を思い出す。
中也の詩は細胞破壊を想起させます。
ちょっと酔いの中でも、たちの悪い類に思えます。もっと読んでみたい。
みずから静動脈のうちへ入らんとするしこなしに、わたくしネガティブな感慨を受けます。閉鎖空間。
うむ。



春の日の夕暮



トタンがセンベイ食べて
春の日の夕暮は穏かです
アンダースローされた灰が蒼ざめて
春の日の夕暮は静かです

ああ吁! かかし案山子はないか――あるまい
馬いなな嘶くか――嘶きもしまい
ただただ月の光のヌメランとするまゝに
従順なのは 春の日の夕暮か

ポトホトと野の中にがらん伽藍は紅く
荷馬車の車輪 油を失ひ
私が歴史的現在に物を云へば
嘲る嘲る 空と山とが

瓦が一枚 はぐれました
これから春の日の夕暮は
無言ながら 前進します
みづか自らの 静脈管の中へです

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