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* 本エントリーにトラックバックいただいた「環境問題補完計画」の綾波シンジさんのご指摘によって、本文を一部訂正し、末尾に注釈をつけています。本稿の主張内容に変更はありません。詳細はコメント欄でのやりとりを参照下さい(09.1.26)
地球温暖化防止にからめて、二酸化炭素削減における森林の効用について、一部に誤解が生じているようだ。ここで指摘しておきたい誤解は、次の二点。
1)森林は二酸化炭素を吸収している。
2)木材などのバイオマスを燃料として用いても二酸化炭素を排出するので、人為起原二酸化炭素排出の削減には役立たない。
1)は、森林の効用を説く一説としてあり、2)は、森林は役に立たないとの主張に繋がるもので、両者は相反しているが、どちらも誤り、または不正確である。ただし、誤解1)の方は、最近ではかなり収束してきたのではないかと思われる。
関係する基礎情報は、環境省の下記ウェブサイトから入手可能である。
「IPCC第4次評価報告書について」
http://www.env.go.jp/earth/ipcc/4th_rep.html
特に、下記は必読
「IPCC 第4次評価報告書 統合報告書」(政策決定者向け要約(仮訳))
http://www.env.go.jp/earth/ipcc/4th/interim-j.pdf
上記「総合報告書」には、地球規模の人為起源温室効果ガス排出を示したグラフ(図SPM.3.)が示されている。特に、(b) 2004年の人為起源温室効果ガス総排出量に占めるガス別排出量の内訳(CO2換算ベース)に「森林破壊、バイオマスの腐敗など、17.3%」とあったり、(c) 2004年の人為起源温室効果ガス総排出量に占める部門別排出量(CO2換算ベース)の内訳中の「林業17.4%」とあるのが今回のテーマと関係している。17%を超える主要な要素であるにも関わらず、この意味についてはあまり理解されていないのではないかと思われる。
全人為起源温室効果ガスのうち、林業がその17.4%も排出しているというのは、(b)のグラフで言うところの「森林破壊、バイオマスの腐敗」とほぼ等価であるが、これはもちろん、林業を営むのに用いられる重機等の化石燃料消費によるのではない。それは全く微々たるものである。
誤解1)について
生きている樹木は、一つの個体に着目する限り、確かに二酸化炭素を吸収している。しかし、土壌まで含めた森林全体を一つの単位要素として見れば、二酸化炭素を吸収している訳ではない。
話を分かりやすくするために、長期に渡って手つかずで、極相に達して安定している森林を想定しよう。このような森林では、樹木の成長と枯死がバランスしている。樹木は光合成によって成長することで二酸化炭素を吸収し、有機炭素に変えて貯蔵する。一方、落葉や、寿命を迎えて枯死した有機体は、土壌中で微生物によって分解されて、再び二酸化炭素へ還る。実際に、森林土壌中の二酸化炭素濃度は数千ppmを超え、たえず多量の二酸化炭素を大気中へ放出している。森林浴と悦に入っても、二酸化炭素は平均大気より重いので、実際には通常の場所より二酸化炭素濃度は高いのである。
寒冷な湿地帯などでは、有機体は完全には分解されずに泥炭となって保存されるし、一部は河川を伝って海や湖沼へ運ばれ、有機炭素として堆積物中に保存される。しかし、こうして保存される有機炭素の割合はかなり小さいので無視して良い(注)。つまり、「安定な森林」は、二酸化炭素を吸収も放出もしないで、単にバッファーしているだけということになる。
同じ理由から、「成長しつつある森林」は二酸化炭素を吸収することになるし、逆に、「縮小しつつある森林」は二酸化炭素を放出することになる。主に林業によって森林は縮小を続けているが、その分だけ、二酸化炭素を放出することになる。例えば、建築資材として切り取られた樹木も最終的には廃材となり、焼却されるにせよ、腐食するにせよ、二酸化炭素へ還ることになる。逆に、植林によって森林面積が増えたり、大気二酸化炭素の濃度上昇によって光合成が活発化すると、二酸化炭素は吸収されることになる。IPCCは、現在は吸収に転じていると主張している。(追記1参照)
なお、植物も酸素呼吸するし、動物の酸素呼吸も無視できないのだから、これらによる酸素の消費と二酸化炭素の放出も勘案すべきだと思われるかもしれないが、これらを含めたトータルの収支として、植物生体総量の増加や減少があるので、呼吸は無視してよい。
誤解2)について
有機体が微生物によって分解され、二酸化炭素を放出するということは、「ゆっくりと燃える」ということなのだから、いっそのこと、きちんとした管理下で燃やして、そこからエネルギーを取り出して役立てた方が良いということになる。そこで、バイオマスをエネルギー資源として利用した分だけ人為起原二酸化炭素排出量から差し引いて、将来の削減目標の算定をするという案に合意が生まれたのだ。つまり、化石燃料を消費するとそっくりそのまま人為起原二酸化炭素の排出に繋がるが、その一部を、もともと人為起原でなく自然に排出されていた二酸化炭素に肩代わりしてもらおうという訳である。
確かに、木材を燃やせば二酸化炭素が排出される。しかしそれは、燃やさずとも最終的に二酸化炭素を排出するにきまっている存在なのである。これを有効に燃やしてエネルギーを取り出し、その分化石燃料の消費を減らせば、人為起原の二酸化炭素排出の削減に繋がる。冒頭に掲げた誤解2)は、炭素循環のシステムの中で、人為起原の二酸化炭素と、自然が排出する二酸化炭素を区別せずに考察した結果であろう。
このことから、微生物によって「無益に分解」されているバイオマスの大部分をエネルギー資源として活用すれば相当の割合で化石燃料の消費を減らせるとの発想も生まれる。日本では、石炭の消費量が急激に増加する明治後期より以前には、実際に、燃料の大部分は薪炭であった。その結果、現在は豊な森に包まれている地方の里山も、江戸末期には、大部分が禿げ山や草地と化していたのである。(追記2参照)このことはあまり知られていないようであるが、その分、鎮守の森だけが目立つことになった。
主要な原因は、多々羅製鉄のために木炭が用いられたことにもよるが、それは単に、森林の成長速度を上回って消費されたというにとどまらない。「無益に分解」されているように見える腐食によって土壌が肥え、森林の成長を促していたのだが、限度を超えて<搾取>した結果、土壌がやせ細り、森林の甦生速度そのものが鈍っていったのである。
世界的に見ても、パキスタンやアフガニスタンなど、薪を主要な燃料とする時代が長く続いた地域では、主に、このような理由から森林が失われた。最終的に土壌流出を招き、岩石がむき出しになって森林の甦生が不可能な荒野となったのである。日本では、自然の地面は土壌で覆われているものとの観念があるが、極めて希な、恵まれた国土なのである。森林の活用がどこまで可能なのか、実証的な研究が待たれる。
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注)天然に保存される有機炭素の量が多ければ、その分だけ二酸化炭素の減少に繋がる。枯死した樹木は、寒冷な湿地帯では泥炭として保存されるが、これは将来に渡って永久に保存される訳ではない。事実、過去に形成された泥炭の一部は既に分解を開始しており、そこから二酸化炭素が放出されている。これに対して、海成の、主に泥質堆積物中に含まれる有機炭素は半永久的に保存されるだろう。産総研の地質情報総合センターの岩石標準試料の化学組成のデータを見る限りでは、通常の泥岩中の炭素含有量は数百 ppmに過ぎないことが分かる。
http://riodb02.ibase.aist.go.jp/geostand/semiment.html
上記分析表中、JSl-1、JSl-2が代表的な泥岩。無機炭素(C)の濃度から、CO2として定量されている炭酸塩鉱物(方解石など)に含まれる炭素を差し引いたものが、ほぼ、有機炭素起原のものと考えてよい。
(追記1)「主に林業によって・・・」以降の原文は以下の通り:
「全地球的には、主に林業によって森林は縮小を続けているが、その分だけ、二酸化炭素を放出していることになるのである。例えば、建築資材として切り取られた樹木も最終的には廃材となり、焼却されるにせよ、腐食するにせよ、二酸化炭素へ還ることになる。」
全地球的には、現在は二酸化炭素吸収に転じているというIPCCの主張が明確に伝わるよう、本文のように改めた。
(追記2)「日本では・・・」以降の二つの文の原文は以下の通り:
「日本では、石炭の消費量が急激に増加する明治初期より以前には、実際に、燃料の大部分は薪炭であった。その結果、江戸末期には、ほとんどの里山は禿げ山や草地と化したのである。」
八幡製鉄所第一高炉の開所(1901年)合わせて、「明治初期」を「明治後期」に改めた。また、樹木搾取による森林の縮小と荒廃は江戸時代以降も続いていたので、誤解が生じないよう、現在と江戸時代を比較するような文章に改めた。現在の大都市近郊の宅地化による森林縮小は、土地利用の問題であり、「過度な森林利用」についてのこの議論とは無関係である。
以上、09年、1月23日
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森林への人為効果について
その上で私は、林業に代表される人為的な森林の縮小によって、多量のCO2が排出されることになると説明しました。現実には逆に植林などによる人為的なCO2吸収もありますし、自然的にも砂漠化による縮小や温暖化によるツンドラの森林化などが起こっていますから、これらも無視できません。しかし、原理が解ればそうしたいろいろな現象に応用できます。
そうした原理を理解する上ではあまり複雑な要素の提示はかえって邪魔になります。かといって、原理にこだわるあまり、実態とかけはなれた議論をしてはいけないのも確かです。その意味で、綾波シンジさんのコメントは、理解を深めるのに大変有意義なものだと思います。
一例ではありますが、私の記事の趣旨を正しく理解されて、エントリーをあげてくださったのが、トラックバックいただいた「みつどんの曇天日記」です。私としては、これで十分だと思いました。もし、私の記事を読んで、なにか誤解をされた方がいらしたのなら、それを正す努力は惜しみません。
2009/1/20(火) 午後 9:32 [ さつき ]
森林荒廃について
戦後の森林荒廃については私も認識しているつもりです。しかし、歴史上特異な時期のことであり、普遍性がありません。例えば、松ヤニが軍の燃料として徴収されたり、過渡的な技術としての木炭エンジンのバスが走っているなど、極端な森林搾取が行なわれました。今は植林されて杉山になっているかなりの部分に、当時は段々畑であったことを示す石組みがみられます。食料増産が至上命令だったからでしょう。
私が特に江戸時代を採り上げたのは、一部のエコロジストの間で、自然エネルギーとしての薪炭利用の理想的な時代として江戸時代を過度に美化するような論調があって、そのことを意識したものです。人口が今よりずっと少ない江戸時代でさえ森林荒廃を招いていたということに警鐘を鳴らすのが目的で、この問題に関心のある一般市民が何に注目しているかを考えてのことです。
地域性については、特に磁鉄鉱系列の花崗岩地帯でたたら製鉄がさかんだったということくらいしか知りません。文献についてはあらためてお知らせします。
2009/1/20(火) 午後 9:32 [ さつき ]
泥炭のタイムスケールなど
地質時代に固定された陸上植物起原有機炭素は、石炭が、可採埋蔵量約1兆トン、採掘不能で可採埋蔵量に計上されない分が1兆トン、人類が既に消費した分が0.4兆トン、合計2.4兆トンくらい。しかし、泥岩などに含まれる炭質物として固定された分がはるかに多いというのが私の判断で、ざっと計算して10兆トンになります。炭素濃度が数百ppmオーダーでしかないのに、母岩の総量が圧倒的に多いからです。以上から、地質時代の4億年に渡って蓄積された陸上植物起原炭素の総量を、約12.4兆トンと見積もると、年間僅か31,000トンにしかなりません。年間の光合成量が一千億トンのオーダーとなるのに比べれば、まさに微々たるものです。もっとタイムスケールを短くとればかなりの増減がある筈で、現在それがどうなっているかが重要ですが、泥炭よりも泥岩のフラックスの方が重要と考えている私としましては、あまりに不確定要素の多いことに深入りしたくありません。なお、石油や天然ガスは主として海棲プランクトン起原というのが主流の考えのようですから、森林の素過程について考える際には、とりあえず除外して良いですね。
2009/1/20(火) 午後 9:33 [ さつき ]
○炭素収支に関して
読者の方が、森林の収支に関して「原理(というか理想的概念)」とそれを超えた現状の理解に至って頂ければ、それが何よりです。
(Fig.7.3は決して「複雑な」ものだから使えないものではないですよ。重ねますが、SPMのFig.3は、あくまでも人為による排出という一面の値でしかありませんので、)
○森林荒廃について
さつき様に予めその意図があったのであれば、是非、そう書いて頂きたかったです。本文はあたかも、明治期以降回復しているかのように読みとれます。また、さつき様のご回答は、たたら製鉄(やある程度の人の生活)にあまりにもフォーカスされすぎではないですか?(山をメインにおけば「戦後が特異」という認識論のディフェンスにはならないのでは?)さつき様は、おそらく「資源論」として山を見られるのでそういう認識になられたのでしょうか……
また、さつき様が扱われたいタイムスケールのことも、泥岩の話から理解致しました。(お互い、そのスケールが異なる立場で話しているようです)
2009/1/21(水) 午後 2:09 [ 綾波シンジ ]
綾波シンジさん、
>Fig.7.3は決して「複雑な」ものだから使えないものではないですよ。
認識のずれはIPCC AR4 Fig.7.3の、Land sink -2.6 GtC/Yrをどう評価するかにあります。この数値は、ここでの議論に決定的に重要であるに関わらず、その実体がよくわかりません。
その次のページにあるTable 7.1では、"Residual terrestrial sink"と表現されていて、Net land-to-atmosphere fluxeの脚注における説明では
Balance of emissions due to land use change and a residual land sink. These two terms cannot be separated based on current observations.
と書かれていています。ますます解りません。
そこで、この「Land sink -2.6 GtC/Yr」の内訳や、その実体についてお教えいただけましたら幸いです。
2009/1/21(水) 午後 3:32 [ さつき ]
>内訳や、その実体についてお教えいただけましたら幸いです。
その周辺部を読めば載ってます。
[2009/1/17(土) 午前 0:01]や、その後のコメントを拝読する限り、そういうのをご存じの上で、IPCCのSPMを引用されて、この記事を書かれた訳ではないのでしょうか?
何よりも、数値の質自体は、SPMFig.3の値とFig.7.3の値とは同種のものだと言うことは、よろしいでしょうか?基本的に同じ値を用いています。
さつき様がFig.7.3の信頼性に疑問を呈されるのであれば、SPM Fig.3とて同じことです。そして、情報量は異なる訳です。Fig.7.3と比して、Fig.3は情報量が決定的に劣っているのですが?これは認識のずれ以前の問題でしょう。
2009/1/21(水) 午後 4:04 [ 綾波シンジ ]
ちょっとまって下さい。私は、Fig.7.3の信頼性に疑問を持っている訳では決してありません。
私がこのエントリーをあげた理由を理解していただけないでしょうか。
私は、IPCCを信頼していますが、元々IPCCを信頼していないような立場の素人がFig.7.3を見て、納得するか、逆に疑問を膨らませるようなことになっていないかを検討しようとしています。ほとんどの素人は本文まで読まないとも思いますので、図だけでどこまで完結した読み取りが可能なのかが重要です。その点を私が良く理解した上で、近々訂正の追記をしようと準備しているところです。もうちょっとおつきあい下さい。
Land sink -2.6 GtC/Yrの意味についてはわかりました。植林や、肥沃化や、大気CO2濃度の上昇による光合成の促進などですね。
植林以外の分を人為起原に含めるという発想がなかったので、少し意外でした。
2009/1/21(水) 午後 7:54 [ さつき ]
ところで、工業化以降の累積人為起原変化量(リザーバー中、赤色の数字)について、Fig.7.3の脚注では次のように説明しています。
地上における賞味のロス(-39 GtC)は、化石燃料消費量ー大気中の増分ー海洋への蓄積量(244-165-118=-39)である。この内、土地利用変化に伴う累積ロスが-140なので、差し引き+101が累積された"Land sink"分となる(101=140-39)。
ということは、タイムスケールを少し長くとれば、全体としてはCO2が放出されたこと(マイナス)になっていると考えて良いですね。
年間フラックスが、Land sinkが+2.6 GtC/Y、Land Use Changeが-1.6 GtC/Yとなって、累積分と逆転しているのは、最近おこった変化であると理解して良いでしょうか? ここが私なりにクリアーできれば OKです。
2009/1/21(水) 午後 7:57 [ さつき ]
>Fig.7.3と比して、Fig.3は情報量が決定的に劣っているのですが?
この図が描かれた背景を理解している専門家からしたらそうでしょうが、素人は必ずしもそうは思いません。
Fig.7.3は炭素循環のシステムをトータルに表現したもの、Fig.3は、その中で人為起原の要素をCO2以外の分も含めて、その内訳とともにより詳しくみたものという違いでしかありません。しかもFig.7.3は1990年代の平均、Fig.3は2004年分という違いもあります。
実際にFig.3の「森林伐採、バイオマス腐朽など」(17.3%)を、母数490億トンから炭素換算で計算すると、2.3 GtC/Yとなり、Fig.3の "Land Use Change"の1.6 GtC/Yとかなり違ってきます。これは、区分のポリシーが違うからなのか、これだけ増加したということなのか、素人にはわかりません。
2009/1/21(水) 午後 8:07 [ さつき ]
大事なことですが、AR4 Fig. 7.3は、1990年代の多数のデータを整理し、解釈を交えて炭素循環の収支をまとめたもの。一方SPMFig.3は人為起原CO2排出についての新しい基礎データをまとめたもので、将来Fig. 7.3を改訂するのに役立つでしょう。両者は質的にまったく異なる図で、目的に応じて使い分けるべきです。Fig. 7.3だけで済むものなら、そもそもFig.3のようなまとめは不要で、どちらが優れているかというような比較はできない筈です。このエントリーの目的に照らせば、人為起原CO2排出についてまとめたFig.3とともに、CO2吸収についてまとめた図があれば、両者を比較して議論するのがベストでした。
しかし、AR4 Fig. 7.3関連の説明を読めば、人為起原Land sinkのフラックスは、帳尻合わせとして二次的に算出されたもので、そもそもそうした信頼できる基礎データはないのではないかと思ったのですが、この点どうでしょうか。訂正文をどのようにするかに関わることですので、よろしくお願いします。
2009/1/22(木) 午前 1:52 [ さつき ]
>さつき様は、おそらく「資源論」として山を見られるのでそういう認識になられたのでしょうか
すみません、上記へ続く前の文章も、何度読み返しても、おっしゃっている意味がわかりません。私は、森林の過度な「利用」は、森林荒廃を招くという単純なことを書いただけです。人為的に森林が荒廃するのは、字義通り人の生活や産業の影響ということですから、山を資源としてだけみれば、森林は荒廃するということです。
このエントリーは、日本の森林生態系の歴史的変遷についてまとめるのが目的ではないので、趣旨に無関係な記述はできるだけ割愛したいのですが、明治初期までにおこった森林荒廃が、それ以降に着実に回復してきたというような誤解を生じる可能性があるのでけしからんとおっしゃるなら、その「けしからん」理由をもう少し説明して下さい。納得できたら、その点も改めようと思います。
2009/1/22(木) 午前 2:05 [ さつき ]
綾波シンジさんの指摘に従って本文の一部を改変し、その部分の注釈を末尾に追記しました。
IPCC AR4 Fig.7.3については、私自身、一部で疑問に思うところもあるので、引用は差し控えさせていただきます。chap7に一通り目を通した現時点での対応です。もちろん、IPCCそのものに疑問を感じているということではありません。メカニズムの理解にとっては無視できない細部もあるということです。
まもなくしたら(既に?)専門家コミュニティの外にいる科学者集団の中に、IPCCの枠組みが受容されるかどうかの科学史に残るせめぎ合いが始まるかもしれません。何しろ、「全球的気候変動」は、integrated scienceであって、あらゆる専門分野が関係することです。いろいろな「病的科学」も登場するでしょう。逆に、そうしたせめぎ合いの場では「環境や気候が専門」というコネも通用しなくなるでしょう。いずれ別のエントリーをあげると思います。
2009/1/26(月) 午後 10:31 [ さつき ]
さつき様は、「人為起源」の意味を正しく把握して頂けたのでしょうか。
▼[1/21(水) 午後 7:57]の「Land sink"(101=140-39)…タイムスケール…最近おこった変化」に関して
「140」は長期間の伐採の値ですから、そりゃマイナスにもなるでしょうね。それを自然の森林フラックスと思っておられるが故の質問ではないですよね?
▽[1/21(水) 午後 8:07][1/22(木) 午前 1:52]
人為起源の森林からのCO2発生の基本的な意味はご理解頂けたようですね。また、両者とも、同じ研究者グループの資料であることも気づいて頂ければ何よりです。(森林の収支を扱うに当たって、2004年単年の人為排出の値のみを載せる、ということ自体、私には謎のままですが)
収支に関して「帳尻あわせ」と思われるなら、フラックスに関する論稿をもう少し漁られてみてはいかがでしょうか?
2009/1/27(火) 午前 3:55 [ 綾波シンジ ]
▼[1/22(木) 午前 2:05]に関しては、私とさつき様の認識の違いの原因を考えたものです。森林の荒廃に関して、製鉄のことを中心に情報を入れてこられたのだろうとお見受けしたからです。これに関しては、やや気になる点も残りますが、追記等ありがとうございました。
さて、「主要な原因は、多々羅製鉄のために木炭が用いられたことにもよる」とありますが、全国的にその現状はありましたでしょうか?(「主要」なのか、という疑問です)
▽[1/22(木) 午前 2:05]の「「けしからん」理由」
上述の「「主要」なのか、という疑問」など、正しく読みとれないのではないか、との意図です。
2009/1/27(火) 午前 4:04 [ 綾波シンジ ]
▼[午後 10:31]「科学史に残るせめぎ合い」
始まっているようですね。
>あらゆる専門分野が関係することです。
そうですね。
理解をえていく段階はまだ始まったばかりですね。
おつきあい頂きましてありがとうございました
では
2009/1/27(火) 午前 4:08 [ 綾波シンジ ]
>「140」は長期間の伐採の値ですから、そりゃマイナスにもなるでしょうね。それを自然の森林フラックスと思っておられるが故の質問ではないですよね?
土地利用変化に伴う累積ロスの-140だけでなくLand sinkの累積変化+101も、どちらも1750年以降におこった、やや長期間の人為起原の累積変化量であると認識しています。差し引きマイナス39です。ところが、年間フラックスはLand Use Changeが-1.6 GtC/Y、Land sinkが+2.6 GtC/Y、となって、絶対量の大小関係が累積分と逆転している。これはつまり、最近おこった変化なのかというのが質問でしたが、私なりに、最近の顕著な温暖化や二酸化炭素の増加によって光合成が活発化し、Land sinkが大きくなったと理解しました。
ところで、光合成の活発化そのものは植物に自然現象としておこっていることです。その原因となる温暖化や二酸化炭素増加は人為起原だから、この分を人為起原の増加分に含めるというのは、そもそも、その原因が人為起原かどうかが議論の対象となる場では、明らかな循環論法として退けられるべきです。
2009/1/27(火) 午後 2:06 [ さつき ]
こちらへのお返事が遅くなって申し訳ありません。TBさせていただいたT-3donです。コメントできなかったのでブックマークその他で対応させて頂きましたが、放置していたヤフーIDを発掘しましたのでコメントさせて頂きます。
>私の記事の趣旨を正しく理解されて、エントリーをあげてくださったのが、トラックバックいただいた「みつどんの曇天日記」です。私としては、これで十分だと思いました。
過分なお言葉、恐縮です。こちらこそありがとうございます。そう言って頂きますと、勇気を出して(笑)TBしたかいがありました。
私の誤解は違うレイヤーを混同していたことに発していたようです。誤解を解く目的なら、ある程度モデルを単純化することもやむを得ない、というかそうしないと私程度の「お馬鹿」には理解が覚束かない危険が…。
知的怠慢とそしられそうですが、さつきさんのような奇特な方がいて下さると大いに助かります。重ねて、ありがとうございます。
2009/1/27(火) 午後 3:43 [ t_3*on ]
t_3donさん、わざわざおこし下さいましてありがとうございます。
こちらこそ、励みになりました。ありがとうございました。
ごらんのように、専門家である綾波シンジさんの御指摘もあり、若干追記しましたが、エントリーの主要なストーリーには全く影響のないことです。
2009/1/28(水) 午前 1:51 [ さつき ]
はじめまして、研究者一年生の森田研究員です。個人的にはIPCCは環境利権やエコ利権、温暖化利権、研究費用に群がっている政治色の強い一種の利権団体に近い印象を受けます。利権や個人的な損得勘定抜きで純粋な研究をする研究者こそが真の研究者であると思います。お金や研究費用欲しさに真実を捻じ曲げるような厚顔無恥の研究者にだけはなりたくありません。
2018/9/29(土) 午後 3:13 [ 森田研究員@研究者はプライドを持て ]
コメントありがとうございます。
IPCCの活動は、最近はあまりフォローしていないのですが、何か間違いでもありましたでしょうか?
具体的にご指摘いただけましたら幸いです。
2018/9/29(土) 午後 7:00 [ さつき ]