大倉里司

一介の素人から観た首都圏にて開催される美術展情報や観に行った展覧会の感想等を綴っております。時折罵詈雑言モードになります。

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今回の最大の目玉 10年ぶりの里帰り 鈴木其一作『朝顔図屏風』(メトロポリタン美術館蔵)


皆様、お今晩は。サントリー美術館にて10月30日迄開催中の驚愕の大展覧会「鈴木其一 江戸琳派の旗手」展に行って参りました。その感想です。

鈴木其一(1796〜1858)は江戸時代後期に、江戸琳派の優美な画風を基盤にしながら、斬新で独創的な作品を描いた画家として近年大きな注目を集めています。その其一の画業の全容を捉え、豊穣な魅力を伝える初の大回顧展を開催します。
江戸時代初期の京都で俵屋宗達(17世紀前期に活躍)が創始した琳派は、尾形光琳(1658〜1716)により、さまざまな流派が活躍した江戸時代絵画の中で最も華麗な装飾様式として確立されました。光琳が活躍した時期の約100年後に、江戸の地で琳派の再興を図ったのが酒井抱一(1761〜1828)です。抱一は京都の琳派様式からさらに写実的で洗練された画風を描くようになり、その新様式はのちに、京都に対して「江戸琳派」と呼ばれています。
そのような江戸琳派の祖・抱一の一番弟子が其一です。其一は寛政8年(1796)、江戸中橋に誕生しました。文化10年(1813)、数え年18歳で抱一に入門。4年後に兄弟子で姫路藩酒井家家臣の鈴木蠣潭(すずきれいたん・1792〜1817)の急死を受け、養子に入り鈴木家の家督を継ぎました。
文政11年(1828)、其一33歳の時に抱一が没して以降は、一門の中でも圧倒的な存在感を示し、その作風は次第に師風を超え、幕末期にかけて大きく変容を遂げます。とくに30代半ばから40代半ばにかけてはダイナミックな構成や明快な色彩を多用し、新たな其一様式が築かれました。さらに晩年にはより挑戦的で自由な作風を開き、近代を予告するような清新な作品も少なくありません。
このように、抱一の実質的な後継者としての自負、光琳に連なる琳派画家としての誇り、さらに酒井家家臣という立場が上質で機智に富む画風を育み、多くの其一画が大名家や豪商の厚い支持を得ました。
本展では抱一画風を習得する門弟時代、躍動感溢れる作風を次々と手掛けた壮年期、息子・守一に家督を譲った晩年と、其一の生涯と画風の変遷を丁寧に追います。また其一は多くの弟子を育成して江戸琳派の存続に大きく貢献しており、近代まで続くその系譜も辿ります。まさに「江戸琳派の旗手」として目覚ましい活躍をみせた其一。広く知られた其一の名品や新出作品など、国内外からかつてない規模で作品が一堂に揃うこの展覧会は、江戸の画壇を豊かに彩った其一画の魅力とその展開を、存分に堪能していただける貴重な機会となります。

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鈴木其一作『群鶴図屏風』(左隻)(ファインバーグ・コレクション蔵)

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鈴木其一作『群鶴図屏風』(右隻)(ファインバーグ・コレクション蔵)

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鈴木其一作『水辺家鴨図屏風』(細見美術館蔵)

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鈴木其一作『三十六歌仙図屏風』(個人蔵)

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鈴木其一作『花菖蒲に蛾図』(メトロポリタン美術館蔵・メアリー・バーグコレクション)

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鈴木其一作『藤花図』(細見美術館蔵)

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ちょっと変わった脱力系琳派 鈴木其一作『浅草節分図』(メトロポリタン美術館蔵・メアリー・バーグコレクション)


看板に偽り無しの大回顧展でして、鈴木其一単体の展覧会としては本展示が最初にして最後になるんでは無いかと危惧してしまう程に充実した内容であります。
其一の最大の持ち味は「琳派のカラリスト」だと思っておりましてその色彩感覚の冴えは師である抱一よりも数段上だと思っております。「洗練された」とか「上品な」と言うのが師である抱一を表すキーワードだとしたら其一は「鮮烈な」が一番相応しい。
ハッと目が覚めるような色彩の広がりがあるんですね。今回は京都の名門細見美術館の全面協力を得て全国にある主な作品は殆ど揃っていましたが、ビックリしたのは、あのシブチンのメトロポリタン美術館から今回の目玉である『朝顔図屏風』を含めて5点、そして1970年から40年間で収集しつくした「奇跡の江戸絵画コレクション」であるファインバーグ・コレクション6点が里帰りしていると言う点でも目が離せないのでありますが、今迄其一の作品を見たつもりになっていても「何じゃこりゃ?」と唸るに違いない『日出五猿図』(野崎家塩業記念館蔵)や仏画と言うには余りにもケバイ『虚空菩薩像』(ファインバーグ・コレクション蔵)、ネガとボジの反転のような傑作『暁桜・夜桜図』(黒川古文化研究所蔵)等がありましたが、もう一つ驚いたのが『文政三年諸家寄合描図』と言う作品でして作者が酒井抱一、鈴木其一、谷文晁に渡辺崋山と言うオールスターの競演と言うべき一枚があのメトロポリタン美術館から貸し出されていることでして、本作品と東京展のみ出品の『朝顔図屏風』を観るだけでも十分に行く価値がある五つ星の展覧会として強く推薦致します。尚、10月3日迄の前期と10月5日以降の後期では作品がガラリと変わりますのでお見逃しなく。


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こんばんは。本日、行ってまいりました。本当に本当に驚愕の大回顧展でした!!(大興奮)大変な期待を抱いて伺いましたが、それを遥かに上回るものでした。まさに、『何じゃこりゃ』が次から次へと展開され感動の連続でした。それにしても抱一や其一の活躍した江戸時代は、どれほど豊かさに満ち溢れていたのだろう⁈できることならタイムスリップして一度その美の饗宴を覗いて観てみたい、と思いを馳せながら図録を購入し美術館を後にしました。10月5日以降の後期の作品も今からとても楽しみです。

2016/9/19(月) 午後 10:45 [ hai*a*ak*eta ] 返信する

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hai*a*ak*etaさま、お今日は。図録もあれだけの内容で2800円ならば安いと思いました。後期の作品を見た時点で買おうと思っております。大満足して頂けたようでこちらとしても嬉しいです。(^o^)

2016/9/20(火) 午後 2:00 [ 大倉里司 ] 返信する

こんにちは。はい、ブログの貴重な情報、大変感謝しております!!図録は本当にこの内容にして、このお値段はありえません(広重ビビッドの図録にしてもサントリー美術館すご過ぎです!)私も後期に購入しようと思いましたが、待てずに買ってしまいました(笑)会場は祝日ということもあり、かなり混雑していたので、後期は心して伺います!

2016/9/21(水) 午後 0:10 [ hai*a*ak*eta ] 返信する

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hai*a*ak*etaさま、お今晩は。やはり「広重ビビット」の図録インパクトありましたからねぇ。思わず春画展と比較してしまいました(;´・ω・)

2016/9/22(木) 午後 7:03 [ 大倉里司 ] 返信する

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