|
togetter: 毎日新聞スクープ"核燃サイクル「秘密会議」"について鈴木達治郎氏(原子力委員長代理)と江川紹子氏、斗ヶ沢秀俊氏がツイッター上で質疑応答の、そのコメント欄を読んで、暗鬱たる気分になる。
毎日新聞の5月24日のスクープを要約すると、内閣府原子力委員会の、「核燃料サイクル技術等検討小委員会」において、4月24日、原子力推進派ばかりを集めた秘密会議が開かれ、そこに、委員にはまだ公開されていなかった報告案の原案が配布され、検討の結果、その原案が書き換えられた最終案が作成されたというもの。今後の使用済み燃料の処理方法について、原案では
冒頭にリンクしたtogetterでは、毎日新聞斗ヶ沢秀俊記者のまとめに対して、小委員会の座長を務め、「秘密会議」にも出席していた鈴木達治郎氏が反論、途中から、江川紹子氏なども加わってインタビュー形式のやりとりとなる。
翌25日には、一連の鈴木氏の反論をまとめたような内容の「見解」が、内閣府原子力委員会のHPにおいて公表された。鈴木氏側の主張の要点は二つある。
1)「秘密会議」ではなく、最終報告書のとりまとめに必要なデータを関係者に提示してもらうための作業部会である。データを持っているのは関連行政官庁と事業者に限られるので、当然あのようなメンバー構成となる。こうした会合は技術的な問題のからむ政府答申のとりまとめに際しては不可欠のもので、この小委員会に関係しても過去20回以上開催されている。何らやましいところはない。
2)秘密の会合で報告書案が修正されたというのは事実ではない。報告書案はすべて検討小委委員の確認を経て作られていくので、特定の立場を反映するような運営はしていない。
この間の経緯は、「見解」において、次のように説明されている。
さて、twitterを通しての「インタビュー」において江川氏は、4月27日の検討小委員会では「原案」は示されなかったという重要な事実を引き出している。事業者側にはそれより前の24日の「秘密会議」において「原案」が配布されたのに、27日の当の委員会では、「原案」が委員に提示されないまま5月2日までの意見書の提出が求められたというのである。これは調べればすぐにわかることなので江川氏の功績というには値しないが、このtogetterの最大の山場ではある。
当然、この事実は、鈴木氏側にとって大変具合が悪い。もし私が委員であったなら(あり得ないが)、毎日新聞のスクープと上記の「見解」を読んだら激怒しただろう。原子力推進側だけは、予め「原案」の理路を知らされ、これに修正を加えるべく自らの主張に都合の良いデータを十分な時間を使って収集し、作戦を練ることができたのに、慎重派や反対派は場当たり的な対応に追われることになったからだ。慎重派や反対派も単なる素人ではなく、それなりのデータを持っているのだから、予め「原案」の理路を知っていれば、より的確な意見書を準備することができた筈だと考えるのが常識的な理解であろう。
そこで苦し紛れの弁明がなされる。上記に引用した「見解」では、「4月24日の会合に提出した資料の中に、「総合評価案」と題するものが含まれていたのは事実ですが、これはその後何度か用意された原案の一つです」と書かれている。
これは大変奇妙な日本語である。「原案の一つです」という文言からは、いくつも併存する(数ある)「原案」の一つに過ぎないとの印象を受ける。しかし、「その後何度か用意された原案の一つ」という表現をよくよく吟味してみると、これは、時系列的に書き換えられて行く途上にあるものということになる。事実として、この事案に対して「原案」は一つしか存在しなかった。それを、「原案の一つです」と書くことで、大した書類ではないとの印象操作をおこなっているのだ。
報告書案が、すべて検討小委委員の確認を経て作られたというのも欺瞞である。5月2日の期限で提出され、5月8日の会議で配布された「原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会メンバー からの提出資料」には、原子力資料情報室の伴英幸委員の意見書が収録されているが、この意見などは、最終案にはほとんど反映されていない。「委員の確認を経て」というのは、単に、「意見は意見としてお伺いしました」というほどの意味にすぎない。
親委員会「新大綱策定会議」の委員である金子勝氏の5月24日のtwitterから引用しておく。
鈴木氏側の「見解」には、「公正な運営に最大限尽くしてきた」と書かれているが、このような欺瞞に騙される者などいない、と、思っていた。ところが、件のtogetterのコメント欄を読んで唖然とした。ほとんどが、鈴木氏と江川氏の「冷静なやりとり」に感心し、毎日新聞の記事を誤報扱いし、この事件に怒っている飯田哲也氏を揶揄している。鈴木氏の反論にすっかり感化され、そうだそうだと大合唱している。まんまと騙されているのである。
むしろ、これを極秘にしておかなければならない理由と、それが発覚してしまったことの重大さを正しく理解しているのは、ほかならぬ近藤駿介委員長だ。毎日新聞によると、近藤氏は、「(報告案を配っているなら)度を越えている。私の監督責任にかかわる問題」と述べたという。ところが、その近藤氏も、「秘密会議」に出席していたことが発覚する。こうした「秘密会議」は現行の原子力政策大綱作成準備期間中の04年にも頻繁に行われ、出席した近藤氏は「表に出た瞬間にやめる」と発言したとされる。
原子力委:04年にも秘密会議「露見なら解散」(毎日jp 2012年05月26日 02時30分)
本日はまた、本体の「新大綱策定会議」の議案も、既に2月16日、秘密会議で事前に配布されていたことが発覚した。
秘密会議:「新大綱」議案も配布 原子力委は虚偽説明(毎日jp、6月02日 02時33分)
これが露見してしまったことの重大さを理解している原子力委員会は、そのHP上で、6月5日に予定されていた次回の新大綱策定会議(第21回)の中止を告知した。一から出直すべきだ。
さて、件のtogetter のコメント欄の、毎日新聞のスクープを誤報扱いする諸氏はどうだろう。原子力政策に特別に重く課せられた「自主・民主・公開」の原則の意味を理解せず、なし崩し的に再処理政策を温存しようと目論む原子力推進派の、その策動に荷担する世論の担い手となり、これに反対する意見を持つ者を攻撃しているのである。
仮に彼らが、「またもやだまされた哀れな人達」だとして、何の罪もないだろうか。自分は元より原子力推進派であると主張するならまだしも、騙した方が悪いとの言い訳は社会人としては通用しない。もちろん、一番悪いのは騙した方である。
|
社会のこと
[ リスト ]



結果として騙された方が、悪いのよ。それが我が国の歴史ですよね。
2012/6/2(土) 午後 8:53 [ 短足おじさん ]
騙された方が悪いというのは、私にはよくわかりません。我が国の歴史にある具体例を挙げていただければ、わかるかもしれません。
2012/6/2(土) 午後 9:18 [ さつき ]
kojitakenさんの「きまぐれな日々」に引用いただいたようです。
お礼のコメントを書き込もうとしたのですが、送信ボタンを押すとpasswordが違っているとのメッセージで、送れないようですので、こちらに書いておきます。ありがとうございました。昨日から急にアクセス数が増えたので、どこかでやり玉にあがっているのだろうかと思っていました。
それにしても、今朝の毎日新聞の世論調査の記事に、次期衆院選の投票先として「維新」がダントツ28%の支持とあるのを読んで、またもや暗鬱たる気分になりました。
自民党に騙されたと民主党に移り、民主党に騙されたと維新に移り、次は維新に騙されて、とうとう破滅でしょうか。
2012/6/4(月) 午後 11:50 [ さつき ]
本文中(二段落目)に重大なミスを発見、訂正しておきました。
誤)原案では「全量再処理」が総費用において優位」
↓
正)原案では「全量直接処分」が総費用において優位」
2012/6/5(火) 午前 7:08 [ さつき ]