さつきのブログ「科学と認識」

福島第一原発、アンダーコントロールで、わざと昨年の2倍の放射能を放出か

科学と認識

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 以下に書くことは、松田まゆみさんのブログに掲載の記事、再度、菊池誠さんの野呂美加さん批判とEM菌について(2012年1月23日)へ私が批判的なコメントをしたことに端を発した一連のやりとりを受けての吉岡英介さんからの反批判に応えるためのものです。

 松田さんの上記エントリーは、菊地誠さんによる野呂美加さんの「ニセ科学」を批判する、その姿勢に向けられています。同趣旨のエントリーとして菊池誠さんの野呂美加さん批判は科学的か?(2011年10月20)があり、今回の記事では、論旨を補強するために、参考になる事例として吉岡英介さんのウェブサイトにある乳酸菌噴霧で玄米の放射能が4分の1に減ったと題する記事にリンクが張ってありました。

 私は、最初のコメント(2012年01月25日 00:02)の冒頭で次のように書きました。

 吉岡さんの「乳酸菌噴霧で玄米の放射能が4分の1に減った」というページに書かれていることは、とうてい「実験」などと言える代物ではありません。少なくとも科学的な実験は、その実験の詳細を詳しく記録して、それを公表する際には、第三者が同じように再現できるようにその詳細を明らかにするものです。そうでなければ、これを第三者が応用する際には、結果が再現されないばかりか、危害が及ぶ場合さえあるでしょう。一番危惧されるのは、実際に汚染されている玄米を、この方法で「除染」して常食してしまうことです。放射線測定器を持っていない人は、確かめようがありません。信じてしまえば、安心して食べてしまうでしょう。そうは思いませんか?

 私の批判を受けいれて、松田さんは記事の該当部分に消し線を入れて訂正されました。そこで、二回目のコメント(2012年01月25日 21:26)に、次のように書きました。

私達は、これまで散々薬害に苦しめられてきたはずです。
薬を開発して売り出す際には、綿密な臨床試験を何年もかけて繰り返し、その効能と副作用を厳しくチェックすることが義務づけられています。「サプリ」と称して、その厳しいチェックを免れつつ、実質的には薬効をほのめかして売るというような例はいくらでもあります。
二度と同じような薬害を繰り返さないためには、私達自身が、薬事法の意味を良く理解する必要があると思います。

 Wikipedia の「サプリメント」の項に以下の記述があります。

法的な分類
日本では、狭義のサプリメントは法的に食品に分類される

特定保健用食品(トクホ)厚生労働省から認可を得ることで特定の保健用途における効能を表示することが可能である。ただし錠剤や粉末状のものは認可されない現状にあることからここに分類されるサプリメントは今のところ無い。

栄養機能食品 12種類のビタミンと5種類のミネラルのいずれかが一定量含まれ、その栄養素の機能を厚生労働省に届出や申請なしに表示できる食品であり、平成13年4月に創設された保健機能食品制度により規定される保健機能食品である。
一般食品 上述以外の食品を指し、効果・効能を書くと薬事法違反となる。

 また、「健康食品」の項には次のように書かれています。

日本の法律(薬事法及び食品衛生法)では、口に入る物は「食品」か「薬」のどちらかであり、「健康食品」というカテゴリーは存在しない。健康食品は法律上、「食品」として扱われる。

 厚生労働省から認可されたもの以外の食べ物は全て「食品」であり、効果・効能を書くと薬事法違反になります。口にするもので効能・効果を謳うことができるのは、長期に渡る副作用の有無などを含む厳しい科学的な検証を経なければならないのです。なぜこのように厳しい規制があるのかは説明を要しないと思います。たとえ売って儲けるためのものでないにしても、それを他人に勧めようとする者は、この薬事法や食品衛生法の趣旨を十分理解し、配慮しなければならない筈なのです。特に、組織的・大々的に宣伝している者がそれを怠るなら批判されて当然です。

 ここで「厳しい科学的なチェック」が問題になる以上、どうしても「ニセ科学」批判が紛れ込むのですが、そうした批判に対して、「科学理論は絶対ではなく、未知の現象が潜んでいる可能性はゼロではないのだから、その批判はおかしい」との反批判が必ず出てきます。しかし、この反批判は、薬事法及び食品衛生法の趣旨に照らして無効です。もちろん、現在の科学理論は絶対ではなく、未知の現象が潜んでいることは当たり前のことだし、サリドマイドのように、毒が薬になったりすることもあり得るでしょう。しかし、「科学理論は絶対ではなく、未知の現象が潜んでいる可能性がゼロではない」ことをもって、その食品が安全であることを保証することにはならないのです。そのことは、いわゆる「代替療法」にも言えることです。

 そうしてみると、本来、このことには「ニセ科学」批判さへ必要のないことかもしれません。特に、科学者ではない一般の方が、実体験に基づいていろいろな現象を解釈するかぎりにおいて、いちいち名指しで「ニセ科学」批判の文脈から批判することは、場合によっては避けなければならないこともあるでしょう。しかし、社会的に一定の影響力のある公人や組織が公に宣伝している内容については、その誤りを知ってしまった者には、知ってしまった者としての責任があると、私は考えています。逆に、知らなかったでは済まされないこともあるでしょう。

 私が言いたかったことは以上です。
 ついでに、私が批判の対象として指摘した二例について、少しだけコメントを追加しておきます。

1)飯山一郎氏の「米のとぎ汁乳酸菌」

 飯山氏のHPには、今では「米のとぎ汁乳酸菌」というタイトルは表に出てきません。代わりに、放射能浄化で宣伝されているのは、 『光合成細菌』で放射能浄化!のようです。このサイトの説明を読む限り、飯山氏は、乳酸菌と共存する光合成細菌が放射性物質を濃縮すると主張していて、放射能を無害化するとは言っていないようです。この説を補強する証拠として、下記にリンクがあります。
 実際、飯山氏は、「問題は,放射能を体内に取り込んだ光合成細菌を,どう処理するのか? そして,コスト(経費)である.」と書いています。

 一方、前掲の吉岡さんのウェブサイトには、ある食品会社の会長さんが行った「実験」について書かれています。

乳酸菌をスプレーしていない玄米と、乳酸菌をスプレーした玄米とを、食品の放射能を測定する社団法人に持っていって測定してもらったところ、なんと乳酸菌をスプレーした玄米の放射能は、スプレーしていない玄米に比べて4分の1に減っていた。

とのことで、放射能簡易測定結果報告書のコピーが添えられています。処理前が20 Bq/kg、処理後が5 Bq/kgとのことです。

 この結果をもとに、吉岡さんは、

飯山氏は、乳酸菌と併存する光合成菌が放射性元素を取り込んで、それを「つついて」放射能を出させて、そのエネルギーを食べてしまい、放射性元素は放射能を失って無害化する、と言っています。無害化して放射能がなくなれば測定から消えるわけで、これは飯山説を支持する測定結果です。

と書いています。

 さて、「放射能を濃縮する」と「放射能を無害化する」は、正反対の現象であり、正反対の防護対応が要請されます。どちらが正しいでしょうか。科学的な手続きが十分ではないので、どちらが正しいとも言えないのではないでしょうか。ところが、「米のとぎ汁乳酸菌」で検索すると、実に多くの方が、いろいろな方法で実践に移しています。対応を誤ると危害が及ぶこともあり得る事態です。だから私は批判しました。

 通常、玄米には2300 ppm 、白米には880 ppm程度のカリウムが含まれ、カリウム40の放射能は、それぞれ72.7 Bq/kg、27.8 Bq/kgとなります。測定に用いられたSAM940スペクトルサーベイメータ(NaI)で検出されるのは、そのうち、電子捕獲をしてγ線を放出する10.72%です。そうすると、処理前の20 Bq/kgという値は、予想よりかなり高い結果です。「結果報告書」にも、「この測定結果は提出された試料に関するもので、試料の母集団の属性について証明するものではありません」との注意書きがあります。素人である「会長さん」はともかく、科学者であれば、この結果をもとに、「これは飯山説を支持する測定結果です」などとは、とても言えない筈です。

2) 野呂美加さんと中西研二さんの対談の内容に関するもの

 この中には実に想像を絶することが書かれていますが、科学の素人が体験したことを独自に解釈する、そのことの非科学性を批判してもきっと受け入れられることはないでしょう。共通の言葉がないからです。しかし、長岡式酵素玄米もEMXも「特定保健用食品」として認可されたものでない以上、その効能を謳っては犯罪になるということだけは言うべきです。

 健康な人体にはカリウム40の放射能が数千ベクレルは必ずあるものですが、仮に、EMXを飲んだ人の中に体内の放射能値がゼロになった例があったとしても、それがEMXの効果であったという証明にはなりません。この話を真に受けて、体内除染をEMXに頼りきって、有効な防護策を執らない人が現れないとも限りません。大変危険な話です。

 なお、吉岡さんが私への反論で触れておいでの、カルシウムの析出結晶の形が変わるという2000年のダブリン大学の実験について読んでみると、やや重要な点で誤訳があります。「実験の第2のグループは市販の蒸留ミネラル水に対して実施され・・・」とありますが、still mineral waterは、蒸留したものではなく、炭酸を含まない一般のミネラル水のことです。そして、これも重要なポイントですが、磁気処理前に対して、磁気処理後はFeの濃度が2.49 mg/Lから、1.39 mg/L へ大きく変化しています。鉄を含む微粒子は磁力でトラップされるでしょうから、あり得ることです。aragoniteとcalciteの沈殿ですぐに思い浮かぶのは、温泉地にあるトラバーチンです。そこにも、aragoniteとcalciteがいろいろな割合で混ざって沈殿しています。その割合は温泉水の化学組成に依存しています。まずはそうしたことを軸に解釈することが先でしょうね。

 こう考えると、同じ吉岡さんのサイトにある、山形大学工学部技術部 四釜 繁 氏 による磁気処理水の研究の結果も実に興味深いものがあります。ぜひ、実験のそれぞれのケースで、鉄の濃度を測定していただきたいものです。海洋の植物プランクトンの発生は海水に含まれる極微量の鉄の濃度にコントロールされていることがかなり以前からわかっています。平均的な海水中の鉄の濃度は全元素中39番目の60 ng/L(=60 ppt)でしかありません。鉄は葉緑素を構成する重要な元素(必須元素)であるにもかかわらず、圧倒的に欠乏している訳です。「黄砂 鉄 欠乏 プランクトン」で検索するといくらでも出てきます。淡水についても同様のことは言える筈です。

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