さつきのブログ「科学と認識」

安倍政権は次々と公約を反故にし、変質させているので、詐欺罪として刑事告発すべきでは?

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 安倍晋三首相が9月28日召集の臨時国会冒頭で衆院を解散した少し前頃から続いていた政界のドタバタがようやく落ち着き、総選挙に臨む陣容もほぼ固まりつつあるようなので、この間、印象深く思ったことを記しておきたい。

 先ず、この解散は、6月22日に民進、共産、自由、社民の野党四党が、憲法五十三条の規定に基づき提出した加計学園問題の真相解明のための臨時国会召集の要求書を無視する憲法違反の暴挙であることを確認しておく。「森・加計隠し」の解散であることは明らかだ。

第五十三条【臨時会】
 内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。

 この点についてのジャーナリズムの追求姿勢はかなり弱く、立憲主義が蔑ろにされているとの強い危機感を持った。

 安倍首相が臨時国会を召集して冒頭解散する意向だとの最初の情報がもたらされたのは9月17日だったと思う。批判が強まり、土壇場で撤回するのではないかとの観測も流れる中、9月25日になると小池百合子東京都知事が「希望の党」結党を発表する。私は、そのあまりの手際の良さに、細野豪志氏らの民進党離党も含めて、政権側と内通して画策された既定路線だったのではないかとの疑念さえ持った。

 しかしながら、反安倍陣営の中には安倍政権打倒への道筋ができたとの期待が膨らんだ。26日夜には、民進党代表に選ばれて間もない前原誠司氏が小池氏と極秘に会談し、民進党の無条件合流について調整に入ることで合意がなされたという。翌27日には希望の党の旗揚げと党綱領や基本政策が発表されたが、これとは別に民進党の合流も発表された。私は、民進党の中に期待を寄せる議員も少なからず居たので、ここから始まる民進党の迷走を注視した。

 ここで特に驚いたのは、前原氏が党内の議論を経ずに勝手に小池氏と「密約」を交わしたことに対する党内からの批判の弱さである。事後的に執行部会のようなもので了承すれば良いというものでもないだろう。本来なら党代表の罷免に値する行為だと思うのだが、党規約はどうなっているのか。もとより私の民進党に対する期待はそれほど大きくはなかったので、失望というよりは、ただただ唖然とするばかりであった。昨今は、大学でも学長選考で教授会の投票でトップになれなかった人が理事会で逆転指名されたりする事態が相次ぎ、トップダウンの意思決定が日常化してしまっている。そのせいかどうか、政治学を専門とする大学人からの批判は期待に反して弱かった。こちらの方は、私にとっては大きな失望であった。

 さて、本題はここから。
 民進党の希望の党への合流は、その後の両院議員総会において全会一致で採択されたという。この時点で、これまでの民進党の主張と行動は、希望の党の基本政策、特に憲法改正や安保法へのスタンスにおいて真っ向対立するものであったことは誰の目にも明らかだったので、またまた唖然とした。当然ながら、政権党が憲法改正を目玉と位置づける総選挙で、その改正の方向性に異を唱えないのは政権補完勢力に他ならないとの批判が沸き起こった。

 これに対する民進党「リベラル」勢力からの反論(言い訳)を要約すると、批判はもっともであるが、先ず、小池氏の人気を背景に大きな支持が期待される希望の党に合流して選択肢を絞ることで安倍政権の打倒が可能になる。また、野党で最大の現有勢力の民進党のメンバーが新政権の中で影響力を行使することで、その健全性が保たれる。これが、この政局におけるベストな選択である」というものであったと思う。政治理念や具体的な政策上の不一致についての批判に対しては、「トロイの木馬」という言葉もあちこちから飛び出した。私の驚きは、もっぱらこの点にある。ことに民進党左派を支持する市民の中にも一時的にであれ同じ論調があったことに大きな失望を禁じ得なかった。

 選挙民の空気や政局の風を読み、その場凌ぎの受けの良い政策を前面に立てて信を問い、権力を手に入れ、その上で本性を露わにするというのは、かつては「マヌーバー」という一言で、少なくとも左派の中では一蹴されてきたやり方だ。この言葉が最近力を持てなくなっているのは、一つには「マヌーバー」そのものが、本来、「うまく立ち回る」といったような良い意味・積極的な意味にも用いられることの多い言葉であることにも依るのだろう。「面従腹背」がウケるのもそうした背景があるかもしれない。

 しかし、マヌーバーはポピュリストの常套手段であり、少なくともこれを選挙に際して用いることは、民主主義を破壊する行為に他ならない。選択された結果が内実と乖離してしまうからだ。選挙によって何が選択されたのか、誰が正しく判断できるだろう。そうした策略は、一時的に成功したとしても絶対に長続きすることはなく、その後の反動は目を覆うばかりのものとなるだろう。この間の日本の政治の劣化・反動化がそれを証明している。トロイの木馬だとかなんだとか裏でコソコソしないで、自分が正しいと思うことを真正面から主張し、行動しないと、きっと何処か知らないところへ連れて行かれるような気がするのである。

 9月30日になると、小池氏は、民進党の丸ごとの合流を拒否し、踏み絵をもとに基本政策が一致しない場合は「排除する」と宣言した。10月2日、これに反発した民進党左派の支持者達に後押しされて、枝野幸男氏が「立憲民主党」を立ち上げ、民進党は、参院民進党を残して事実上解党することになった。かねてより、民進党の中には水と油が同居していると揶揄されていたので、私はこれでスッキリして良かったと思っている。その政策も支持者の思いを最大公約数的に満足するものになっていると思う。

 ところで、立憲民主党の理念として立憲主義が強調されるあまり「民主」の方が置き去りにされている気がするのは杞憂であろうか。近年は、ことにかつてのヒトラーの率いるナチス党が民主的なヴァイマル体制のもとで選挙によって選ばれて台頭したものであるとの認識が広がり、立憲主義が健全な政治体制に必要不可欠なものであるとの考えが定着してきた。しかし、立憲主義だって、規定に従って改悪された憲法のもとでは悪政に正統性を与えるのである。そのような改悪を阻止する基礎は、単なる多数決主義に基づく劣化版民主主義ではない「本来の民主主義」というものにある筈で、戦後民主主義と呼ばれた時代に、左翼は、行動(試行錯誤)を通して民主主義とは本来どうあるべきかという議論を積み重ねてきた筈ではなかったか。

 10月6日には希望の党の政策が発表されたが、これこそまさに、いっそ清々しいほどのポピュリストの行うマヌーバーの典型例である。こういうものに騙される選挙民が多いとすれば、それもまた、これまでリベラル・左派がマヌーバーに対して警戒感が足りなかったツケなのではないかと思う。この間の民進党の解党のドタバタに際して垣間見えた民主主義を破壊するものへの無警戒は、民主主義の価値そのものが忘れ去られようとしているのではないかとの危惧を抱かせるに十分なものであった。

 ついでに書いておくと、日本共産党が、名前を変えたら人気が出るだろうとの声に押されて本当に名前を変えてしまうなら、それもまたマヌーバーだ。共産党が野党共闘に熱心なのは、戦前から続く講座派と労農派の日本革命の展望をめぐっての論争において、講座派が主張する二段階革命論を形を変えながらも基本的な部分で継承しているからであろう。当面の「民主主義革命」が日本共産党にとって、目下の最優先の政治課題であり、かつて弾圧を受けた歴史を持つだけでなく、今も破防法に基づく公安調査庁の監視対象団体として指定されている状況下で共謀罪が成立してしまった今、現憲法を護れと主張するのは強い危機感の現れでもあろう。共産党の危機は健全な市民社会の危機でもある。私は、一市民として、単に声援を贈るだけでは足りないのではないかと思い始めている。

 「民主主義」という言葉を発する時に決まって金芝河の詩「灼けつく渇きで」(注)を思い出す。複数の訳が出回っているが、最後に、一所不住さんの「抵抗の詩人 金芝河(キム・ジハ)」から引用しよう。

「灼けつく渇きで」
夜明けの裏通りにて/お前の名を書く 民主主義よ/わが念頭からお前が去ってすでに久しい/わが足がお前を訪なうことを忘れて あまりにも久しい/ただ一筋の/灼けつく胸の渇きの記憶が/お前の名をひそかに書かせる 民主主義よ 明けやらぬ裏通りのどこか/足音、呼子の音、扉を叩く音/一声長いだれかの悲鳴/うめき声、哭き声、ため息、そのなかに、わが胸に/深く深く刻まれるお前の名の上に/お前の名の孤独な輝きの上に/よみがえる生の痛み/よみがえる青あおとした自由の想い出/よみがえりくる 捕らわれて行った友らの血まみれの顔 震える手 震える胸/震え こみ上げる怒りをこめて板ぎれに/白墨で、ぎこちない手つきで/書く 息をこらしむせび泣きつつ/お前の名をひそかに書く/灼けつく渇きで/灼けつく渇きで/民主主義よ 万歳

―――――――――――――――――――――――――――
注)この詩はポール・エリュアールの「自由」の盗作であるとの疑惑が提出されているが、私は、影響を受けているかもしれないが完全に独立した作品として読めるものだと思う。

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マヌーバー。
懐かしい言葉。

2017/10/7(土) 午後 7:15 [ 櫻(N) ] 返信する

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>懐かしい言葉
ですよねえ。
まあ、検索してみて下さい。

2017/10/7(土) 午後 10:59 [ さつき ] 返信する

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