さつきのブログ「科学と認識」

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 最近,twitter 上で想田和弘さんに対する理不尽な批判が続いていて、暗鬱な気分になる。中には福島の核災害など何もなかったかのような主張もあって、聞くに耐えないが、ここでは、松浦晋也(@ShinyaMatsuura) さんの11月23日の tweet 

科学的に確かめられた知見は身も蓋もなく事実だ。「そういう立場は不可能」とは、自分の意見・立場に不利な事実は認め難いとの駄々っ子の論理に他ならない。自分の意見に例え不利であろうと、事実は事実であり議論の前提としなくてはならない。

について、一言。

それは早野さんが望んでいることではないかもしれませんが、必ずそういう政治性が出てきます。彼は政治的に中立なつもりでいるかもしれませんが、そういう立場は不可能なんです。なぜなら原発問題というのは、極めて政治的な案件ですから。純粋に科学的立場を取ることはそもそも無理だと思います。

を受けたものであるが、想田さんの主張はごく常識的なもので、小難しい議論など不要であろう。松浦さんの主張もまた、一見、ごく常識的なものであるように読めるが、これは、御自身「自分の意見・立場に不利な事実は認め難いとの駄々っ子の論理」とは全く無縁だとの前提で納得されることである。松浦さんは、その前提が自己申告に基づいているに過ぎないものであることにお気付きであろうか。

 前回の投稿 の引用元であるJGL (Japan Geoscience Letters) の同じ号の、最先端の研究を紹介するTOPICSのコーナーに、本年8月にこのブログで紹介した東電原発事故によって放出されたセシウムに富む微粒子(CsMP)について、その論文(Imoto et al., 2017)の著者の一人である宇都宮聡さん(九州大学)による2ページ余りの詳細な解説記事が掲載されている。そこに、論文では触れられなかった健康影響についての予察が書かれているので、以下にその部分のみ引用・紹介する。

東京に飛来したCsMP
 2011年3月15日の10:00〜11:00,東京都に最も高い放射能を持つプルームが到達した.その主要放射性核種はヨウ素(I-131, I-132)とセシウムであり,それぞれピーク時の放射能は 522 Bq/m3,124 Bq/m3 と報告されている.これらの核種の化学形態は水酸化物,塩化物およびヨウ化物と当初は推定されていたが,大気フィルターのオートラジオグラフィー画像を撮ると無数の黒点が現れた.これらの黒点の部分を単離し,SEM+EDX で観察すると CsMP が検出され,その放射能比や科学的特性は福島で見つかる CsMP と同じであることがわかった(Imoto et al., 2017).また,大気フィルターを超純水中で溶解すると,溶解実験前後でオートラジオグラフィー画像の黒点の位置が変わらないことから,難容性の CsMP が溶けずに残ることがわかるとともに,易溶性の Cs は総放射能の 11 % に過ぎず,CsMP の総 Cs 放射能は 89 % と算出された.これらの結果より,2011年3月15日の東京都に飛来したプルームには,難溶解性,高放射能密度,かつ PM2.5 サイズの微粒子が Cs 放射能の約9割を占める濃度で含まれていたことが明らかになった.

高放射能性 Cs 含有微粒子による影響
 原発災害の直後に放出された CsMP は,周辺環境および生態系の放射線量に対して顕著に寄与している.東京の大気フィルターで検出されたような 0.58 〜 2.0 μm の大きさの CsMP を人間が経口吸引したケースを考察すると,通常の PM2.5 と同様に,約 20 〜 50 % および <10 % の CsMP が肺胞および気管支領域にそれぞれ沈着すると考えられる.CsMP が不要性であると仮定すると,肺胞領域に沈着した CsMP はマクロファージによって完全に貪食されずにリンパ節にゆっくり移動し,その場合の生物学的半減期は数十年になると推定される.これは水溶性 Cs の典型的な生物学的半減期 〜 100 日間と比較して長く,体内に CsMP が長期間保持されると予想される.

 CsMP の場合,単位質量あたりの放射能(放射能密度)が非常に高いため(〜 10^11 Bq/g),CsMP 周囲のミクロな領域で局所的に強いβ線とγ線が水の放射線分解を引き起こし,マクロファージおよび呼吸器上皮細胞よりも大きい数百ミクロンのスケールでラジカル種を生成する.CsMPs の表面上の 100 μm 厚の水の薄膜層を考えた時,β線および γ線によるエネルギーの蓄積は(1.0 〜 24)× 10^-3 グレイ/h(グレイ=ジュール/kg)と計算される.水の放射線分解によって H2,H2O2,および H* などの様々なラジカルが生成し,この蓄積エネルギーによって,特に *OH ラジカルが毎秒 4.9 × 10^3 分子生成すると見積もられる.これは細胞中 DNA に酸化的損傷を引き起こすのに十分な生成量であると推定される.

 これまでの被ばく線量評価は,国際放射線防護委員会 ICRPpub.119 で確立されている実効線量係数にもとづいておこなわれているが,CsMP の影響は考慮されていない.難容性の CsMP は水溶性 Cs より長い生物学的半減期を有する可能性が高いため,今後は CsMP の内部被曝に関する詳細な評価が求められる.

 我々は、最先端の科学が旧来の科学の枠組みの一端を突き崩そうとしている現場を、今まさに目撃しているのである。本来ならサイエンスライターが飛びつくべき話題である筈だ。重要なのはむしろ、本来なら飛びつくべき話題をサイエンスライターが無視するという事態に至って、それが「政治的な案件」であることに気付かされてしまうという身も蓋もない事実の方である。

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文章をちょっといじりました。

2017/11/26(日) 午前 10:26 [ さつき ] 返信する

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