さつきのブログ「科学と認識」

福島第一原発、アンダーコントロールで、わざと昨年の2倍の放射能を放出か

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震災と原発事故への政府の対応について、ネット上や週刊誌の記事や新聞の投書欄などで批判的な論調が大きくなっている。政権幹部の個々の対応がまずい点は確かにあるだろう。しかし、この未曾有の事態にソツなく対応できる政治家は、この日本にはいないと知るべきで、無い物ねだりをしても益するところはない。枝野官房長官など、良くやってくれていると思う。そもそも、この政権を選んだのは国民であるし、現在の民主党政権の前の、自民党を中心とした政権時代に造りあげたられた日本の経済・行政の仕組みが、現在進行中のいろいろな「不具合」の直接的、間接的な原因ともなっていると思う。
 
震災復興に行政のきめ細かな支援の手が届かないのは、国民の共有財産であったいろいろなサービス機関などを合理化・民営化し、公務員減らしを続けてきた結果であろう。電力会社が、技術的・専門的な業務のほとんどを、個々の部門ばらばらに下請け、孫請け、派遣社員にまかせっきりで、本社社員は営業と広報ばかりという態勢では、「想定外」の事故に対処する初動的な指揮系統など確立されよう筈もない。国家の基幹産業である電力供給を営利企業に任せるなら、それも当然のことではあるし、それを許してきたのも我々国民なのだ。福島県の農家に謝罪に訪れた東電の副社長に対して、「このホウレン草を食え」とせまらなかったのは、対応した農民の見識ではある。
 
だが、ここに行き着くまでの長い間、人生を賭して、そうした行政のゆがみや巨大営利企業の横暴と対峙してきた者の中には、はらわたの煮えくりかえる想いでいる者もいるであろう。大庭里美さんが存命であったら何と言うだろうかと、ふと想った。
 
現在建設中の原発の中でも比較的強い反対運動が起こっているのが、山口県南東の瀬戸内海の西端、周防灘に面した上関町に建設予定の「上関原発」である。特に、建設予定地の3.5 kmほど沖に浮かぶ祝島では、長い間の懐柔策にもかかわらず、漁協が漁業補償を拒否して全面対決の姿勢を維持している。調査工事を阻止すべく体を張っての反対行動もあり、最近では中国電力が、反対派の個人を相手に工事中断にともなう損害賠償を請求する民事裁判をおこしたばかりである。
 
祝島には、私自身2回訪れたことがあるが、しばしばスナメリが目撃され、カンムリウミスズメが生息するなど自然豊かな地域で、天然記念物の宝庫とされ、自然保護団体なども反対運動に加わっている。本日(3月22日)、その自然保護団体を中心とした一行が、中国電力に対して「上関原発」の建設中止を申し入れた。中国電力の幹部は、テレビの取材に対して「福島の事故を受けての感情の高ぶりからおこったものと受け止めている・・・」と語った。まだ福島原発の事故を正面から受け止められずにいるようだ。
 
「プルトニウム・アクション・ヒロシマ」を主催していた大庭里美さんは、こうした陳情・抗議行動の際に、しばしばその先頭に立っていた。英語に堪能で、海外を飛び回ってネットワークを築き、また海外からも毎年のように「運動家」を招いて討論集会を開き、英語の文献を翻訳して普及し、理論武装にも努めていた。いくつかの大学の講義にも招かれて講演されたこともあり、たまたま私の娘も大学で彼女の講演を聴く機会があったという。私自身も、彼女の語ったことから学ぶことが多かった。
 
人類は原発と共存できないという確信は、広島の被爆二世であった彼女にとって自然な発想であったろう。こうした運動に対して、感情だけが優先してトンデモな「理論」を振りかざしていると批判する、自称「専門家」達がいる。確かに彼女の確信は、価値論に基づくものである。しかし、原発のリスクを受け入れつつその益を利用すべきだとの発想も、実は、ある意味刹那的な価値論に基づいている(注1)。刹那的であるが故に、期待された価値が得られなかったり、台無しになってしまったりしても、その価値論を変えるということは期待できない。結果、世間にその価値をゴリ押しするために嘘をつく他なくなる。そのために科学が利用される。大庭さんは、そのあたりのことを良く理解し、嘘を見破るための科学的な理論武装に努めた希有な「運動家」であった。科学をなす駆動力の源泉は価値論である。そのことはまた別の機会に書きたい。
 
大庭さんは、20052月に、志半ばにして亡くなられてしまった。今、彼女が生きていたら、何を語って、どう行動しただろうか。
 
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注1)3月12日の記事でふれた台湾第3 (馬鞍山) 原子力発電所の電源喪失事故に関する報告書の中に、張俊雄行政院長の見解 (仮訳)というのがある。

その中で張氏は次のように述べている。
「台湾の原子力発電に関して問題となっているのは経済および思想ではない、台湾住民1300万人の生命の安危である。第4原子力発電所建設に関しても、我々の不安の根拠は「原子力発電所事故発生の確率は1万分の1というが、我々はその1万分の1が恐ろしい。」というまさにそれである。」

1万分の1が恐ろしくて受け入れられない」とすれば、「100万分の1にしましょう」という発想と、「100万分の1でもやはり受け入れられない」という発想があり得る。両者は価値論に基づいているので、議論しても無駄である。ただ、それが本当に「100万分の1」であるかどうかという点だけは、議論する意味があるかもしれない。
 
この、台湾の原発事故の詳細は、例えば下記を参照

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