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福島県浪江町の砕石場で採られた東電原発事故の放射能で汚染された砕石が、福島県内の少なくとも49カ所の住宅のコンクリート骨材などとして使用されていたことが発覚し、問題となっている。昨日(1月21日)の報道によると、福島県は、既に昨年
なぜ国は、その砕石の使用基準値を、福島県に求められたにもかかわらず5ヶ月間経っても決めることができなかったのか。焼却灰や汚水処理場からの汚泥などの埋め立て基準値や、食品の基準値などは早くから決められていたのにである。
もし今回問題となった汚染レベルの砕石を、搬出・使用できないようにする規制値を定めてしまったら、人形峠のウラン残土問題への対応で国と原子力産業界が一体となって示してきたロジックが崩れ去り、国として大変困ったことになるのではないか。彼らがこの問題を忘れていないなら、砕石の使用基準値など絶対に決めたくないだろう。なにしろウラン残土の問題は、まだ終わっていない。
まず、前稿の(注4)にリンクした小出裕章氏による「ウラン残土レンガと放射能の基礎知識 」と題する 2008年11月22日付の文書と、「ウラン残土市民会議」のウェブサイトにある土井淑平氏の寄稿文などから、概要をまとめよう。土井淑平氏は、本年最初の記事で紹介した『反核・反原発・エコロジー ― 吉本隆明の政治思想批判 ― 』(批評社、1986年) の著者である。
人形峠ウラン残土問題の概要
1955年、岡山・鳥取県境にある人形峠においてウラン鉱床が発見される。原子燃料公社が設立されておよそ10年に渡って9万トンの原料鉱石が採掘されたが、低品位であったために閉山。その後、原子燃料公社は動力炉核燃料開発事業団(動燃)に改組され、人形峠に海外からのウラン鉱石が持ち込まれて精錬・濃縮試験が続けられたが、2001年に閉鎖。
88年、人形峠近辺の岡山・鳥取両県にまたがる複数箇所に、20万m3、ドラム缶100万本分の高放射能の土砂(いわゆるズリ)が、野ざらしのまま放置されていることが発覚。そこでは、最大で年130 mSvの空間線量率の放射線が観測された。坑口からは放射線取扱施設から敷地外に放出が許される濃度の1万倍ものラドンも測定された。動燃は柵で囲い込むなどするだけで、残土の放置を続け、国は安全宣言を出してそれを支えた。
しかし、鳥取県側の小集落方面(かたも)地区だけは、残土の撤去を求め続けた。私有地の不法占拠を続けることになった動燃は、1990年になって、やむなく残土を人形峠事業所に撤去する協定書を結んだ。ところが、事業所のある岡山県は、それまで残土の安全宣言を出していたのにその搬入を拒み、動燃も岡山県の反対を口実に撤去を先延ばしにし続けた。
方面地区住民はやむなく、動燃から改組されていた核燃料サイクル開発機構(核燃)を相手に訴訟を起こし、2002年6月の鳥取地裁、2004年2月の広島高裁松江支部と続けて全面勝訴。2004年10月、最高裁は核燃の控訴を棄却して、方面地区の3000 m3の残土の撤去命令が確定した。
以下、小出氏の文章から引用する(動燃と書かれているのは、核燃のこと)。
アメリカ先住民の土地に押し付けられた290 m3を除いた2710 m3の残土は、人形峠においてレンガに成型
放射線ホルミシス効果の宣伝に使うのだという。
土井氏によると、このレンガの行き先の公開をもとめても応じず、三朝町以外、いまだ非公表になっているという。しかも、ウラン残土の内、撤去されたのは方面地区にあった3000 m3だけ。「人形峠周辺にはいまなお45万立方メートルもの膨大な残土が野済みのまま放置され」ているとのことである。
「原子炉等規制法」からみた「ウラン残土」と浪江町の砕石
前稿の(注4)において、「日本においては、放射性物質の管理・規制が大変厳しい」と書いた。地質年代測定のための標準試料とするために、僅か0.1〜0.2 gのウランを、来日する留学生に届けさせたことで大学教員が書類送検されたことも紹介した。新聞沙汰になったのである。日本では、ほんの僅かのトリウムの同位体スパイクが入手できないために、ウラン系列の同位体非平衡を利用したトリウム年代測定もできない。トリウム年代は、炭素14年代とK-Ar年代がカバーする年代の間を繋ぐ重要な手法であり、台湾など海外の大学・研究機関に測定が依頼されている。
文科省のウェブサイトの「使用の許可を要しない核燃料物質の種類と数量」のページにある表1を見ると、ウランについては300 g以下は使用の許可がいらないと勘違いしそうだが、事実は違う。その上の文章を良く読むと、末尾の括弧内の但し書きに「ただし、この場合においても炉規法第61条の3に基づき、国際規制物資の使用の許可を受けることが必要です。」と書かれている。そして、この「炉規法第61条の3」には核燃料物質取り扱いの下限が定められていないのである。そのことが非常に分かりにくくなっているために、いくつか大学のRIセンターなどでは、HPなどで、この点について特別の注意を喚起するページが設けられていたりする。
以上は、天然のウラン鉱石を精製して得られる核燃料物質についてのものである。原子力と無関係な研究には無意味に厳しい規制が杓子定規に適用される一方、原子力産業だけは気の遠くなるような量のウランを独占的に使用できるよう工夫されている。
では、天然のウラン・トリウム物質としての「核原料物質」についての規制はどうかというと、こちらの方は逆に、ウラン残土を放置したり、レンガにして全国にばらまいたりしても良いようになっている。文科省のウェブサイトの「天然鉱石の使用の規制について」のページには以下の説明がある。
形成後1千万年以上経過した古い鉱石の場合には、ウラン系列もアクチニウム系列も全ての娘核種が放射平衡に達しているので、ウラン濃度0.205%で全体の放射能は370 Bq/gに達してしまう。しかし、定義が「ウラン・トリウムの放射能濃度」なので、娘核種からの放射能を無視すると、370 Bq/gに達するウランの濃度は
ところで、平均0.03%(300 ppm)の天然ウランを含む残土の全放射能(全ての娘核種の放射能を含む)を計算すると、53770 Bq/kgとなる。実際にはトリウムも含んでいる筈で、もっと高くなる。
「放射性物質が検出された上下水処理等副次産物の当面の取扱いに関する考え方」の概要によると、焼却灰や汚泥等の処分については以下のように定められている。
これに従えば、レンガにして一般に配るなどもってのほかということになるが、汚泥は天然物質ではないとの言い逃れがなされるかもしれない。しかし、砕石の方は、基本的には鉱山のズリと同じものなので、その規制値とウラン残土の処分法との整合性は無視できない筈だ。
どうするつもりなのだろう。
追記(1月22日)
こちらで紹介されている動画でウラン残土製レンガの行方とその問題が詳しく報じられている。
放射能レベルの高い残土は低レベル残土と混ぜて薄め、レンガ表面付近の空間線量率が0.2 μSv以下になるように管理・製造された。これが許されるのなら、高レベル汚染米も非汚染米と混ぜ合わせたらOKということか? それは絶対にやってはいけないというのが常識。レンガ一個90円で販売されたとのこと。
原理力機構人形峠環境技術センターのHPにあるウラン残土製レンガの販売広告サイト
ここにリンクされている「人形峠製レンガの安全性」のページで説明されているレンガの放射能濃度「0.57ベクレル/グラム」はウランだけの値。系列娘核種の分を合わせると約14倍になる。「人形峠製レンガの設置・敷設例」のページには、使用例として今でも「室内花壇等」が示されている。
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科学と認識
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ウランとか実際は放射能より重金属毒性が問題なんだが、反対派は放射能で危険と騒ぎ推進派は放射能で安全という。
廃坑を深く掘って濃縮した残土を突っ込めばウランが熟成できそうだけど。
砒素やカドミウムみたいなもんだと思うけどね。
特にカドミウムはウランとセットで使うし。
2015/2/10(火) 午後 11:23 [ x_x ]