大倉里司

一介の素人から観た首都圏にて開催される美術展情報や観に行った展覧会の感想等を綴っております。時折罵詈雑言モードになります。
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『亀甲形 松飾付』

皆様、お今晩は。宮内庁三の丸尚蔵館にて9月10日迄開催中の「皇室とボンボニエール−その歴史をたどる」展に行って参りました。その感想です。

明治という新しい時代を迎えて,我が国は近代国家として大きな変革を遂げ,皇室でも諸外国の制度や文化に学び,新たな形で儀式や行事が行われるようになりました。その中で明治20年代から,饗宴の折の引出物のひとつとして,ボンボニエールと呼ばれる小さな菓子器が採り入れられました。慶びの場にふさわしいデザインによる,手のひらに載るほどの大きさの愛らしい菓子器は,今日まで皇室の御慶事を記念する品として引き継がれています。
当館では平成8年に旧秩父宮家から御遺贈を受けた品々の中に,まとまった数のボンボニエールがあったことを機に,平成12年の春,展覧会「慶びの小箱−ボンボニエールの意匠美」を開催し,注目を集めました。その後,平成17年に御遺贈を受けた旧高松宮家の品々にも多くのボンボニエールが含まれており,これらの調査を重ねたことで,近代の皇室におけるボンボニエールの有様が明らかになりつつあります。
今回の展覧会では,これまでの成果をもとに,御即位や御結婚などの皇室御慶事のほか,外国賓客の接遇など様々な機会に用いられてきたボンボニエールを,その由緒に注目して歴史的にたどります。そして,それぞれの形や文様の意味,製造者や材質などからとらえることができる各時代の特徴についても紹介します。
デザインに工夫を凝らして銀や漆,陶磁などの材質を生かしたボンボニエールの数々にその歴史の深さを感じると同時に,その製作を支えた工芸技術の土壌の豊かさにも心を寄せていただければ幸いです。

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『丸形鳳凰文』

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『菊花形双鶴付』

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『犬張子型』

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『大太鼓型』


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『入目籠形』


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『木瓜形鴛鴦文』


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『皷形若松星文』

ボンボニエールと言うものの存在を初めて知ったのは随分と昔に秩父宮 勢津子妃殿下の『銀のボンボニエール』(主婦の友社)を読んでからでして、金平糖入れだと言うことを知ったのも後程の事。
今回纏めてみる貴重な機会なので猛暑の中イソイソと出かけたのですが、実際に行ってみて正解でした。ボンボニエールは実は時代を映す鏡でもありまして日中戦争真っ最中には『鉄帽型』(昭和7年)や『戦車型』(昭和8年)等があり朝香宮殿下が少尉に為られた際に祝賀として作られたものだと知って納得。昭和10年には『水雷型』も作られていて時代と言うものを感じます。


今回は作品が小さいので数も多くて何と165個も出展されていて作品数から言えば、この宮内庁三の丸尚蔵館でも屈指では無いのかと思った次第であります。

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東京藝大を代表する名画の一つ 狩野芳崖作『悲母観音』(東京藝術大学大学美術館蔵)


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やはりこちらも入れておかないと 高橋由一作『鮭』(東京藝術大学大学美術館蔵)



皆様、お今晩は。東京藝術大学大学美術館にて9月10日迄開催中の「東京藝術大学創立130周年記念特別展藝「大」コレクション パンドラの箱が開いた!」に行って参りました。その感想です。



東京藝術大学は今年、創立130 周年を迎えます。これを記念し、大規模なコレクション展を開催します。
  東京美術学校開設以来、積み重ねられてきた本学のコレクションは、国宝・重要文化財を含む日本美術の名品ばかりではなく、美術教育のための参考品として集められた、現在では希少性の高い品々や、歴代の教員および学生たちが遺した美術学校ならではの作品が多くあることが特徴となっています。
  本展では、多様なテーマを設けて、すでに知られた名品だけでなく、これまで日の目を見ることの少なかった卒業制作などの作品、模写、石膏像や写真・資料類にもスポットをあてることによって、藝大コレクションの豊富さ、多様さ、奥深さをご紹介します。また、近年の研究成果を展示に反映させ、コレクションに新たな命が吹き込まれていくさまもご覧いただきます。
 いったい何が飛び出すか、予測不可能な藝「大」コレクション展。どうぞご期待ください。
日本で一番のコレクション量を誇るのが、東京国立博物館の11万件なのですが、その次にくるのが何と東京藝術大学大学美術館でして4万6千件あるとされています。ここの強みは「卒業制作」によって毎年必ずコレクションが増えていることであり、既に大家や巨匠となった方々のお宝がザクザクとあるので目が離せないのであります。

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国宝『絵因果経』(東京藝術大学大学美術館蔵)

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横山大観作『村童観猿翁』(東京藝術大学大学美術館蔵)

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原田直次郎作『靴屋の親爺』(東京藝術大学大学美術館蔵)

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松田権六作『草花鳥獣文小手箱』(東京藝術大学大学美術館蔵)

今回も国宝の『絵因果経』から狩野芳崖の絶筆にして最高傑作である『悲母観音』、藝大コレクションと言えばコレの高橋由一先生の『鮭』や『花魁』、高橋由一門下でもあった原田直次郎先生の『靴屋の親爺』から日本画では横山大観、下村観山、菱田春草と言う伝説の大御所から現在活躍中の福田美蘭先生や、山口晃画伯から村上隆の貴重な自画像までドドーンとあるのです。
今回の展示品の大きな違いは名作展になると顔を出す「完成品」だけでなくその「試作品」もが出てきたことでして狩野芳崖の『悲母観音』の下絵が二バージョン出てきたのには仰け反りましたし、高村光太郎先生の『獅子吼』もブロンズの完成作は何度も観ているのですが、今回初めて石膏の原型を拝むことが出来ました。

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小倉遊亀作『径』(東京藝術大学大学美術館蔵)

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高村光太郎作『獅子吼』(東京藝術大学大学美術館蔵)

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山口晃作『自画像』(東京藝術大学大学美術館蔵)


今回の展示では地下展示室が所謂「名品展」で、三階の展示室が卒業制作を含めた作品群と修復された作品とか藤田嗣治関連資料等の展示となっていて今迄の「名品展」とは一味違う演出になっているのに感心したのでありました。今回自分が行ったのは8月6日までの「第一期」であり8月11日からはじまる「第二期」も足を運びたいと考えております。

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ミケランジェロ・ブロナローティ作『十字架を持つキリスト』(サンヴィンチェンツオ修道院付属聖堂蔵)

皆様、お今日は。三菱一号館美術館にて9月24日迄開催中の「レオナルド×ミケランジェロ展」のブロガー向け内覧会に当たりましたのでイソイソと行って参りました。その感想です。

15世紀イタリアで画家として才能を発揮し、建築、科学、解剖学の分野にまで関心を広げ「万能人」と呼ばれたレオナルド・ダ・ヴィンチ。10代から頭角を現し「神のごとき」と称された世紀の天才彫刻家ミケランジェロ・ブオナローティ。本展は、芸術家の力量を示す上で最も重要とされ、全ての創造の源である素描(ディゼーニョ)に秀でた2人を対比する日本初の展覧会です。素描のほかに油彩画、手稿、書簡など、トリノ王立図書館やカーサ・ブオナローティ所蔵品を中心におよそ65点が一堂に会します。「最も美しい」素描とされる、レオナルド作『少女の頭部/〈岩窟の聖母〉の天使のための習作』と、ミケランジェロ作『〈レダと白鳥〉の頭部のための習作』を間近で見比べる貴重な機会となります。

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レオナルド・ダ・ヴィンチ作『少女の頭部/〈岩窟の聖母〉の天使のための習作』(トリノ王立図書館蔵)

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ミケランジェロ・ブオナローティ作『〈レダと白鳥》〉の頭部のための習作』(カーサ・ブロナローティ蔵)

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レオナルド・ダ・ヴィンチに基づく『レダと白鳥』(ウフィツィ美術館蔵)

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フランチェスコ・ブリーナ(帰属) 『レダと白鳥(失われたミケランジェロ作品に基づく)』(カーサ・ブロナローティ蔵)

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レオナルド・ダ・ヴィンチ作『月経樹の冠を被った男性の横側』(トリノ王立図書館蔵)

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ミケランジェロ・ブロナローティ作『河神』(カーサ・ブロナローティ蔵)

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レオナルド・ダ・ヴィンチ作『髭のある男性の頭部(チェザーレ・ボルジア?)(トリノ王立図書館蔵)

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ミケランジェロ・ブロナローティ作『男性のトルソ』(カーサブロナローティ蔵)

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レオナルド・ダヴィンチ作『馬の前足の習作』(ミラノ王立図書館蔵)


抽選に当たって写真撮影可能なのは良いのですが、イザ出来上がった写真を見るとボケボケでこれはやはり一眼レフカメラを持参しなくてはダメなのかしらんと我が才能の無さに愕然とするのですがそれでも何枚かはマトモに撮れているのがあるのでアップしますが、今回は素描対決と言うことでそれぞれの作品を見較べてみたのですが写真映えするのはレオナルド・ダ・ヴィンチの方でしてミケランジェロも何枚か撮ったのですが上がりの良いのが一枚も無くてやはり彫刻家の人なのねと思ったのでした。

丁度この日より、サンヴィンチェンツオ修道院付属聖堂からミケランジェロの未完の大作『十字架を持つキリスト』が御披露目されることになり人が写り込んでしまったのでその箇所を修正してアップします。

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「書だ!石川九楊展」

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石川九楊作『二〇〇一年九月十一日晴 水平線と垂直線の物語(Ⅰ)上』

皆様、おはようございます。7月30日迄上野の森美術館にて開催中の「書だ!石川九楊展」に行って参りました。その感想です。

傑出した書家にして評論家・石川九楊は、戦後前衛書の水準を遙かに超え、「言葉と書」の表現との関係を生き生きと回復させて、音楽のような絵画のような不思議で魅惑的な世界をつくりつづけています。
当展覧会は、制作作品1,000点到達を記念し、石川九楊の青年期の実験的作品から歎異抄、源氏物語書巻五十五帖等の日本古典文学、さらにはドストエフスキー、9・11、3・11をめぐる作品にいたる作品から最新の書にいたるまで、その前人未踏の表現世界を一挙公開いたします。

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石川九楊作『源氏物語書巻五十五帖「椎本」』


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石川九楊作『歎異抄 No.18』


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石川九楊作『盃千字文』

書の展覧会は宮内庁三の丸尚蔵館にて開催されていた驚愕の大展覧会「書の美、文字の巧」以来の事ですが、ここまで自由闊達にやっても良いんだ!?と驚いたのが正直な感想でして、書いた文字が読める作品もあるんですが一体これは?と思ってしまう作品も多いのは事実でして、古典から現代の時事問題の諸相迄現わそうと思った気概は買いますが、実際に買って家に飾れるかどうかは別問題の気がしております。
芸術新潮で連載をお持ちだった頃からお名前は存じ上げていましたが、まさかこの様な書体の人だとは知らずに見てしまい迂闊でありました。只、小皿に四文字熟語を書き連ねた『盃千字文』は流石であると感心したのでありました。

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今回の展示で一番インパクトがあった本作 FXハルソノ作『遺骨の墓地のモニュメント』

皆様、お今晩は。国立新美術館と森美術館にて二館同時に開催中の「サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで」展の国立新美術館展の方を鑑賞して参りました。その感想です。

人口約6億人。経済発展目覚ましい東南アジア地域の現代アートには、世界から大きな注目が集まっています。国立新美術館、森美術館、国際交流基金アジアセンターは、ASEAN(東南アジア諸国連合*)設立50周年にあたる2017年、国内過去最大規模の東南アジア現代美術展、「サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで」を開催致します。
「サンシャワー(天気雨)」は、晴れていながら雨が降る不思議な気象ですが、熱帯気候の東南アジア地域では頻繁にみられます。また、植民地主義以降の20世紀後半、冷戦下の戦争や内戦、独裁政権を経て近代化や民主化を迎え、近年では経済発展や投資、都市開発が進むなど、さまざまな政治的、社会的、経済的変化を遂げてきたこの地域の紆余曲折とその解釈の両義性に対する、詩的なメタファーでもあります。
多民族、多言語、多宗教の東南アジア地域では、じつにダイナミックで多様な文化が育まれてきました。本展では、自由の希求、アイデンティティ、成長とその影、コミュニティ、信仰と伝統、歴史の再訪など、東南アジアにおける1980年代以降の現代アートの発展を複数の視点から掘り下げ、国際的な現代アートの動向にも照らしながら、そのダイナミズムと多様性を紹介します。

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イー・イラン作『うつろう世界「偉人」シリーズより』(作家蔵)

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シュシ・スライマン作『国』(東京国立近代美術館蔵)

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シュシ・スライマン作『スライマンは家を買った』(シンガポール美術館蔵)

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スーザン・ヴィクター作j『ヴェール・異端者のように見える』


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パンクロップ・スゥラップ作『どうやら3つの国の統治は簡単にはいかなそうだ』(森美術館蔵)

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ヘリ・ドノ作『政治指導者への死ショックセラピー』(作家蔵)

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マーイー・チャンダウォン作『戦禍』(作家蔵)


アップするのが大幅に遅れてしまったのですが、この日は現代美術の展覧会を三つハシゴしたのですが、これがダントツで面白かったのであります。
それなのに何で一週間近くも遅れてしまったかと申せば、「レオナルド×ミケランジェロ」のブロガー内覧会に抽選で当たってしまったり、今都内でやっている一押しの展覧会「アルチンボルド展」をご一緒に再鑑賞したりと「貧乏暇なし」を地で行く生活をしていたからなのであります。

で……この展覧会、嬉しいことに「基本的に写真撮影可能」なので気になった作品をパチパチと撮って参りました。一番インパクトがあったのはインドネシアのFXハルソノ作『遺骨の墓地のモニュメント』とスーザン・ヴィクター作『ヴェール・異端者のように見える』がオオッと思った作品でありまして何よりも観ていて綺麗なのであります。
今回の作品群を観ていて気を吐いていたのは、戦禍等諸般の事情により経済的・政治熟成的にも発展途中の東南アジアであるからこそ「表現したいこと」への熱意がハンパでは無く強くて70年代のアングラ美術全盛だった頃の日本のパワーと相通じるものがあるように感じました。作品から発せられる「権力に対しての毒の華」が堪らないんですわ。
今回観たのは国立新美術館の方の作品でしたが、もう一会場の森美術館ではどのような作品に巡り逢えるのかが楽しみでなりません。

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